タグ:2次創作
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9
――曲が終わって、荒い息をつく。
他のメンバーはともかく、客席からの歓声は、俺の耳にはあまり届かなかった。
のどを鳴らして、ふるえそうになる両手を握っては開いて握っては開いて、落ち着かせようとする。
なんで、こんなに緊張してるんだろう。
……そんなの、考えるまでもない。
次が、あの曲...ゴーストルール 9 ※2次創作
周雷文吾
8
引き出しをあさってようやく出てきたピックを使い、弦をはじく。
チューナーの針が振れる。それは、音が低すぎて、正確な音にはほど遠いことを知らせていた。
やっぱな、なんて思いながら弦を張るが、何年も前の弦なんて、本来なら交換して当然くらいのモノだ。まともに使えるわけがない。
「……」
チュー...ゴーストルール 8 ※2次創作
周雷文吾
6
「はーい。あ……あなたが。お待ちしてました。……どうぞ」
「……失礼します」
チャイムを鳴らしてしばらく待っていると、疲れきった様子の、けれどきっちりと化粧をした女性が出てきて、そう俺を中へと招き入れた。
知らない家に入るのは、やっぱ緊張する。友だちん家って……言えるかどうかさえ微妙だし。
...ゴーストルール 6・7 ※2次創作
周雷文吾
4
「あ。みーくんじゃーん」
「よぉ、カツ」
「昨日はみーくんも来ればよかったのに。カツの歌、マジサイコーに笑えたんだから」
「サヤ。テメーは地獄に落ちろ」
「女の子にテメーとか言ってる方が地獄に落ちろっての」
「だいたいなンだよ、97点とか頭おかしーだろ」
「これが歌唱力ってもんよねー。……でも、...ゴーストルール 4・5 ※2次創作
周雷文吾
Ghost Rule
1
夜になっても眠ることのない街で、俺たちはたむろする。
「ねー。聞いた?」
家に居場所がなくて、行くあてもないやつらが自然と集まってできた、友だち以上、親友未満みたいなグループ。
「なにを?」
「先週、向こうの交差点で誰か轢かれたんだって」
来るもの拒まず、去るもの追わ...ゴーストルール 1~3 ※2次創作
周雷文吾
6.
「一人だけ、暗い顔をしてるよ」
「それは、その……」
周囲を見る。
どこまでも続く青い空と緑の草原の仮想現実空間。そこに、34人の姉妹がいる。みんな、せんせいに声をかけられた私を見ていて、なんだか居心地が悪い。
「……あの、まだ、不安で……」
体を精いっぱい縮こまらせて、消え入りそうな声...Sol-2413 No.6 ※2次創作
周雷文吾
4.
「ミク姉ー。そっちはどう? こっちは歩いても歩いても岩石ばっかり。つまんないよー」
Sol-2413を周回するもう一つの星、惑星Bことファクと私が名付けた星からそんな声が届いたのは、それから1ヶ月あまりたった頃だった。
「リン、久しぶりー。こっちは前回から28種も新しい植物見つけちゃった」
...Sol-2413 No.4・5 ※2次創作
周雷文吾
Sol-2413 二次創作
1.
