タグ「アドレサンス」のついた投稿作品一覧(10)
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*Rin side
翌朝。
私を待っていたのは来なくてもいい朝だった。
昨夜居たはずのレンはもう居なかった。
少し気分が悪い。
それでもレンの様子が知りたくてリビングに足を進めた。
「おはようリン」
レンはいつも通りの笑顔で普通に言った。
「おは・・・よ」
「顔色が悪いわよ、リン。どうしたの」...12時の針と二人の距離 10【アドレサンス】
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※卑猥な表現があります。ご注意ください。
*Rin side
1時5分。長針と短針が再び重なり合う。
それと合わせるかのように、私たちもひとつになる。
時を止めて欲しかった。
このまま二人でひとつになっていたかった。
刻む鼓動一つ一つをシンクロさせて。
「リン?」
「レンっ・・・」
何度もお互いの名...12時の針と二人の距離 9【アドレサンス】
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※卑猥な表現がありますのでご注意ください。
*Len side
かろうじて残る理性で僕はリンに言った。
「明かり、消すから」
リンは首を縦に振った。
「お化けなんか怖くないから」
幼い言い訳はもう終わり。
双子としてずれているのなら。
今度は〝リン〟と〝レン〟で繋がればいい。
時計の長針と短針みたい...12時の針と二人の距離 8【アドレサンス】
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*Rin side
―――ガチャン・・・
レンが扉を閉めるとき、一瞬戸惑ったのが分かった。
困ったような顔で私を見る。
「リン」
私はレンに抱きついた。
私はレンに甘えるとき、いつも抱きついていた。
パパとママは知らない。
いくつになってもずっとじゃれあってたこと。...12時の針と二人の距離 7【アドレサンス】
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*Rin side
望まなくとも朝は来るって言う言葉があるけど、今の私にとっては望まなくとも夜は来る、ってやつだ。
つまり、時間には逆らえない。
11時30分。いつもはとっくに寝ているはずの時間。
レンは部屋の荷物を移動させている。もうそろそろ終わるはずだけどまだ来ない。
一人では広すぎるベッドに横...12時の針と二人の距離 6【アドレサンス】
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*Len side
翌朝、僕は目を覚ました。
リンは泣きながら寝たのだろう、涙の跡がついているし、買ってもらったばかりのはずのネグリジェもくしゃくしゃだ。
そのネグリジェも僕を貶める。リンを犯してしまおうという悪魔の囁きが毎晩のように聞こえるのだから。
もう、限界だった。
それでも離れたくなかった。...12時の針と二人の距離 5【アドレサンス】
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*Rin side
真夜中のこと―――――
私は目が覚めてしまった。
レンが隣ですうすう寝息をたてていた。
人は寝ていると無防備で幼く見えるというけれど、やっぱりレンは少し大人びてるなぁと思った。
さっき髪を梳かしてもらった鏡台の前に立つ。
「え・・・・・・・?これ・・・私?」
鏡の前に立っているの...12時の針と二人の距離 4【アドレサンス】
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*Len side
「......レンのばかっ」
「ごめん、リン」
リンが目に涙を溜めて訴える。
僕は約束など忘れたようなフリをして、
「もう14歳なんだし、お互い自立しないと...な?」
「レンは...そんな風に思ってたんだね...?あの約束...」
「約束?」...12時の針と二人の距離 3【アドレサンス】
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*Len side
―――――約束だよ
10年前のリンの声が今でも虚しくこだまする。
僕は〝あの約束〟を忘れたわけじゃない。
というより、忘れる訳がない。
リンはとても悲しそうに「そう。じゃあ私は誰と踊ろうかなぁ」と呟いた。
僕が約束を破ったのには訳がある。
ひとつは、父さんに言われたから。
そして...12時の針と二人の距離 2【アドレサンス】
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カチャ。
少年が静かに朝食を終えた。
少年は金髪に光が当たると透き通った青に見える瞳を持った美青年。
朝食は普通の家庭では目に出来ないような高価な皿に盛られている。
その皿がこの家は富豪の家であることを語っている。
「じゃあ、リン。僕は先に部屋にいってるから」
リンと呼ばれた少女もまた、少年と同じよ...12時の針と二人の距離 1【アドレサンス】