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青葉もやがては枯れ落ちて 季節は変わらず移りゆく
春に咲く花風が吹き 群青の空に舞い上がる
心の準備もできぬまま 無慈悲なほどに平然と
淡々と過ごすこの一日も 移り行く日々の一日に過ぎず
されど有限のこの日の命 今日も変わらず消費し朽ちる
季節は移り気持ちは同じ この日々を穿つ一筋の光よ
ただ刻刻と...【短編】飛花落葉
Nenia
奇妙なほどに青々とした空の或る日
我は変わらず息をし、佇む。
痛いほど指す陽の光の頃
あなたは天を見上げ何を想うか。
希望か夢か、はたまた嫌悪か
そのどれもがきっと、本心なのだろう。
どんなに眩しく煌びやかな陽も
誰も彼もが好いていることはなく
暗く仄暗い悲しみの雨も
また誰でもが好くことはない...【短編】群青の空にすらも、
Nenia
呼び方を変更しました。
0:飲食店の入り口から店内に入る佐藤。
店員「いらっしゃいませ!1名様ですか?」
0:頷く佐藤。店員は店を見渡して申し訳なさそうな顔をする。
店員「申し訳ありません、只今満席になっておりまして、相席でしたらご案内できます」
佐藤「アッ…ハイ…じゃあそれで」
0:席に案内される...[シナリオ]ユリコミ2022
kame 朽ちりゃんこ
"毎度ご乗車、ありがとうございます。お忘れ物のないよう、お気をつけくださいーーーー"
ホームに無機質なアナウンスが響き、エスカレーターに降車した人たちがなだれこむ。
人の波に流されるままに、自分も足を乗せると、ゆっくりと約35度に折れて下り始める。
今日も忙しかった。棒のようになった足で立っているの...エスカレーター
mayuco
午後五時前。
バタバタと仕事を片付けてひと段落した私は、
残り少なくなった缶コーヒーを飲み干した。
やっと客足が落ち着いた。
空き缶を捨てようと、裏口のドアノブを捻ると、
エアコンでひんやりした室内に生ぬるい風がむわっと入ってきた。
室内では気づかなかったが、雨は上がっていた。
青空の上に、飛行機雲...青空と水たまり
mayuco
風が吹いた。春らしい柔らかな風だった。桜の花びらがチラチラと舞って地面の上でダンスを踊っている。私はそれを横目に見ながらまだ慣れないスーツで桜並木をぎこちなく歩いている。
この桜並木は駅へと向かう途中にあり、高校、大学と何年も通い慣れた道だった。花びらのダンスももちろん数えるほど見たし、その間を通...花びらとダンスを踊れば
きい
真ん丸 ふわふわ
わがままボディ素敵でしょ?
機嫌のいい時は短いしっぽ
ふりふり振って感情表現
たまにのご馳走 鼻歌だって歌っちゃう
あ〜今日も一日平和だな
朝ごはん 昼ごはん 夜ごはん
それと幸せのお昼寝タイム
短い命好きなように生きるのが
たった一つの使命...のんびりたいむ
湊大
風が髪を巻き上げる。私は片手で髪を押さえてどこまでも続きそうな階段を下った。さ
っきまでいたクラブの喧騒と照明、それからダンスで火照った体が冷めていく。私は胸の
奥まで吹き付けた風に気づかない振りをしながら込み合う改札を抜け、足を速めてホーム
に向かった。ちょうどホームに滑り込んできた電車に体を割...Subway rat’s racing
Yu_Saeki
鈍い頭のまま目を覚ました。目覚ましをつかみ取るようにして時間を確認する。午後三時。もう夕方だ。それでもまだ昨日の酒が体に残っているようで視界が揺らいだ。
雨音が部屋の外から響いていた。俺はカーテンを開け、ギターを抱えると窓枠に腰を下ろした。そのまま雨音をかき消すようにギターをつま弾く。
雨の日...入れない傘
Yu_Saeki
今年も私はこの場所へ来た。天の川の光の降り注ぐ丘の上へ。眼下には星を照り返す海が広がっている。私は柵を超えて丘の先の崖に近づくとその石の上に腰を下ろし、家から持ってきた水筒の蓋を開けた。中には温かなコーヒーが入っている。私は息を吹きかけてその香ばしい液体を一口飲んだ。それから空を見上げる。銀色の星...
