新しい傷に慣れてきて
その存在も忘れるくらい
そしたらもう私に何が残る？
私が傷だらけに見えるのかな

傷痕を「オトモダチ」と呼べるほどに
私は進化してはいないけど
残した爪痕を「リレキ」と言うのなら
誰かの日記帳にはなれるかな

理由を教えて欲しいなんて
幼い子どもみたいな事は出来ない
他人と同じのが欲しいなんて
分別無い大人みたいな真似はしない

理屈でどうにかなるのなら今すぐ
私の首にチップを埋め込んでよ

慣れた傷が古びて消えて
傷つけた相手も忘れたけど
そしたらもう繋がりは戻せない？
私に罪悪感抱かないのかな

瘡蓋に「サヨウナラ」と言えるほどに
私は退化してはいないけど
気付かぬ刃を「ガレキ」と言うのなら
誰かの処分場にはなれるかな

自分を認めて欲しいなんて
生まれたての声みたいに叫べない
この行列に並びたいなんて
常識通りのマナーに倣えない

言葉でどうにかなるのなら今すぐ
私の鼓膜にイヤホンジャック付けて

あなたはプラスあなたはマイナス
バランスを取りながら蹴落とされていく
中心に逃げ込んでもバランスは崩れて
いつか必ず誰かの足場が消えてく

傷のことを自慢せず治ったことを話さない
時計の針が動くのと同じくらい当たり前
そんな君が大好きで憧れでうらやましい
自分の口から出る棘で傷つく私とは違う

鋭さの欠片も無い切っ先で
化膿した事実も忘れたけど
そしたらもう細胞は消えてく？
体が治るの諦めたのかな

細菌に「コンニチワ」と告げるほどに
私は硬化していないけれど
許せぬ過去を「レキシ」と言うのなら
誰かが燃やしてくれないかな

分かったもう言わないなんて
繰り返す過ちを止められない
そうだね言う通りにするなんて
後ろ手に持った武器は笑わない

意識でどうにかなるなら今すぐ
私の右脳に針さして電気流して

絆創膏飲み込んでも傷は消えない
ステロイド抱きしめても過去は癒えない

ねぇ博士？

実験は失敗ですか？