なにかを忘れてしまうたびに
苗木を植えていったらきっと
私の儚い森はすぐに埋まるね
ヒノキクヌギにブナミズキ
生い茂った森を歩いたって
なにも思い出せるわけでも無い
その枝ごとにその葉脈ごとに
私が忘れた何かの今がある
とても落ち着いていられるけれど
とても罪悪感を抱いてしまう
悪意無く忘れ去る無邪気さに
木々の根が絡みついて解けない
なにかを忘れてしまうたびに
花の種を埋めていったら
私の拙い大地はすぐに花畑だ
カタクリハコベにニリンソウ
咲き誇る花たちに囲まれても
なにも取り戻せることはない
その色ごとにその花脈ごとに
私が忘れた何かの未来がある
とても華やいで見つめているけど
とても劣等感を抱いてしまう
意図も無く掠め去る危うさに
花の香りが染み付いて落ちない
なにかを忘れてしまうたびに
空に星を浮かべていったら
私の虚しい夜が昼になっちゃう
レグルスデネブにカノープス
幾多ある星達に照らされても
ここに巻き戻せる時間はない
その光ごとにその銀河ごとに
私が忘れた何かの過去がある
とても栄えて目も眩むけれど
とても焦燥感を抱いてしまう
未知に怯えるくせに今を消して
そのともしびだって忘れていく
育つ育つ
開く開く
光る光る
消える消える
揺れているように見えた?
これは僕の枝葉だよ見える?
笑っているように見えた?
これは僕の蕾だよ見える?
泣いているように見えた?
これは僕の星だよ見える?
消えているように見えた?
これはこれはなんだろうね
本当にこれはなんだろう
知ってる?
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あろうことか前・後篇あわせて12ページもあるので、どうぞお時間のある時に読んで頂ければ幸いです。
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時給310円
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