アイロン


毎日毎日　一枚一枚
アイロンをかけるの

今日も一日お疲れ様
カーテンをめくって空を見れば
ぽっかりと月が光って
ずいぶん日が短くなった

遠くから聞こえる足音
この足音がもう少し近づいたら
私の胸の隙間が埋まって
明るい光がさすんだろう

日々を大切にできてる自信がなくて
唇を震わす私の　頬に触れてくれるあなた

今日も洗いあがったシャツ
さっきまで風を受けていたハンカチ
一枚一枚　アイロンをかけるの
これを見たあなたの目じりに
優しいしわが入りますように
昇るスチームを眺める

窓ガラスのに映る私
他所の光が彩をくれてる
よく見れば星も瞬いて
夜は深まっていくんだろう

鍵を差し込みまわす音
あのドアが音を立てて空けば
私の胸は一杯になって
温かさが満ちるんだろう

頼りなげに佇んでいる自分の陰に
怯えてしまう私の　唇をなぞるあなた

昼の匂いを纏うシャツ
ひらひらと風と踊っていた
一枚一枚アイロンをかけるの
それを見たあなたの唇が
ゆっくり弧を描きますように
ゆったりとしたスチームを想う

毎日毎日　一枚一枚
あなたの為のアイロンをかけるの

いつの季節も変わらない
暖かでだけど暑くて幸せな
私の時間