「あら、今年もすごいわねぇ」

楽譜に目を通していたメイコが大きな爆発音のするほうへ視線をずらす。
黒い空に光り輝く火の花。
赤、青、ピンクと緑に黄色…。
まるで自分たちの色みたいだねって隣に居る黄色い少年、レンが笑いかけた。
そうね、と微笑して再び楽譜に目を落とす。

今日は街の花火大会。
一週間前から散歩や買い出しに行ったときに、何回も鮮やかなポスターを目にしたものだ。

それを見る度に妹弟分たちは胸を弾ませていたと言うのに。
さかのぼるは30分前、メイコは曲の練習が今ひとつなので花火大会には行かないことにした。
残念そうにした一同に、苦笑いし手を振った。

『俺も残る』
そう言い隣に座り込んだレン。
びっくりしていたが、チョコバナナを買ってくることを条件に、片割れであるリンに告げてから、2人並んで手を振っていた。


「レン、本当は行きたかったんじゃないの?」
遠慮がちに言うメイコの問いにレンは少しムッし、「風邪気味だからいーの」と言い張った。

きっと気を使ってくれたのだろうな、そんな意地っ張りな弟分に思わず笑みがこぼれる。

ありがとうと1つ言うと別に、と素っ気ない返事が返ってくる。
でも真っ赤な顔を見ると、なんだか嬉しくてたまらない。

「メイコ姉、それどんな曲なの?」
切り出すかのようにメイコの楽譜を指差し疑問符を浮かべる。
そんなレンに対してこの曲の説明をする。

失恋した女性の毎日を物語る大人の甘酸っぱい曲。
力強く、甘く切なく
それはレンには難しかったようで、さらに疑問符が増えるだけだった。

あははと笑い、髪をくしゃくしゃに撫でてやるとレンは子供扱いすんなとそっぽを向いた。
怒らせてしまっただろうか、少しハラハラしていると歌が聞こえていた。

メイコのとは違い、中学生らしくまっすぐで。時々挫けそうにもなるけれど、恋人のためにも夢を叶えようとする綺麗な歌だった。

「俺こっちのがいい」
そう言いニッと笑うレン。それと同時にドン、と花火が打ちあがった。
レンの背後にキラキラと美しく瞬くそれは、レンの綺麗な金髪を引き立たせた。

あと、もう1つ―…

「ねぇレン、少しだけ外出て休憩しましょう」


空に打ちあがる音とは別に、心の中で何かが高鳴った音がした。









end

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

花火と


メイレン好きだよメイレン←

私自身、今年に入ってから花火見てないなぁと思いながらカチカチ打ちました(笑)

レンが歌っていたのはfire◎flowerです(


√オマケ(台詞のみ)

リ「ただいまー」
レ「おかえr」
リ「ほいチョコバナナっ!!」
レ「ひゃってにひへふらよ(勝手に入れるなよ)」

ル「素晴らしい歌が聞こえてきましたよ」
メ「あら、ありがとう」
ル「…姉さんにも春が来たかしら」
メ「はっ!?なにいっt」
ル「たこ焼きどうぞ^^」
メ「(もぐもぐ)…美味しい」

ミ「綺麗だったねー」
カ「ねーっ」


カオスwww


閲覧数:203

投稿日:2011/08/06 16:47:51

文字数:966文字

カテゴリ:小説

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