タグ「和風」のついた投稿作品一覧(4)
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1A
巡る望月 轍(わだち)を照らす
密やかに訪ねた数だけ
深くなる溝 車が揺れる
1A
手繰る襲(かさね)と焚かれた香が
狩衣(かりぎぬ)と重ねた数だけ
交ざり合う色 御簾(みす)から覗く
1B
宵の帳(とばり)を請うる溜息...逢瀬
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1A
遠く揺れては連なる橙(だいだい)
朱く千切れた鼻緒は縁(えにし)
高くさざめく葉音に紛れ
鬼子(おに)は迷子を包引(かどわ)かす
1A
滲む爪先 玉砂利埋めて
両の掌 数えた半ば
ひとつ 重なる言葉と指が
闇から私を引き上げる...鬼灯の縁
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1A
悪戯に言の葉を弄(ろう)して
気紛れに君を揶揄(からか)う
拭い残した小指の紅で
いじらしい嫉妬を残す夜
1A
望月が薄らいで消えゆく
後朝(きぬぎぬ)の文(ふみ)は徒然(つれづれ)に
他に愛した女は居ないと
嘯(うそぶ)いて囁く 花と共に...くれなゐの嘘
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1A
漏れ出づる香(こう)の薫(かおり)
其(それ)は愛しき唇から吐き出されては
消える間際まで尚 褪せず
指先までも染める程に
此の身に絡んで抱き締める色
1A
焦げ付いて残る跡は
灰の儚き脆さなど知らぬまま
消える間際まで尚 尾を引いて...残香(ざんこう)