さびしい満月の夜には
気を遣ってお月様が話をする
よくわからないお話だけど
その気持ちで満たされていく

流れ星に邪魔されて怒ったり
雲に隠されて聞けなかったり
仕方のないことも多いけれど
それでも私たちは友だちです

新月の夜はいないフリしてかくれんぼ
三日月の日にはスタイルアップでうれしんぼ

何もかも覚えていられる訳じゃないけれど
小さなクレーターに私の涙浮かべてたい


わびしい満潮の夜には
気付かれたさざ波とお話しする
とりとめのないお話だけど
その響きで満たされていく

トビウオに笑われて嘆いたり
雨に紛れて聞こえなかったり
やむを得ないことも多いけれど
それでも私たちは友だちです

雷の夜はわめくフリしてパーティーを
凪いだ日は無口なフリして内緒話

いつまでも繋いでいられる訳じゃないけれど
小さな飛沫に私の心沈めてたい


ささやかな話たくさんちりばめて
私まで星空になりそう水底映しそう
でもねでもね大切なの変わらないよ
今日もまた会えたらいいなって

月光で彩る小さな海の虹ひとつ
誰かに届かなくても知ってる
聞かせてもらったからたくさん
私もお話伝えて構わない？


優しい南風の吹く日には
不器用そうなそよ風とお話しする
捉え所ないお話だけど
そのリズムで満たされていく

セキレイにからかわれて拗ねたり
霧に遮られて見えなくなったり
どうしようもないことも多いけれど
それでも私たちは友だちです

台風の夜はタクト振りすぐアンコール
木漏れ日を揺らすフリして鼻唄を

そんなにも紡いでいられる訳じゃないけれど
微かな流れに私の意識溶かしてたい


忘れてしまった遠い日の泣き声も
下らないニセモノだけの笑い声も
言い当てて突き止めて慰めてそれだけ
甘やかされてわがままになっちゃう

理不尽な通り雨のような感傷だって
ことわりの無い地球みたいな産声だって
簡単に許せることに妬みすら感じてた
ややこしい考え方は苦手なのに変だね


流れ星に邪魔されて怒ったり
雲に隠されて聞けなくなったり
仕方の無いことも多いけれど
それでも私たちは今でも私たちは

もしかしたら友だちではいられなくて
もう家族みたいなものかも知れない
そうしたら前よりもっともっと
わがままを聞いてもらえるのかな

いつでも会えるからまた会おうね
さよならを言う必要もないだろうから