Dreaming with U
Yu_Saeki
「てか明日の体育まじ憂鬱なんだけど」
「なんでこの歳になって校庭をぐるぐる走らなきゃなんないわけ」
「ねー。リンはどうせまたサボって見学でしょ」
日曜日の今日も私たちはやることもなくマックでだらだらと過ごしている。いつもならこのままみんなと夜まで街をふらつくところだけど。
「あ、私そろそろ行かなき...不機嫌な少女
Yu_Saeki
「リン、大きくなってもずっと一緒だよ」
そう言って彼は私に摘んだばかりのデイジーの花を差し出した。私は笑って言った。
「うん。約束よ」
デイジーの花が手の中で揺れた。私はその花に頬を寄せて、それから彼に抱きついた。
あたりでは一面にデイジーの花が咲き誇り、私たちの幸福な日々を彩っていた。
荒...星命学
Yu_Saeki
隣に住む花城さんは成績はトップクラスで、背が高くて、びっくりするような美人だ。
一言で言うと完璧な人間。それなのに。
玄関を開けると今日も花城さんが僕を出迎えた。
「おはよう、漣君。一緒に登校しましょ?」
毎日これだ。完璧な花城さんがどうして僕になんか執着するのか分からない。僕は背も高くない...ワタシヲスコレ
Yu_Saeki
私はデパートで買った総菜の袋を手に提げて土足で空家に入った。その空家では私の最愛の人が私を今か今かと待っている。
「遅くなってごめんね」
懐中電灯で照らしながら奥の扉を開けると薄暗がりの中であなたの肩がびくりとはねた。
「いい加減俺を自由にしろ」
あなたが裸のまま首につけられた鎖をじゃらじゃら...茨の皇女
Yu_Saeki
「これが私の運命なのです」
自らの手で喉に突き立てた小刀から赤い雫が零れ落ちていく。私は笑った。それから祈った。どうか地獄に落ちる前に、ほんのひと時あの人に会えますように。
目を閉じる間際、転がった雫が私の肌の上で椿のように咲くのを見た。
私の母は良家の娘だった。駆け落ちをして、戻ってきたとき...かぐやの幻
Yu_Saeki
今年もまた私はあなたのお墓を訪れた。あなたにチョコを供えるために。
私は少しの間手を合わせるとお供えのチョコの残りをひとかけら口に入れた。甘くて苦い味と一緒にあなたの思い出が蘇る。私はチョコを口の中で転がしながらその思い出に身を任せた。
「どうしたの?」
道端で泣く幼い私にあなたはまっすぐ声を...Chocolate affection
Yu_Saeki
「あれっ? あんなところにクリスマスツリーがある。」
ゆかりが、ふと立ち止まる。
12月に入ってしばらくした頃。水上ゆかりと沼田玲、大島つむぎはいつも
の3人で学校からの帰り道を歩いていた。
「本当だ~。誰か飾り付けたんだろうね~。」
「あれだけの木を...クリスマスツリー
ふゆ~れい
「あららっ。とうとう降ってきちゃった。」
教室の窓から外を見ていたゆかりが声を上げた。
「おっ、よーやく天気予報が当たったか。」
ゆかりの声に、玲も窓際に寄って来る。
「はぁーっ、夕立かぁ。傘持ってきてないよ~。今日も晴れる予定だったのに。」
「今日は夕...たね
ふゆ~れい
夏も終わりかけた頃。海にはクラゲが大挙して押し寄せてくる。
・水くらげ、
・電気くらげ、
・カツオノエボシ、
・キクラゲ・ ・ ・(違うだろ)・
etc.
