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人の現世
まがいもの
揺蕩う夢の神の御子
僕らで救ってあげようか
在るべき姿に戻るだけ
正しい姿に戻るだけ
愛を知らずに生きた君
ただただ愛しい神の御子
僕らで救ってあげましょう
目醒める世界は僕が君...リスタート
orobO
7.
高松さんの不安をよそに、バンドの再結成ライブは大盛況に終わった。
それからも、高松さんの体力が続く限りは定期的にライブをやった。
社長を継いだのは、結局未来だった。
高松さんの理念……というより、ハートというか、情熱を誰より理解していたし、自分が社長になっても高松さんの意見をないがしろ...Prhythmatic 7 ※二次創作
周雷文吾
6-2.
◇◇◇◇
「ミク。昨日のドキュメンタリー話題になってるみてーじゃねーか」
「え、そうなんですか?」
役員会議の始まりの高松社長の言葉に、初音さんが目を丸くする。
ドキュメンタリーというのは、アイドル卒業後、裏方に回りアイドルプロデュースとマネジメント業に専念していた初音未来の密着取材を...Prhythmatic 6-2 ※二次創作
周雷文吾
6.
それからの僕ら二人は、順風満帆とは言い難くても、トータルでは忙しくも幸せな日々を過ごせたと思う。
……余談だが、ラストライブの夜、僕と初音さんがお互いの想いを打ち明けた様子は、メイコさんとルカさんとリンさんの三人にバッチリ見られていた。
後日、三人に問いただされた初音さんは本当に頭から火...Prhythmatic 6-1 ※二次創作
周雷文吾
5-2.
「奏はどうするの? メイコさんたちのマネージャーを継続するの?」
僕は首を横に振る。
「いや、あの人たちの歌以外の仕事は他の人がマネジメントしてるから、僕は必要ないんじゃないかな」
「そうだっけ。じゃあ奏はマネージャー統括とか?」
のんきに言う初音さんに、僕は笑う。
「アイドル部門統括...Prhythmatic 5-2 ※二次創作
周雷文吾
5.
八年前、僕の衣装合わせのときの初音さんと高松社長の言葉が、ラストライブが終わるまでずっとしこりみたいに僕の心の奥底にあった。
あのとき以降、初音さんがその話を蒸し返したことなんて一度もなかった。社長も、CryptoDIVAの三人も同様だ。
そして、僕が初音さんに聞くことができたはずもない...Prhythmatic 5-1 ※二次創作
周雷文吾
4.
僕が執事服を着て業務をこなすようになって数年後、CryptoDIVAはメジャーデビューを果たした。
まだライブで十分な収益を上げていたし、動画サイトやダウンロード販売なんかの収益化の環境も整ってきた頃で、僕は内心ではメジャーデビューする必要なんが無いんじゃないかと思っていた。
だが、Cr...Prhythmatic 4 ※二次創作
周雷文吾
3-2.
……やはり、今後を含めてこれを着るのは僕だけってことだ。たとえ評判が良くて、他のスタッフの衣装も作ることになったとしても、ここまで派手にはならないんだろう。
「まあまあ奏クン。本番はともかく、いま試しに一回着てみてってば。絶対に似合うから!」
初音さんの言葉に、CryptoDIVAの全...Prhythmatic 3-2 ※二次創作
周雷文吾
3.
高校生活は、慌ただしく通り過ぎていった。
僕は高校生活を送りながらも、初音さんのマネージャーとして初音さんのアイドルとしての予定を管理しつつ、ついでに授業や宿題のフォローもして……なんというかまあ、高校生活自体はそれまでとあまり変わらない日々を過ごした。
変わったことは、アルバイトの一環...Prhythmatic 3-1 ※二次創作
周雷文吾
2-2.
カラン、という小気味のいい音とともに扉をくぐる。そして同時に失敗したな、とも思った。
カウンターの向こうにはワイシャツに蝶ネクタイとベストをきっちりと着こなし、白髪交じりのグレイヘアを綺麗になでつけた痩身の男性が立っていた。
ダンディな喫茶店のマスターだとひと目でわかる出で立ちだ。
...Prhythmatic 2-2 ※二次創作
周雷文吾
2.
