「足を踏み外しただけなんです。 すぐに家に戻ります。」
そう言って君は戻らない。 今頃どこに居るのです?
遠くで花火が鳴り響く、地面にはびっくり箱が眠ってる。
花火の欠片を拾っちゃ駄目だと言ったけど、覚えていますか?
知らない人に見つからないように。
見つかっても怒らせないように。
もしもの時にと持たせたナイフはまだ綺麗だといいけれど…。
今日もまたテレビはいつものニュースで呆れています。
すでに何人に花を贈った事でしょう。
贈る花ももう咲かなくなってしまいました。
水をやるのはあなたの仕事だったのに、君は今どこに居るのですか?
「すぐに何もかもが全部良くなりますよ。だからきっと大丈夫。」
そう言った君を思い出す。 未だに外は騒がしい。
階下で酷い音が響き、振動が家の中身を壊した。
急いで庇ったのは君との思い出の写真。燃えずに済んだよ。
僕の荷物は、これだけでいいから。
居ない君をいつでも見れるように。
今居ない君の代わりなんだからすぐに戻ってきて欲しいな…
今日は空が曇り模様で気分が少し滅入ります。
君は今どんな景色を見ているのでしょう?
君の花はまだ頑張って育っていますよ。
きっともうすぐ蕾がつくと思うんだ。君の好きな真っ白なデージー。
「国がどうでも関係ないよね。人は分かり合えるはず。」
そう言って君は微笑んだ。 今でも笑っていますか?
昨日、君の一部が戻ったよ。だけど全部じゃないんだ。
髪と腕。他は戻らない。それでも会えてよかった…。
今日、花火が止みました。街中に歓声が響いています。
安心と喜び、そして少しだけ悲しくて、僕は泣きました。
花壇の花はきっと満開になるでしょう。
君が見てくれると信じています。
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