そんなある日。
「いや~ん。クラゲがいっぱいいる~。こ...くらげ
ふゆ~れい
有名な小説家がいる。
その小説家の名前を知らない人は恐らくこの世にはいないだろうし、知らないとしたらそれは余程の世間知らずか過去からタイムスリップしてきた科学者だけだろう。
新作を書けばたちまち重版出来のミリオンセラー、熱心なファンの様はまるで新しい宗教なのではないかと目を疑う。
紡がれた物語はう...【短編】ゴーストライター
無限 有限 パンパカパーン
世界でいちばんのしあわせもの。
ずっと楽しみにしていた瞬間が、私の中でどれほどの価値を見出すかは、
よほどのことがない限り、自分の思い入れで決まるものだと
私は思っている。
新しい感情との出会いが、私の中での幸せの価値観をさらにあげていく。
繰り返すような毎日の中で、悲観的になり、目をそらしたくなる...世界でいちばんのしあわせもの。
こはね。
シンギュラリティ
Technological Singularity
技術特異点 「知の崩壊と加速」その分岐点
人工知能が人間の知能を超えるだろうとされる年 2045年
レイ・カーツワイル
ヴァーナー・ヴィンジ
ヒューゴ・デ・ガリスらが提唱(敬称略)
今は2050年、僕は聞いてみた。日本の双子のA...【掌編小説】シンギュラリティ
温州みかん
いつもいつも主人公の色は『赤色』
ほかの色はいつもいつも脇役の色
ある時5歳になった白色さんは、大人になった黒色くんに聞きました。
「黒色くん、黒色くん。」
「なんだい。白色さん」
「黒色くんは何で黒色なの?」
「うーん。むずかしいなぁ。まぁ、僕が黒色なのは選べなかったからだよ。」
「何を選べなかっ...あなたの色はなんですか?
赤色うさぎ
近頃記憶の欠如が激しいのです。ポツリと落ち行く椿のように。
え?ああ。花によって最後の言葉が違うのですよ。
大丈夫です、花が見えないのならば私が掘って貴方の手にそっと添えましょう。
見えない形もきっと見えるでしょう。・・・と言いたいところですが、いやはやm先ほど言った通りでして。
何を掘っていたか、...抉る
湯島結代
君とバトンを繋ぐのは
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「痛っ!」
通学路で小さな石につまずいた拍子に足を捻ってしまったようだ。歩く度に足首が痛む。
ー今日確か体育あったよな…
ふと、今日の時間割を思い出す。今日の体育も男女混合リレーだった筈だ。
「...君とバトンを繋ぐのは。
栞和
「プレゼント、何が良い?」
明日の彼女の誕生日に、ボクはサプライズを諦めて、勇気を出してそう聞いてみた。
「…わがまま、言っていい?」
意外な彼女からの反応に、ボクは心から構わないと応えた。
「全然、大丈夫だよ?」
すると彼女は、ボクのポケットの中のそれを指差して呟いた。
「祐輔のそれが、欲しいの」...あいこ
charls
「じゃあ、堺くん。塩崎悠里さんの家まで、この連絡ノート届けてくれる?」
「はい」
先生に頼まれたから仕方ないとばかりに、初めて行く彼女の家までの距離は新鮮でしかなく、おまけにこの欠席者に伝達するための連絡ノートのおかげで、彼女に直接会う事ができるなんて。
ボクは不純でしかない心を抑えるのに必死だった...れんらくノート
charls
彼女に初めて会ったのは、近所の駅の構内だった。
未だ大人びて人間くさくない彼女を他人としてあしらっていたのを今でもよく覚えている。それが互いに打ち解けたあの日、彼女がボクにくれたその笑顔がすべての始まりであり、高鳴りでもあった。
それから、互いに学生として電車で通う日課を当たり前のものだと、二人は平...ゆきずり
charls
「…ねえ、私たち付き合ってるんだよね?」
高校二年の春、ボクたちは去年の文化祭から意気投合して以来、特にそういう会話をしないまま、二人だけでいつもの放課後を過ごしていた。
「え、ああ…」
ボクたちは、恋愛というものを実はよく知らないのかもしれない。
「なあ、健吾、今日は部活出るんだろ?」
「え?ああ...私と、付き合って
charls
クリスマス・イヴの今日。
駅の片隅で、一人の彼女を待ち続けていた。
彼女とは幼馴染で、しかも自分の親友の事を好きでいるという、どうしようもない関係の中、彼女の方から珍しくデートに誘ってきたのだ。
人がたくさん行き交う最中、約束の時間はとっくに過ぎて、暗闇を灯す夜空の満月にいつの間にか見惚れている自分...白い贈り物
charls
世の中からいなくなる事、所謂死ぬという結果の後に、人は天国か地獄への選択を迫られるという逸話がある。
世の中での生き方によって、それは分別されるというけれど、それが仮に本当だとして。
そんな他愛のない話の下りを、ボクと彼女は目的地である途中の駅のロータリーで、突然の雨をしばらくの間凌いでいた。
「…...天国と地獄
charls
ポラロイドから出てきた彼女の撮った数多くの写真を油絵のキャンバスに切り取って貼って、それを度々オフホワイトの色で繰り返し塗り潰していく。
そんな彼女の日課にボクは庭で鳴く蝉の声に耳を澄ませては、中絶の悲しみをひた隠しに出来ないでいた。
「今日のあった素敵な事も、またこうやって真っ白になるんだ」
思い...メイのエメラルド
charls
深夜遅くの、とある仕事帰りの事。
玄関を恐る恐る開けて、寝室にゆっくり足を遣ろうとすると、彼女のすすり泣く声が聞こえてきた。
すでに眠っているだろうと思っていたボクを尻目に、ベッドに横たわったままの彼女は眠るどころか、寝そべった状態で悲痛のあまり泣いていたのだった。
「…どうしたの?」
キミの隣から...傷モノ
charls
~Cry for the Moon~
(今年は来てくれるのかな?)
