◆咲音メイコ◆


 桜の花びらが、ハクの白いきれいな髪に舞い降りた。
 そのままでも可愛いので、黙っている事にする。
 するとハクは気づいたようで、取ってしまった。
「なんでとっちゃうのー?」
「え……えと」
「もう! とっちゃダメだよ!」
「じゃあめーちゃんもそのままにしといてください。似合ってます」
 え?
 ついてるの?
 頭を振ると、はらりと花びらが落ちてきた。
「もったいない」
「何が!」
「似合ってらしたのに」
「はあ?」


 春。


 私とハクは、同じ大学に進学した。


 そんでもって、同じアパートを借りた。隣同士。
「ねえ、知ってる?」
「はい?」
「二階を借りて、二週間するとあれが来るって話。そこは階段が十三段だったらしく」
「あーあーあー!」
 耳をふさぎ、大声を出すハク。かわええ!
「そういう話は夏にしましょう」
「……分かったわよ」




「あ、めーちゃん!」
 偶然だよね。
 てかこれが必然だったら神様を恨むぞ。
 部屋に戻ろうとしたら、後方で声が。
 始音君……。
「隣なんだ!」
「えー……隣なの?」
「うん」
 確か始音君は私とは違う学校のはず。
「わあ、咲音さん! 久しぶり!」
 始音君の後ろから出てきたのは、カイコさん。
「隣の隣だね」
 なぜか始音君と同じ部屋じゃない事にホッとする。
「なんでこのアパートに?」
「大学まで近いから」
「私はカイトがここにしたから」
 そういう台詞を恥ずかしげもなく言うな。
「めーちゃんは?」
「私も同じよ」
「カイトがここにするから?」
「大学が近いから」
 たぶんカイコさんは、「始音君がいるから」始音君と同じ大学に行ったんだろう。
 そこまで誰かの事を好きというのは、なんとなくうらやましい。
「お二人さん、付き合ってんの?」
「うn(ry」
「なんで?」
「仲良さそうだから」
「そうなんだー。じゃあもう一緒にいるのやめようか~」
 始音君が言うと冗談も本気に聞こえるから怖い。
「えー、やだー」
「あのめーちゃん、明日……あ、始音君カイコさんお久しぶりです」
 ハクが隣の戸から顔だけをだし、ちょこんと頭を下げる。
 可愛い……
「ハクもここだったんだー!」
「え、ええ、そうですが」
 ずっと立ってしゃべっているのが面倒になったので、
「私眠いから帰る」
 と言い残してから部屋に戻った。



 ダルい。体が重い。
 太ったかな……。
 入学式から一か月たったころ。
 体温を測ってみると、38.9度。
 よかった、太ったせいじゃない。
 ハクには遅れて行くと言って、先に行ってもらった。
 ああ、どうしよう。
 とりあえず病院に行こうと、保険証を片手に部屋を出る。
「あ、めーちゃん、おはよ」
 一番会いたくない奴に会ってしまった。
 顔が赤くなるのはたぶん熱があるからだ。絶対そうだ。
「……はよ」
「どしたの?」
「……ちょっと病院に、けほっ」
「大丈夫?」
「う、まあ……あんたは大丈夫なの?」
「何が?」
「どっか行くんじゃないの?」
「うん。映画観に行こうかと思ったけど、でもやめた」
「金がないの?」
「それもあるけど、めーちゃんが風邪ひいてるから」
 風邪引いてるからなんだ。
「病院に連れて行かなきゃ」
「一人で行くわよ」
「熱があるんでしょ、無理したらいけないよ」
「無理なんかしてない」
「めーちゃん、いっつもそうやって意地張るんだから」
「意地も張ってない」
「じゃあ僕ついていくね」
 相変わらず口のうまい奴だ。



