路地裏 酒気帯びの常連が
徘徊する繁華街
撒き散らかされた嘔吐物に
群がる鳩の群れだけが自然の産まれ
路上喫煙は禁止だと
掲げた立て札に焦げた痕
投げ捨てられた吸い殻が
排水溝に積まれている

転がった鼠の死骸を
掃いて捨てる人を見た
この街では命とゴミの
価値が等価な気さえした
明日になれば何事もなく
散らばった臓物も捨てられて
またのお越しをと下げた頭で
浮かぶ景色は上の空

並ぶ有象無象の人影が
飲み込まれていく繁華街
飲んで呑まれて吐いて巡って
もう一杯だけ もう一軒だけ
うわ言のように回らぬ呂律
千鳥足と比例して
踏みつける何かの残骸
成れの果ての塵芥


生きるべきか死ぬべきか
頭抱えて哲学気取って
現実に悩むべき問題は
逃した終電 財布の中身
どうせ明日は二日酔いだと
開きなおった梯子酒
嘔吐と共に羞恥心も
鳩に食われて何処かに消えた

小便禁止の貼り紙に
狙いを定めて立ち小便
皆で渡れば怖くないが
合言葉のように痴態を晒す
路地裏 酒気帯びの常連が
寝落ちて晒した鞄と知性
掃いて捨てられた鼠の死骸に
よく似た顔で眠ってた

慣れというのは恐ろしいもので
どんな阿呆も 来るのは神様
命を捨てたその手で配膳
貼りつく笑顔は上の空
漏れた臭気と下卑た笑いに
頭を下げて盃の準備を
背広を着こなす財布に見えた
有象無象 人の群れ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

繁華街

繁華街、渋谷の雑踏。
落ちた吸い殻、嘔吐物。
道で死んだ鼠の死骸を箒で転がす居酒屋の店員が、目に焼き付いて離れない。

閲覧数:78

投稿日:2022/11/09 21:30:34

文字数:582文字

カテゴリ:歌詞

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