私の過剰な反応に驚いた君は、ふっ、と笑い出した。
そんな君を見て私も思わず笑ってしまっていた。
私たちはそれからすぐに打ち解けてお互いにお互いのことを話した。
ただの自己紹介から始まった会話は、枝から枝へ移るように話は広がり、私たちはその公園でひどく楽しい時間を過ごした。
日が傾いて辺りが赤く染まり始めた頃に、私は自分が小さな家出をしたことを思い出し、私たちは別れた。
もちろんお互いの連絡先を教えあって。
*
君とはすぐに恋仲となった。
私は幸せだった。
君と過ごす毎日は、今までの「日常」の定義をガラリと変えた。
君が私に触れる、その手の平が私は何より好きだった。
私を大切にしてくれるその意思が強く感じられ、ひどく安心した。
そんな中。
「不幸」というものは何の音沙汰もなくやって来て、「幸せ」を私からかっさらっていった。
君は突然、空の向こうに行ってしまった。
*
君のいない「日常」はこうも単色だったのだろうか。
私は前の私に戻っただけ。
君と会っていない、昔の私。
なのに、とても悲しくて、涙を拭いても拭いても、全然止まらなかった。
朝、昼、夜通し独りで泣いていた。
「会いたいよ……」
私の目線は、自室にある勉強机の上に無造作に置かれたカッターに向いていた。
気がつくと私は手にそれをあてがっていた。
《……まだ、だよ!君はまだこっちに来ちゃ駄目だ!》
声が聴こえた気がした。君とよく似た……。
「会いたい……っ!」
当たり前にあった、君の手が、君が、恋しい。
君の手が、つかめますように。
……そう、願って、私はカッターを持った手を思いきり引いた。
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