彼女のライブを初めて見に行ったのは、高校二年の冬のことだった。
それまで動画で見たことはあったけれど、実際のステージを見たことはなかった。
行った理由は単純で、初音さんからチケットをもらったからだ。
これまでのお礼、と言われて。
というのも、僕はこの頃から彼女のフォローをしていたのだ...Prhythmatic 2-1 ※二次創作
周雷文吾
Prhythmatic ※二次創作
1.
「今ここにある希望はきっと、僕だけのモノじゃないから」
「え?」
そう聞き返した僕に、彼女は「だから僕はさ」と続けた。
「重ねた愛が言葉になって、誰かの元へ届くよう、祈るの」
初めて出会ったその日に、彼女が気負うことなくさらりと告げた言葉。それがまだ、僕...Prhythmatic 1 ※二次創作
周雷文吾
8.
「……」
ゆっくりとまぶたを開ける。
視界はまだ、漆黒の空と無数の星々のきらめきにおおわれていた。
おそらくは三十分か一時間くらいしか経過していないんだろう。……すごく長い時間がたったような気がするけれど、校舎の屋上でかすかにまどろんだだけだった、というわけらしい。
まだ夜は明けていな...ローリンガール 8 ※二次創作
周雷文吾
7.
「……」
ようやくたどり着いた高校の校舎を見上げる。
時間がわかるものをなにも身に付けてこなかったけれど、道路で転んでから、一時間は経過しているんじゃないだろうか。
僕は深呼吸をして、上がった息を整えながら考える。
どこに向かうべきだろう。
美紅にとっての特別な場所なんて知るわけがな...ローリンガール 7 ※二次創作
周雷文吾
6.
何年前と言っていたのかは……忘れてしまったが、美紅は、一度自殺しようとしたのだという。
過干渉でやることなすこと縛りつけ、少しのことでヒステリックに怒り出す母親。なによりも仕事優先で、無関心を貫き通した父親。そんな両親のせいか、学校でも皆とうまく馴染むことができなかったという。
やがてパ...ローリンガール 6 ※二次創作
周雷文吾
5.
ひたいになにかが当たっている。
柔らかくて……あたたかい。
それはほんの少し――せいぜい二、三秒――の時間のことで、すぐにひたいから離れていってしまう。
それにどこか名残惜しさを感じながら……目を覚ます。
「ん……」
まぶたをこすり、芝生から身を起こす。
この前、彼女が激突していた...ローリンガール 5 ※二次創作
周雷文吾
4.
僕が美紅と出会ったのは、高校に上がってからのことだ。
学校に行く意味なんて見いだせなかったけれど、だからといって母さんのいる家に居座りたくはない。とはいえ就職だなんてろくなもんじゃない。
中高一貫校だったから、進学に苦労はしなかった。真面目に勉強してる奴らを内心ではバカにしてはいたけれど...ローリンガール 4 ※二次創作
周雷文吾
3.
僕は本当の両親を知らない。
偽物の両親ならいるけれど。
五歳のとき、僕は孤児院からいまの家に養子として招かれた。
義理の父さんも母さんもいい人だ。
けれど、やっぱり……本物ではない。
別に本物の両親に会いたいわけじゃない。だって見たこともない彼らは、僕を捨てた人なのだ。会いに行った...ローリンガール 3 ※二次創作
周雷文吾
2.
小学校の高学年になった頃だ。
急に勉強というものに価値を見いだせなくなった。
……いや、理屈としては理解できていた。勉強ができれば、成績がよければレベルの高い高校に行けて、さらに勉強していい大学に行ける。そうすれば大企業にでも就職できて安定した高収入を得られる。
全ては、将来いい生活を...ローリンガール 2 ※二次創作
周雷文吾
The Rolling Girl
1.
「私は今日も転がります!」
少女は威勢よくそう叫ぶと、駆け出して勢いをつけて前転していた。
緑茂る丘の上から、彼女は泥だらけになることも怪我をすることもいとわずに、お世辞にも美しいとは言えないみっともなさで不器用に坂を転がっていく。長い緑色のツインテールが...ローリンガール 1 ※二次創作
周雷文吾
17.
『都市の亡骸から炎は消え、燻り続けている。
静寂は全ての生命を包み込み、未来に帳を下ろす。
願いの果ての世界でも、夕焼けは鮮やかな紅い色だった。
これは愛の為に嘘を吐き続けた、ありふれた少女の物語』
彼女は丘まで歩きました。
礼拝堂でどれだけ泣いたかわかりません。
泣き疲れてしば...針降る都市のモノクロ少女 17 ※二次創作
周雷文吾
16.
