「空を見に行こう」
「…え?」

私の返事を待たずに走り出した彼は、だんだん速度を上げ、問題の『傘』との距離を縮めてく。

私は何もいえなかった。
ただ顔に当たる雨から逃れるように、彼にひたすらついていった。



ズゥンと音がしそうなほどに、重苦しいほどの『ソレ』は、私たちを拒んでいるのかいないのか。
そんなことは関係なく、彼が押した扉は簡単に開いた。

「…だめ…」

「…?何か声しなかった?」
「いや、…何も?」

少し周りの声に耳を傾けても、ただ雨が降る、耳に慣れた音しかしない。

「ねぇ…どこいくの?」
「空を、見に」

そういって彼は、私が大事に抱きしめる絵本を指差す。

「絵本の、空?」
「うん、もう…ダメだから」


重い一言は胸にストンと落ちた。ああ、そっか。そう、なんだ…。

「それとも、『傘の下のまま』がよかった?」

不安そうな彼の顔に安心させようと笑おうとするけど、うまく笑えなかった。

どうして…。

「見に、行こ…大丈…」

今にも泣き出してしまいそうで、崩れそうな私を、彼は優しく。

やっぱり優しく手を握って、走り出した。


続く

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

WORLD'S END UMBRELLA自己解釈その1


私の自己解釈です。

綺麗すぎる恋愛には儚さしかなく、そしてそれ故に美しい。

お暇でしたら、お付き合いください。

閲覧数:551

投稿日:2010/03/15 17:32:24

文字数:491文字

カテゴリ:その他

  • コメント1

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  • 樋浦きらこ

    樋浦きらこ

    ご意見・ご感想

    うん、私も同じ解釈です←
    突然入ってきてすみません・・

    「綺麗すぎる恋愛...(略)」のフレーズ、world's にぴったんこですねー。
    胸に響きました。お付き合いしましょうか(黙

    2010/04/04 16:33:56

    • 紅亜

      紅亜

      お付き合いくださいますかww
      よろしくお願いしますww

      このふたりにはいろんな意味で幸せになってほしいですねー
      続きはぼちぼち書いていきます><
      メッセージありがとうざいました!

      2010/04/04 22:22:39

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