朝起きたら、その日の気象データを確認してウラノスに報告するのが私の日課だ。
充電ステーションから起き上がると、伸びをして各関節の簡易稼働チェックをする。
――うん、今日も問題なしだね。
それからもう10年も使い続けているポッドの扉を開けて外へ出る。
「うわっ...Sol-2413 No.1~3 ※2次創作
周雷文吾
10
#include
int main(void){
remember(before 3 years,before 28 day);
「僕、グミの事好きだよ」
その言葉のせいで、私の涙は余計に止まらなくなってしまった。でも――は、今度はあわてふためいたりする事なく、私を見てただにこにこと...メモリエラ 10 ※2次創作
周雷文吾
9
#includε
int m@in{
pre∫ent();
壁越しに、シャワーの音が聞こえる。
どこか軽快にさえ感じるその音は、寝室の中で転がり、跳ね回っているみたい。
シャワーを浴びているのはトワだ。疲れた様子のトワに「先に寝ていいよ」と言われた私だが、どうにも目が冴えてしまって...メモリエラ 9 ※2次創作
周雷文吾
8
@includε
iηt m@in{
prε∫ent();
トワダさん――トワと出会ってから、もう一年になる。
正確に言うなら、再会して――からか。
また梅雨が開けてむし暑くなってきた部屋の外には、中々出ていく気になれない。
私は結局、過去の事をほとんど何も思い出せていないままだ...メモリエラ 8 ※2次創作
周雷文吾
7
@inκludε
iηt m@in{
qrε∫ent();
「グミ? なにを、そんなジョウダンなんか……」
「……?」
むずかしいことばをいっぱい使うその人が、いったいなにを言っているのか、どんなことを考えてるのか、わたしにはさっぱりわからなかった。
「……」
なにか言おうとして、け...メモリエラ 7 ※2次創作
周雷文吾
6
@inκludε
inλ rεmeωbθr (ye@r a,dÅy $)
{
inλ x+ 0;
inλ y~ θ;
κonT@ct{
hiPpoc@mpu$("#yεar #day",@,b);
mωmOry aκCe∬("#ippθcamβαs &...メモリエラ 6 ※2次創作
周雷文吾
5
#include
int main(void){
present();
半年も同棲していたっていうのに、トワとこんなに色んな事を話したのは凄く久しぶりだって思った。
お互いの仕事の話。
テレビのニュースの話。
最近読んだ小説の話。
レンタルしてた映画の話もしたけど、人の顔が見分...メモリエラ 5 ※2次創作
周雷文吾
4
#include
int main(void){
remember(before 1 years,before 31 days);
一年と一ヶ月前の事だ。
六つ目の会社を辞めるべきかどうするか悩んでいた頃。
そんな頃に、私は初めて精神科に受診した。
今の、在宅のコンピュータプログ...メモリエラ 4前編 ※2次創作
周雷文吾
3
#include
int main(void){
present();
「……あ」
とりとめのない事を考えながら無心にプログラムを書いていたら、気付けば夕方の四時半になっていた。
思わず声が漏れてしまって、口元をおさえる。
……まあ、キリが良いし、今日はここまでにしておこうかな。
...メモリエラ 3 ※2次創作
周雷文吾
2
#include
int main(void){
present();
「グミ、いってきます」
寝起きのぼんやりさとは打って変わり、しゃきっとした声だ。
表情を読むのも苦手だから、私はたいてい声音でトワの気分を推測する。スーツを身にまとって玄関から出ていくトワは、今日も調子が良さそう...メモリエラ 2 ※2次創作
周雷文吾
メモリエラ 二次創作
1
#include
int remember (year a,day b)
{
int x= 0;
int y= 0;
contact{
hippocampus("%year %day",a,b);
memory access("h...メモリエラ 1 ※2次創作
周雷文吾
焔姫2(仮)
1
氷雪をたたえる山脈のふもと、干上がった荒野にある小さな都市国家。
その街中を一人の青年が歩いている。他の者とは明らかに違う蒼を基調とした上質で典雅な衣装を身にまとい、業物らしい剣を腰に提げている。
高貴な人物であることに疑いはないが、彼は一人で、誰も帯同していない。ゆったりとした足...焔姫2 プロット ※2次創作
周雷文吾
7.
……。
……。
……。
柳隆弘君が行方不明になってから一週間後、彼は無残な姿で見つかった。
そのときのクラスの雰囲気は、正直に言って、最悪だとしか思えなかった。
クラスメイトは悲しむ様子など見せず、あまつさえ鼻で笑っていたのだ。あいつ死んだってよ、あーあ、笑えるやつがいなくなっちま...Alone 7 ※2次創作
周雷文吾
6.
「柳君、私が君のことを許すよ」
あのとき、柳君の背中に告げられなかった言葉。
それをつぶやいて、私はかぶりを振るしかなかった。
学校からはかなり離れたところにある、海沿いの自然公園。そんなところに、私はやってきていた。
入り江になったところには、小さいけれど砂浜がある。海に入れる時期で...Alone 6 ※2次創作
周雷文吾
5.