わたしは復讐を果たしました。
わたしのアレックスを撃った浮浪者に。
わたしは復讐を果たしました。
わたしからアレックスを奪ったエコロジストに。
わたしは復讐を果たしました。
わたしからアレックスを奪った市長に。
……わたしは復讐を果たしました。
わたしからアレックスを奪った、...針降る都市のモノクロ少女 16 ※二次創作
周雷文吾
15.
ボロボロになった高級車の前には、閑散としたバリケードが。後には暴力と略奪と炎をまとった阿鼻叫喚の混沌が繰り広げられていた。
一番地区は無法地帯と化した。
女の破壊と扇動によって。
女の……怒りと嘆きによって。
「……」
女は高級車のボンネットから降り、背後の一番地区の惨状を眺める。...針降る都市のモノクロ少女 15 ※二次創作
周雷文吾
14.後編
細長いゴンドラの真ん中でスティーブの方を向いて腰を下ろす。
こういう小舟に乗るのは初めてだけれど、意外に揺れるな、というのが率直な感想だった。
「じゃ、お二人様ごゆっくり」
ダンが手を振るのに、わたしは微笑んでうなずき返す。
「じゃ、出すよ」
スティーブがオールを漕ぎ、ゴンドラが...針降る都市のモノクロ少女 14後編 ※二次創作
周雷文吾
14.
「ええと……その、リン?」
その声に、オレはようやくハッとする。
バリケードから暴徒と化した群衆が走り出していく……そんな頭の中の妄想が溶けて無くなり、崩壊した一番地区から七番地区のカフェへと、周囲の光景が様変わりしていく。
「あ……、その。すま……ごめんなさい。オ……わたし、ぼうっとし...針降る都市のモノクロ少女 14前編 ※二次創作
周雷文吾
13.
「ハーッハッハッハッハーッ! サイッコーだなぁ! ええ? おい!」
一番地区を駆け抜ける高級車の後部座席から身を乗り出し、女が高らかに笑っている。
車内は冷静さを崩しもしない運転手である執事と、恐怖に凍りついた警官と少年、それから一人呵々大笑している女だった。
飛行船が高層ビルを破壊し...針降る都市のモノクロ少女 13 ※二次創作
周雷文吾
12.
飛行船の船体がぐにゃりとたわむ。
破裂寸前の風船みたいになったそれは、衝突した相手が押し負けたことで辛うじて破裂を免れた。当の相手は、飛行船の衝突に窓ガラスが粉々に割れ、構造材を歪ませ外壁材が砕かれ、その巨大な体躯を傾かせる。
窓ガラスの欠片がキラキラと乱反射し、外壁材が瓦礫と化し、傾...針降る都市のモノクロ少女 12 ※二次創作
周雷文吾
11.
『市長、転落死!』
女はニヤニヤと笑みを浮かべながら、そんな見出しの新聞を広げている。
場所は富裕層の住む二番地区の端の端、三番地区との境界に建つ、二番地区にしては小ぢんまりした邸宅の執務室だった。
執務室のデスクに敷かれた厚手の絨毯、自己主張は控えめだが優雅な彫刻品の数々。建物の規模...針降る都市のモノクロ少女 11 ※二次創作
周雷文吾
10. 後編
「スパイカーズ、か。ニードルスピアにぴったりの名前じゃねーか。針よか釘の方がちっと太いけどな」
「彼らと現在敵対しているのが七番地区方面を拠点としているブルースカルズです。両者がこの都市の二大ギャングと言えるでしょう」
「さあて、どっちがオレの味方にふさわしいかねぇ。今んとこスパイカー...針降る都市のモノクロ少女 10後編 ※二次創作
周雷文吾
10. 中編
「……」
やがて廊下の途中にちょっとしたスペースのあるところにたどり着く。そこにはいくつかの放置されたロッカーと、上へと続く梯子があった。
梯子を登り、また別の室内へ。さっきの部屋よりはマシだが、それでもまだ汚い。
とはいえその汚れは先ほどまでとは違い、人の生活によって生じる汚れ...針降る都市のモノクロ少女 10中編 ※二次創作
周雷文吾
10.