仲秋の月が日ごとに明るさを増してきた。そろそろ年に一度の月光浴。
私は『金鏡花』と呼ばれている花。『金鏡(きんきょう)』。空に浮かぶ金の
鏡・・・月のこと。私は年に一度月の明るい秋の夜に咲く。月の光をいっぱい
に浴びて咲く私...Cry for the Moon
ふゆ~れい
~ もち ~
秋も深まってきたある朝、珍しくゆかりは時計よりも先に目を覚ました。
「う~ん・・・今日は暖かいなぁ。」
むくむくと起き上がり、ふと窓の外を見る。
「うわぁ~、雪降ったんだ。」
まだ薄暗い家の外はほのかに青白い世界が一面に広がっていた。
...晴れときどき・・・
ふゆ~れい
「☆マジカルショートカット☆」ver0.9
作:阿僧祇
■あらすじ
12ページを想定した、異世界ファンタジー。
魔法を身につけたい少女・ベルとリリアは、魔法学校の1年生。だけど勉強や
修行は大嫌い。そこで、修行しなくても魔法を使える方法を試そうとします。
ところが生半可な知識でやることはうまくい...【音声ドラマに改変を希望】 マジカル☆ショートカット 【短編漫画脚本】
阿僧祇
裏庭を覗くと、白髪のロボットがイライザの隣にいた。向き合って数言交わすと、白髪のロボットは立ち去った。その背中をイライザが見送る。アーマが後ろから彼女に近づくと、声をかけられた。
「あの警備ロボットは三年前に現役を引退したそうよ」
イライザはロボットを見送っている。
「それ以来、家事手伝いとして...夢見る機械 後
くまいりょう
その日の午後、中庭に戯れる機械たちの姿があった。公孫樹の根元にうずくまる少女の顔をしたロボットと、三人の少年の顔をしたロボットがいた。
「トゥエンティ、トゥエンティワン」
「おい、イライザのやつまた十で止めてないぞ」
「本当だ。いつまでたっても覚えないなあ」
木陰からイライザというロボットを見つ...夢見る機械 中
くまいりょう
夢見る機械
【禁止項目】の表示が視界を覆い尽くしていた。当然のことだとアーマは判断する。機械が夢を見ることなど、あってはいけないことなのだから。
自分の白い指先が鍵盤の上を自在に駆け巡る。叩きたい鍵盤を、奏でたいキーで、歌いたいリズムで演奏する。それはつまり、自由なのだとアーマは判断する。音色は心...夢見る機械 前
くまいりょう
降り注ぐ強い雨。
パステルカラーの傘を持った少女が、浮かない顔でパタパタ歩く。
お母さんとけんかしちゃったからお家に帰りたくないなー。
朝ごはんきらいなもの出すんだもん。
ぽたぽた雨は降り注ぐ。
傘の下でも土砂降りのよう。
そうだ、とおまわりして帰ろうっ
てくてくてくてく、大冒険。
知らない道をてく...ある日の町並み
茜 夕空