十五夜の折 帰らなければ
ここに私の居場所は無いと
寄せては返し 満ちては欠ける
月に想い残して


最初の男に望んだのは
仏の御石の鉢
天竺から持ち帰ったという
光生まぬ紛い物

二人目の男に望んだのは
蓬莱の玉の枝
まことしやかな冒険譚
けれどそれも作り物

求むる人よ 憂う人よ
誰も私に触れられない

月の都に 帰らなければ
ここは私の居場所ではない
寄せては返し 満ちては欠ける
月に想い焦がれて


三人目の男に望んだのは
火鼠の革衣
試しに火にくべてみせれば
燃え上がり灰に帰す

四人目と五人目の男には
竜の首の玉
そして燕の子安貝も
手に入れること叶わず

哀れな人よ 優しき人よ
誰も私を揺らさないで


天の羽衣 感情も失せ
胸の灯消える前に
歌と手紙と不死の薬を
最後の贈り物を

十五夜の折 空へと昇る
俗世の者と別れを終えて
生きとし生ける 命育む
地への想い残さず

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

月都の姫君

閲覧数:183

投稿日:2016/12/08 12:27:15

文字数:397文字

カテゴリ:歌詞

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