「はぁっ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…!」
「お嬢ちゃん大丈夫か!」
「へーきへーき!コンサートに比べたらぜーんぜん!」
嘘を吐いた。喉はカラカラに乾いて、腕はガクガクしてもう感覚が遠くなって、足も今にも膝からカクンって折れちゃいそうだった。でも動かなきゃ…こんな奴等が施設に入ったらネムリがまた怪我しちゃう…リヌちゃんだって…!頑張らなきゃ…!私だって役に立ちたい!ネムリを助けてくれた人達に少しでも恩返しするんだから…!
「おい!来たぞ!3体!」
「まだ来るのかよ…!」
深呼吸してしっかり両足に力をこめる。大丈夫…大丈夫…絶対大丈夫…!
「全ては奇跡の名の下に…。」
「足を狙え!嬢ちゃんを援護しろ!」
あの時ネムリは目の前で真っ赤になった。キラキラしたネムリの髪はりんごみたいに真っ赤になった。霊薬で治ったネムリは泣きながら物を壊して苦しんでた…。許さない…!絶対許さない!絶対絶対絶対…!
「りんごさん…!」
時間が止まったかと思った。歪に光る金属の腕がスローモーションみたいに目の前でゆっくり振り下ろされるのが判った。
「…っ!!」
ごめんね…ネムリ…。
「何やってんだバカ女!!」
雷が落ちたみたいな声と、バラバラと落ちた金属音に恐る恐る目を開けた。
「…使土…く…ん?」
「詩羽様!」
「済まない、遅くなった。全員無事か?」
「はい!怪我人は出てますが重傷者は出て居ません。」
「使土…詩羽さん…。」
「よく踏ん張った。木徒、かぐや、翡翠と一緒に中へ急げ。安曇野、お前もだ、
彼女達を頼む。」
「はい。」
テキパキと詩羽さんの指示が飛ぶ中、使土君は口を開かなかった。怒ってる…?勝手な事したから…。
「何やってる、お前も戻れ。」
冷たい声に身が強張って、涙が出そうになった。もつれる足で踵を返して逃げる様に走り掛けた時、すれ違い様に腕を取られた。
「ご、ごめんなさ…!」
「守られとけよ…。冷や汗出たぞバカ女。」
「え…?」
「ほら、早く戻れ!」
「う、うん…!」
途中で転びそうになったのは、きっと暗かったから…気が抜けて足がもつれただけ…なんだから…!
BeastSyndrome -105.心配させないで-
ツンデレですね、判ります。
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