暦君は、スマホの画面を見返した。
さっきの妙な着信の、履歴は無かった。
「おかしいなぁ。オレの勘違いだったのかな」
首をかしげながら、ポケットにしまう。
ともあれ、地下鉄は降りてしまった。はやく、ミクさんたちの所に向かわなければ。
あたりを見渡すと、向こうにバス停がある。
「そうだ、たしかこの辺から、ニコビレ方面に行ってるバス路線があるな」
そう思って、そちらに行く。行き先を確かめると、さいわい、その路線だ。
そこでバスを待ちながら、遅れるという連絡の電話を、彼女たちに掛ける。
●お昼をいただいていたの
約束の時間より、30分ほど遅れてしまったが...
彼は、ミクさんたちのいるニコビレに着いた。
1階入り口近くにある、ティールームに行く。
窓際の席に、ミクさんの顔があった。
ほかに、紙魚子さんともう一人、女の子が座っている。
「ごめんなさい、遅くなっちゃって」
頭をかきながら、恐縮してテーブルに近づく。
「どうも!どうぞ、座って下さい」
ミクさんがにっこりする。
隣の席の、紙魚子さんも笑う。
「お久しぶりです、暦さん」
「あ、紙魚子さん。どうも、久しぶりですね」
隣に座っている女の子が立ち上がる。神社の巫女さんのような服装だ。
「はじめまして。白堰嶺レイムです」
「あ、レイムさんですね。どうも、はじめまして!」
暦君とレイムさんは挨拶を交わす。
「すみませんね、ミクさん。ずいぶん遅れちゃって」
しきりにあやまる彼に、ミクさんは笑う。
「いいのよ。紙魚子さんの仕事も、ちょうど終わったから、みんなでお昼をいただいていたの」
皆は軽い食事を済ませ、おしゃべりしながら、彼を待っていたようだ。
●それがしゃべったの
「暦さんは、食事まだでしょう?何か食べられたら?」
ミクさんの勧めに、彼は手を振る。
「いや、いや、いいんですよ。きょうは、朝メシ、遅かったし」
そう言って、テーブルの席に座る。
「バスで来たの?ここまで」
紙魚子さんが彼に尋ねる。
ニコビレに事務所を持つ紙魚子さんとは、何度かいっしょに仕事をしている。
「ええ。そうなんですよ」
暦君はそう答えながら、さきほどの地下鉄での出来事を思い出した。
地下鉄からバスに乗り換えた、その理由を、言おうかどうしようかと迷っていると...
紙魚子さんがこう言った。
「もしかして。暦さん、地獄に行かなくて、よかったですネ」
暦君は、あっけに取られて、目を見開き、彼女を見つめた。
「あ、図星だっ」
と、レイムさんはつぶやいて、面白そうに2人を見つめる。
何か言いたそうに、口を開けている彼を見つめて、紙魚子さんは言った。
「あのね、さっき、ここでミクさんの持ってる人形がね、しゃべったのよ」
そう言って、ミクさんのバッグについている“はっちゅーね人形”を指さす。
「ここでみんなで、食事してたら、それがしゃべったの。“降りたほうがイイヨ、それ。黄泉に行っちゃうヨ” …って、ネ」(・。・)
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出来立てオスカル
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ご意見・ご感想
enarin
ご意見・ご感想
今晩は、お久しぶりです♪ ここまでで読んでなかった本編作品を全部読ませて頂きました♪
いやー暦さん、やばかったですね。それ、黄泉の国=あっちの世界に直行する幽霊列車ですよ~
おそらく乗客、全員、いずれあっちへ行く予定の人物のはずなので、降りてなかったら…
それにしても行方不明の方も心配だし、そしてこんなトラップを仕掛けられる企業の方も、油断ならないですね!
それでは、次を楽しみにしてます! ではでは~♪
P.S イラストのブクマ、ありがとうございます! かなり早い年賀状用干支ボカロイラストでしたが、昨年年末にやって大変だったので、今年は1年かけてゆっくり描く事にしました。ボカロ小説もぼちぼち書いてます♪
2016/05/09 19:20:27
tamaonion
enarinさん、メッセージ有難うございます!
>それ、黄泉の国=あっちの世界に直行する幽霊列車ですよ?
地下鉄、というのは、どうも密閉空間で、怖い部分がありますよね。
地上の交通機関だとなかなか、怖さは出ませんが(笑)
でも、○レンジャーなどの敵が、スクールバスを乗っ取ったりする話も、いつか、ありましたね?...
>P.S イラストのブクマ、ありがとうございます!
毎年、enarinさんのイラストはインパクトがあって、楽しみにしてます。
今年は(来年の鳥・用ですね)、早いうちから発表されてますね。
いろんなバリエーション、出るのかなあ。楽しみです!
またぜひ、感想を聞かせてください!
では、また。
2016/05/10 21:54:05