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枯レ語リ
不鳴<なかず>の鳥 凋<しぼ>む秋草
一頻り寄せて 散らす曼珠沙華<ひがんばな>
物思<ものも>へば 絶たぬ絆と戯<たわ>くれど 幼<いと>けなけれ
風と消えつらむ 偏<ひとえ>に
影朧<かげろう>か燭<ともし>か 此の身を喩<たと>へ
定むる命を焦がし 湛ふる朱<あけ>の音
誤<あやま>...枯レ語リ
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かえりみち
古き石畳の苔を歩み行けば
細流<せせらぎ>の融ける音
時を刻みていく
蛍灯<ほたるび>の夜音は 絶え間無き蝉時雨
渡鳥<とり>の帰群<むれ>を見上ぐれば
秋暮に独言<ひとりご>ちる
日々並<かがな>べて浮かぶ日は
過ぎ去る 愛し景色
紅葉と 擦れ違はずに...かえりみち
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蒼穹を見た夢~reascensus disalarum~
揺り籠の中で覚えた夢に 限りのない蒼穹<そら>の広さよ
翼がなくても いつかは必ず 届いてみせるから
星の軌跡に遡る時
かつての僕らは仰向くしかなかった
大地に這いつく 無力な子は
嘆くより懸命に 拳を掲げ
「不自由な日を過去に 立ち上がる時...蒼穹を見た夢~reascensus disalarum~
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夜帰人
残暑に至りて 初盆の日の
徒然なるも遣る瀬無さに
数々 能はぬ 想ひを馳す
精霊<しょうろう> 今宵 河を渡る
迎火群れらか 映ゆるは夜の闌珊<らんさん>
栞り路 迷ひ路 己<な>や尋<と>むるは
阿駄事<あだごと> 解しはせど
嗚呼 さらぬだに さらぬだに 此の身 恋ひ焦るなら
遠目は懐か...夜帰人
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ローレライ
光を閉じ 揺れる水面 波打つ静寂
紺の色に嘲笑<わら>う月と
嘆息の【操り人形】<Geschichte>
何故、我の紡ぐ聲は
人を惑わすのでしょう
騒いだ血は歌えと囁くままに
闇を解けて流れてくる
一葉の船影
黒き念は滲み込んだ...ローレライ
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undesolation - 巡礼 -
導く晨星<あけぼし>の目覚めし古より
轉<うつ>ろう天の川 歴<つ>もる幾歳
輪廻の物語 数多に受け継がれよ
生きとし生ける物 時代<とき>を流るる
春を語り雲は恵みの雨を
夏に花や木々に水を捧げ
秋の実よ地を彩りながら
冬に芽吹を待ちて謳歌<うた>う…
いざ...undesolation - 巡礼 -
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「酔舟行」
橋の脇の 流るる水の音
川面に逸<はぐ>れの葉泛<うか>ばせ
帰る雁を 急がす秋の暮
想ひも冷ます
漕がぬ舟の 漂ふ艫<ふなども>に
寄る辺なき身を預くるかな
独り酌<つ>がひ 觴<さかづき>映る翳<かげ>
酔<ゑ>ひ痴るる幻深し
下つ弓張月 祈<ね>ぐ 欠くる事毋<なか>れ...「酔舟行」