「違う! 俺が指示した訳じゃない! 俺のせいにされたんだよ。殺したかったわけでも、殺そうと思っていたわけでもない!」
窓のない、コンクリートで囲われた薄汚い部屋の中央で、全身を椅子に縛られて座らされている男が絶叫する。
少しまどろんでいたオレは、夢想を止めて舌打ちする。
口にしていたロ...針降る都市のモノクロ少女 10前編 ※二次創作
周雷文吾
9.
「ギュスターヴ・ファン・デル・ローエ二世。我、ニードルスピアの名に置いて汝の罪を裁かん。己が罪を数えよ」
「は……? いったい何の冗談――」
「一つ。レオナルド・アロンソを操り、十二年前の革命もどきを引き起こした罪」
告げながら、女は市長の目の前まで悠然と歩を進める。
「待ちたまえ。誰の許可...針降る都市のモノクロ少女 09 ※二次創作
周雷文吾
8.
「彼は生前、この都市の為に良く働きました。市長と友人でもあった彼は、市長を助け、また一般市民の味方となりこの都市への貢献を忘れませんでした」
針降る都市から少し離れた郊外の墓地で、神父が聖書を片手に祈りを捧げている。
どんよりとした空からは、重苦しい雨が降っていた。いつもの霧雨と違って、雨...針降る都市のモノクロ少女 08 ※二次創作
周雷文吾
7.
女が路地裏を抜けて通りの道へと出る。
瞬間、黒い影が現れる。
「マム!」
少年が叫ぶが、黒い影は――。
「ミセス。お待たせしました」
影はそこで待っていただけで、そう女に声をかける。
「ん? ああ、ディミトリ。別に待ってねーよ。ありがとな」
女は影に――執事に声をかけ、振り返る。
「...針降る都市のモノクロ少女 07 ※二次創作
周雷文吾
6.
マスターの元にやって来てから、ずいぶん時が経った。
季節は何度も巡り、わたしはマスターの手に引かれてこの都市の酸いも甘いも見てきた。
色んな約束をした。
ゆびきりげんまんもした。
マスターに拾われるまで、わたしにはなんの価値もなかった。
けれど、今は違う気がする。
マスターの手助...針降る都市のモノクロ少女 06 ※二次創作
周雷文吾
5.
この都市は運河の河口に位置し、元々は運河と海路を使った交易で発展した都市だった。
産業が発展するまでは漁業も盛んだったが、産業の発展に伴い漁港は次々と貿易港へと作り替えられていき、あっという間に漁業は衰退した。
この都市――針降る都市は、運河で分けられた東西、そして貿易港や工場の密集する...針降る都市のモノクロ少女 05 ※二次創作
周雷文吾
4.
ぼくはとびらの外をポカンと見つめる。
すっごく高いところにきてるはずだってことはわかってたけれど、まさかそんなに高いなんて思っていなかった。
「どうした、早く入りたまえ」
「まーまーそんな焦んなって。コイツは初めて来たんだ。ビックリくらいするさ」
「ふむ、そういうものか」
「なんだよ。少年...針降る都市のモノクロ少女 04 ※二次創作
周雷文吾
3.
鋼鉄の都市の中央である一番地区。二十階を越える建造物が集まる高層ビルエリアの中でも一際高いその建物は、都市行政庁舎という名前だった。が、ここの持ち主――市長の名前から広くギュスターヴタワーと呼ばれ、市民の多くもそれが正式名称だと認識している。
仮に――ほとんどあり得ない話だろうが――市長が...針降る都市のモノクロ少女 03 ※二次創作
周雷文吾
2.
ぼくはただ空を見上げる。
きりさめがふっていたはずなのだけれど、そこかしこからでてくるじょうきや、たてものがこわれるときのほこりで、そんなのはあんまり気にならない。
ドン、ズドン。
さけびごえ、ひめい。
ズズン、ガシャン。
おたけび、ときの声。
ガラガラ、ガラガラ。
かんせい、...針降る都市のモノクロ少女 02 ※二次創作
周雷文吾
針降る都市のモノクロ少女 ※二次創作
1.
日が傾き、雲が赤く染まってゆく。
都市の至る所から蒸気機関の白煙が立ち昇り、都市の中央で一際高くそびえる鉄の塔が、その蒸気で揺らいでいた。
鋼の身体と蒸気の血液で脈動する鋼鉄の都市は、日の陰り程度でその活動を止めたりはしない。
鋼鉄の都市。
眠る...針降る都市のモノクロ少女 01 ※二次創作
周雷文吾