タグ「神威がくぽ」のついた投稿作品一覧(9)
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お昼になった。
予定では駅前に戻ってレストランで昼食ということになっていたのだが、ミクが屋台村に興味を引かれて「ここで食べたい」と言い出したので、2人は会場の南側にある屋台村へ来ていた。
しかし丁度昼時ということもあり、大変な混雑ぶりであった。
「妹君、こちらへ」
「はーい……むぎゅ、わ~~~...桜と藤の雨四光(8)
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良い天気だった。
空は雲一つない快晴。この時期にしては日差しも柔らかく、まさに絶好の外出日和であった。
大勢の人々が待ち合わせのために集まる駅前の噴水広場。その噴水の近くで、がくぽはガチガチに緊張した面持ちで立っていた。
いつもの和装ではない。濃紫のシャツに黒のレザーパンツを履き、足元は本革の...桜と藤の雨四光(7)
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時計の針が5時ちょうどを差し、ようやく補習が終わった。
最後に宿題のプリントを山ほどくれて、先生が教室を出て行く。その足音が遠くへ消えて行ったのを確認してから、リンは力尽きたように机に突っ伏した。
「あ~、しんど……」
オーバーヒート気味の頭に、机のひんやりとした感覚が心地よい。リンはそのまま...桜と藤の雨四光(6)
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壁にかかったデジタル時計が午前11時55分を刻む。
そろそろ昼食時となるこの時間帯、ヴァルハラは喧騒に包まれていた。
「車の用意は出来ているのか? 社長は昼イチで出られるぞ」
「はい、午前中のうちにワックスがけまで終わっております」
「もう正面に回しておけ。今日はいよいよ株主総会だ、万が一にも...桜と藤の雨四光(5)
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♪ ストロベリー色に色づいた私の頬見つめないでよ
考えてきたセリフも忘れちゃいそう
愛らしく華やかな歌声が、スタジオいっぱいに響き渡る。
雪化粧に彩られた白銀のバルコニー。
上空からは大粒の牡丹雪がゆっくりと舞い降り、周囲に散りばめられた七色の照明が幻想的な光を浮かび上がらせている。
♪ ...桜と藤の雨四光(4)
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「主上!」
返事がない。
「主上ッ!!」
返事がない。
「しゅううううぅぅぅじょおおおおぉぉぉーーーっ!!!」
ビルを震わせる大音声が響き渡った。
あちこちでパソコンやテレビがブラックアウトし、エレベーターが緊急停止する。
あとゴンドラに乗って窓ガラスの清掃作業をしていたAさん(19)が、「も...桜と藤の雨四光(3)
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「あたしは情けないわ!」
メイコは大いに嘆いていた。
「人様を電気ショックで気絶させただけに飽き足らず、記憶喪失だなんて……どうしてうちの子は、こんな乱暴な子に……」
「まあまあメイコさん。兄さんだったら、きっと大丈夫ですから」
そんなメイコを、グミが苦笑交じりに慰めている。
あれから戻って来...桜と藤の雨四光(2)
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桜と藤の雨四光 (さくらとふじのあめしこう)
【慣用句】
どだい無理であること。荒唐無稽なこと。
【生起】
花札の雨四光という役は、20点札5枚のうち「柳に小野道風」を含む4枚を獲得して出来る役である。桜には「桜と幕」という20点札があるが、藤に20点札はなく、雨四光を作るのは不可能であることから。...桜と藤の雨四光
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暑い日が続いていた。
とある事情により、グミは3日間ほど自室に籠っていた。
学校は夏休みなのでその点は問題ないのだが、日に1回の食事と入浴以外は本当に部屋から一歩も出ないという、それはそれは見事な夏休みの無駄遣いっぷりだった。
別に大したことがあったわけではない。世の中を見渡せば毎日のように起...夏とお酒と私の兄さん