 風邪薬をもらい、帰路につく。
「めーちゃん」
「何」
「約束、覚えてる?」
 何のだ。
「中2の期末テストの」
「ああ、あれ」
「まだもらってなかったなって思って」
 気付いたら、始音君の顔が間近に合った。
 なんでこいつの目はいつもきれいなんだろう。
 一生懸命その理由を考えてみる。
 考える理由は特にない。
 ただ、別の事を考えていないと赤面してしまう。
 ジッと始音君をにらむ。
「……じゃあね、お大事に」
 あ……。
 何もされなかった。
 ほんとは、期待してた分だけちょっと悲しい。


 期末テストの結果発表後。
 ハクに呼ばれたので、ハクの家にお邪魔させてもらった。
「めーちゃんって、始音君の事好きなんですか?」
「へ?」
「どうなんですか?」
 いつもは物怖じして目を伏せているハクが、その時だけはまっすぐに私の目を見て話した。
「……どうして?」
「そっくりだからです」
「誰に?」
「カイコさんが始音君を想う時の顔に、ほんとにそっくりなんです」
 彼女と私の顔は、だいぶ違うと思うが。
「それに、私の顔にもそっくりです」
「…………」
「恋をしている顔ですよ」


 ハクの想い人は聞かなかった。
 それから始音君を意識し始めて、鼓動が早まる意味を理解した。

 ねえ。

 お願いだから、
 行かないでよ。

 もう私の事はいらないのかもしれないけど、
 私には君が必要なの。

 ねえ、だから、
 行かないでよ……。



 始音君が部屋に戻る。
 出てきてくれないか。私の事を心配して、家に来てくれないか。
 淡い期待はすぐ消え、私は何が何だか分からない涙で顔をぐしゃぐしゃにし、数十秒毎に鼻をかみ、泣き疲れて寝た。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

【カイメイ注意】MEIKOさんがKAITO君を恋愛感情として好きになるまで3

やっと書きました。


ただの妄想だし読みづらいし展開早すぎるし何言ってるのか分からないと思いますけど、大丈夫です私も分かりません←

ともかくカイトとめーちゃんをくっつけたいだけなのです。

ハクさんとめーちゃんを友達にしたわけは、胸の大きなコンビっていいなあと思ったかr(ry

閲覧数:500

投稿日:2011/08/01 09:50:10

文字数:2,211文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • 瓶底眼鏡

    瓶底眼鏡

    ご意見・ご感想

    ハク姉さんんんんんんんんんんああああもう可愛すぎるよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!

    もはや萌えるなんてもんじゃない……この破壊力恐るべし!!
    もはやめーちゃんとカイトそっちのけでハク姉さんの想い人が気になって仕方ないです!!←

    あ、でもめーちゃん頑張ってね!!←

    2011/08/01 13:29:12

    • 絢那@受験ですのであんまいない

      絢那@受験ですのであんまいない

      相変わらずのハク姉愛!

      あ、そんなにですか? ありがとうございます!
      ハク姉の好きな人…まだ決めてませんでした。。CP的にはデルかアカ君でもいいけどシグでもいいしもういっその事瓶底眼鏡さんにしてしまうか!←

      ちゃんと頑張らさせます!

      2011/08/01 13:37:28

  • シベリア

    シベリア

    ご意見・ご感想

    カイトかっこいいよおおおお(((黙
    みんな同じアパートなんてうらやましい!!
    うちも将来そういうのがいいな…!楽しそうだしw

    カイコww恥ずかしい台詞をさらりとwwでもうちがカイコだったら言うかもw

    大丈夫!ぜんぜん読みづらくないよ!!うちの小説のほうが読みづらいよ!

    胸の大きいコンビww確かにw あー…ハクに癒されるw

    2011/08/01 11:40:08

    • 絢那@受験ですのであんまいない

      絢那@受験ですのであんまいない

      カイトはかっこいい! 異論は認めない!
      私も今あのアパートに行こうかと荷造りをしている最中だったんだ←
      よし、シベリア! 将来一緒に住もう!←

      カイコは恋愛に生きる感じだと思う。。

      シベリアの小説はすんごい読みやすいよ! 私と比べたら神とプランクトン以下の差ww

      ルカでもよかったけど、ハク姉のほうがキャラが合ってたんでww

      2011/08/01 11:51:57

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