学校が終わってから塾が始まるまでの、少しだけ空いた時間。それが私にとって唯一、自由と呼べる時間だった。
図書館に行ったり買い物をしたり、買い食いをしてみたり。それは一時間もないけれど、その短い間だけはささやかな自由を満喫する。
このとき、私はいつも一人だ。誰かとそういうことをしたことなん...Alone 5 ※2次創作
周雷文吾
4.
「――でさ、それでね、あいつったらなに言ったと思う?」
「なに、またバカみたいなくっさいセリフ吐いたわけ?」
「そーそー。『君のことは俺が絶対守るから』だって。アホらし。誰があいつなんかと同じことするかっての」
「あははっ、キリひっど。キリの猫かぶりっぷりはホントハンパないよねー」
「ちょっと...Alone 4 ※2次創作
周雷文吾
3.
「……」
昼休み。
私は校舎の階段の一番上にやってきていた。
屋上の扉は施錠されている。だから、滅多なことではこんなところに人は来ない。
ここは、誰とも一緒にいたくなかった彼の逃げ場所だった。そして今では、私の逃げ場所になっている。
彼は毎日、授業が終わるたびにここへとやってきては、...Alone 3 ※2次創作
周雷文吾
2.
『うん……ごめん、大丈夫だから』
そんな風に言って、まるで拒絶するみたいに彼がうつむいていたのが、たった三ヶ月前のことだなんて信じられない。
あのとき、私はあきらめるべきじゃなかった。無理にでも教室の外に引っ張っていって、あんな先生やクラスメイトのいないところに連れて行くべきだったんだ。
...Alone 2 ※2次創作
周雷文吾
Alone ※二次創作
1.
孤独。
その言葉の本当の意味を、最近までわかっていなかった。
人とは、他者がどれだけ近くにいようとも、孤独になれる。そう、彼は結局のところ、おそらくは一番近くにいたであろう私にも、心を開いてはくれなかったのだ。
私だけは、彼の味方のつもりだった。私だけは、彼の苦...Alone 1 ※2次創作
周雷文吾
エピローグ
王宮の奪還より、早二ヶ月が経とうとしていた。
王宮二階の広間には、剣の傷跡や落としきれていない血痕が残っており、あの時の凄惨さを物語っている。
自らがここで宮廷楽師として召し抱えられたのが、もう一年も前の事になるとは、男には到底思えなかった。あっという間に過ぎた怒涛のような毎日に思...焔姫 47 ※2次創作
周雷文吾
第十章 06
「カイト!」
焔姫が男へと駆け寄ろうとするが、元近衛隊長が剣の切っ先で制する。
「アンワル……なぜじゃ」
「姫。貴女には……分からないでしょうね」
理解出来ずに困惑する焔姫に、元近衛隊長は悲しそうに告げた。
「密告者がおるやもしれぬとは思っておったが……味方を売り渡したのも、汝か?...焔姫 46 ※2次創作
周雷文吾
第十章 05
「な……んだとぉ?」
進む通路の先からそんな怒鳴り声が聞こえてきて、焔姫たちは顔を見合わせる。
「この声は……」
「……ハリドじゃな」
男の疑問に焔姫もうなずき、元近衛隊長もまた呼応した。
「向かいましょう」
「ああ」
三人は足音を忍ばせて暗がりを歩き、声のもとへと近づく。
「…...焔姫 45 ※2次創作
周雷文吾
第十章 04
「アンワル」
階段を駆け下りながら、焔姫が元近衛隊長の名を呼ぶ。
「はっ」
「ナジームは……まだ、軍におるのかえ?」
「そのはずです。辞したとの話は聞いておりません」
「ならば……ハリドはナジームの所じゃな」
焔姫は階段を降りきると、軍本部の兵舎がある方へと向かう。
「メイ……姫。...焔姫 44 ※2次創作
周雷文吾
第十章 03
「……剣を抜け。戦じゃ」
焔姫の声に、皆が剣を抜く。
階下ではすでに怒号や悲鳴、剣戟の音が響いていた。こうなった以上、もはや奇襲という方法には意味がない。
