作曲という迷宮の入り口に立つ人たちへ

初心者の方で本当に何も知らない人向けです。
とりあえずボカロPやりたい、ネタはある、歌詞もできた、音楽作った、ボカロに歌わせた、よく分からないけどmp3にも落とし込めた、何とかアップしたというところですかね。

しかし、本当はここで終わりではない。アップする前にやらなければならない作業が残っています。
よく2mixと題名に記載しているあの文字です。本来はその次にマスタリングという作業もやりますが2mixだけでも行けるのでまずはそこだけ注目します。

音楽作って歌詞を当ててというのは料理で言うと具材を切って、下ごしらえをしたところという感じです。2mixとはその後で焼いたり、蒸したり、調味料で味付けしたりという工程になります。もっと簡単に言うとインスタントラーメンで3分麺を茹でたのが作詞作曲です。
薬味やスープを入れるのが2mixです。

こう説明されると分かりやすいと思うが、ラーメンを作る、料理を作るに当てはめた時に作詞作曲は半分です。もう半分の作業が調理と味付けです。ということは何もせずにアップするということはラーメンを茹でただけ、料理の具材を切っただけということになります。

重要な作業にもかかわらず、これだけ音楽を作っている人がいるにもかかわらず誰も説明してくれません。業界も責任と言ってもいいですが、2mixを説明されなければベタ打ちで当然です。
ところがマジカルミライにせよニコ動イベントにせよそこまで完璧にやった人のみがその「門をくぐれる」ということにもかかわらず、何の説明もないのです!

そう門をくぐるためだけに必要なことを誰も言わない。戦えるチャンスがあるのはその門をくぐれた人たちだけと言っても過言ではない。そういう重要なことを説明もしないのにDTM始めて見ませんか?
と来るわけです。おかしな世界です。そこできわめて簡単に書きますがその「2mix」=ミキシングという作業はどういう工程を経て行われるのかを説明します。

1.音の配分
2.飾り付け
これだけです。

音の配分は文字どり何を強調するのかという話です。ロックにせよポップにせよ、歌詞があり、ボカロでも何でも歌ってもらっているものはメインはボーカルです。ボーカルが前に来ない音作りはありえない。なのでベタ打ちするとボーカルが他の楽器にうずもれてしまいいまいち聴こえにくかったりする。次にリズムを刻むならドラム、迫力を出したいならベースとなります。ギターやシンセはとりあえず脇役です。

まず音を配分しますが、配分の仕方は各楽器のボリュームです。強調したいものは大きくします。ボリューム調整に幅を持たせたいなら各楽器の出力に「GAIN」という入力音圧調整があるのでそれを5とか6まで上げておきます。
メインの音は左右に音を振りません。シンセやギターは振ります。ドラムやベースも振らないことはありあせんがそれは各人のポリシーの問題なのでやりたい人はやるでいいと思います。
左右に音をふることをPan(パン)といいます。シンセを左から50に振ったらギターは右から50というように振り分けます。ドラムもバスとスネア、シンバルを分けるならバスを左30、スネアとシンバルを右から30というふうに振る場合もある。

次に重要なのが全部の音を集約して出力しているところ=「マスター」。普通はボリュームのつまみが赤になっているので分かりやすい。CUBASEなんて出力の一番下に隠れているので不親切です。見つからない人は探してください、必ずあります。音が鳴る度に上下に動いているはずです。
(これはどの楽器のところにもありますが)
マスターの音を見て、黄色や赤の色になっていないか?を確認します。普通は緑とか青です。

これは「安全な範囲」に音が収まっていることを意味します。なるべくこの範囲に収まるよう各楽器のボリュームを調整します。パンもやりすぎないようにします。だいたいどの楽器もマスターも0デシベルを超えないように調整します。

どうしても超える場合にはマスターにリミッターというダイナミクスの一種を入れて0デシベルを超えないようにします。入力が安全範囲を多く超えているとリミッターでカットされるのでなるべく
超えないように各パートを調整します。0デシベルを超えると「音割れ」を起こしてしまいます。
音の配分はこれで終わりです。

次は飾り付けです。
音は低音から高音までいろいろあります。音の配分で弱い所を強めてやりますが、必要最低限にすべきです。まずはイコライザーです。EQと表示されています。これで大体4種類の周波数帯をグループ化していてを波形で表してくれます。ベースは低音を強調し、ドラムは1.バス、2.シンバル系、3.スネアの順に強調します。
ボーカルは女性と男性で強調すべき音域が違います。
ここでもボーカルを聞こえづらくするような調整はダメです。
マスターに設置したリミッターの入力が黄色や赤になっていないかも見ながらEQを調整します。
何度も言いますが必要ならするし、やるにしても必要最低限です。

次にエフェクトです。色付けです。Eギターなどは音色を選んだ時点でひずませている場合もありますが、エコー(リバーブ、ディレイ)を掛けたり、歌声を魅力的にするためのものです。私は
歌声にコーラスをよく使います。一番使うのはリバーブやディレイでしょう。基本的にはこんなものです。ストリングスにはリバーブを掛けて広がりを持たせ、ボーカルにはディレイを掛けます。リバーブでもいいですが歌声をハッキリさせたいが、リバーブっぽくしたい場合はディレイです。

ここまでやってマスターを見てみます。リミッターを掛けているなら0デシベルは超えてないし黄色や赤の警告領域にも入っていないはずです。リミッターの入力はどうでしょうか?同じように黄色や赤の警告領域に入りっぱなしなっていないでしょうか?少し超えるくらいならOKです。
それでも物足りない場合はマスターのリミッターの下にマキシマイザを入れて音圧を上げます。30%程度以上は上がらないことが多いのでそこら辺にしておきます。各楽器の音を控えめに調整するのはここでマスターのボリュームを上げても音割れしないようにするためです。上げしろを残して
おくと後で上げられます。
再度マスターを確認です。警告色に入っていませんか?入っていなければこれで終わりです。

数時間後か日を改めて聴きなおして微調整を繰り返します。

とりあえず、こういったプロセスが2mix(ミキシング)と呼ばれる作業で作詞作曲で半分、ミキシングで半分やって完成です。音の感じが全く違うと思います。
もっと深い考察は今後で良いでしょう。コンプレッサーとかありますが、これも必要なら入れるようなものなのでかけまくって音圧上げるようなことには使用しない方が良いです。

そういうオマエはどうなんだ?と言われそうですが、自分のミキシングもダメです。
なので、考察を続けています。ただ、言いたいのはこれだけ大事なミキシングの作業を誰も説明しないことです。山登りの半分まで、登ることしか教えないのと同じです。
必須の作業にもかかわらずです。「そんなことは知っていて当たり前だろう」とか「そんなことは自分で気が付いて勉強しろ」というのはいかにも日本的で排他的です。

せっかく作曲、ボカロに興味を持ったのにモヤっとしたものを抱えたまま止めて行ってしまうのは残念でしょう。そういう能力は誰にでもあるわけではないのだしせっかく作曲、作詞と完成させたならやるべきことは知っておかないといけない。これを見て自分もやってみよう、過去作品をもう一度考察してみようという人が現れたなら幸いです。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

作曲という迷宮の入り口に立つ人たちへ

大まかなミキシングの説明です。作詞作曲が半分、ミキシングがもう半分です。これだけ重要な作業なのに誰も説明しようとしません。知らない人、やっていない人はまず知ることからです。偉そうなこと言っていますが、誰も書いていないようなので解説します。

閲覧数:279

投稿日:2023/12/01 17:03:24

文字数:3,203文字

カテゴリ:その他

クリップボードにコピーしました