「標的はハリド・アル=アサドただ一人じゃ。この混乱に乗じて仕留める。邪魔する者には容赦をするな」
「はっ」
皆の声が小さく唱...焔姫 43 ※2次創作
周雷文吾
第十章 02
焔姫が再び立ち止まる。
声は発しない。だが、圧し殺しきれずに全身から漏れ出す殺気がありありと伝わってくる。
前方をよく見れば、かすかな光が見える。どうやら隠し扉に開けられたのぞき穴なのだろう。暗黒に慣れた身には、国王の居室へと差しこむわずかな月明かり程度でも、ずいぶんと明るく感じ...焔姫 42 ※2次創作
周雷文吾
第十章 01
稜線に氷雪をたたえた峻厳な山脈が、月明かりの下にたたずんでいる。
山脈には草木などほとんどなく、あれた岩肌がのぞいている。
そんな山脈の中腹をゆく一行があった。その数は十二人。皆、山を越えるための装備は持っていない。
身につけているのは革の鎧。手にしているのは剣だった。
山を...焔姫 41 ※2次創作
周雷文吾
第九章 02
男と焔姫が、真夜中の街を走る。
民家の屋上を次々と渡り、二人はただ遠くを目指す。
やがて近衛の気配が感じられなくなったのを確認して、二人は建物の上から路地へと飛び降りた。
「……くっ」
「メイコ!」
飛び降りた拍子に肩を押さえる焔姫に、男も立ち止まって心配そうに彼女を見る。
...焔姫 40 ※2次創作
周雷文吾
第九章 01
あれから、三週間が経過した。
とある民家の屋根の上で、焔姫と男は星の輝く夜空を静かに見上げていた。
二人の顔からは憔悴の色が見え隠れしている。近衛兵たちを避けて民家を渡り歩く生活が、二人の神経をすり減らしているのだ。
「……静かな夜じゃな」
「ああ」
「あと数刻後には王宮に攻め込...焔姫 39 ※2次創作
周雷文吾
第八章 05 前編
「楽師殿。私はもう近衛隊長ではありませんよ。近衛は辞しました。今では近衛のほとんどが賊だった者たちです」
「なるほど……ですが、それを言うなら私ももう楽師ではありませんよ」
二人とも、お互いの立場の変化に苦笑いしか出てこなかった。
「……それならば、余ももう姫ではないな?」
「...焔姫 38 ※2次創作
周雷文吾
第八章 04
さらに三日が経過した。
「そろそろ弾圧が始まるじゃろう。余をかくまっておる民は重罪人じゃとな。あ奴らの思考を読むのは容易い。余が見つからぬ現状に業を煮やした奴らは、余が姿を表すまで無辜の民を殺し続けると言いかねん」
常に移動を繰り返していながらも、なんとか起き上がる事が出来るほどに...焔姫 37 ※2次創作
周雷文吾
第八章 03
それから三日が経過した。
街は厳戒態勢が敷かれ、宰相と元貴族からなる新政権は血眼になって焔姫の身柄を捜索していた。
広場で宰相に刺された国王は、その数時間後に死去したという。あとは焔姫が捕まってしまえば、名実ともにこの国は宰相と元貴族の手に落ちる。
男は街を出る事をやめた。
...焔姫 36 ※2次創作
周雷文吾
第八章 02
「早く、中に入んな」
「……申し訳ありません」
男は焔姫とともに民家に入る。
家主は外の様子をうかがい、誰にも見咎められていない事を確認すると戸を閉めた。
「……何言ってんだ。この国の人間なら、誰だって姫様の味方だ。謝る事なんてねぇよ」
「すま……ぬな。……恩に切る」
焔姫が荒い...焔姫 35 ※2次創作
周雷文吾
第八章 01
焔姫が斬られた。
男には、それを信じる事がどうしても出来なかった。
国王が刺され、気を取られたところに不意打ちで背中を斬られた焔姫は、手にしていた剣を取り落としてしまう。
かしゃん、と乾いた音をたてて焔姫の剣が台の上に落ちる。
その音が、皆の緊張の糸を切った。
民衆は我先に...焔姫 34 ※2次創作
周雷文吾