【第八話】ABILITY

　「上出来だよ、リン」

　「すごいなあ、リンちゃん。羨ましいよ」

　「私の予想通り…、いや、予想以上だわ。ふふ」

　みんなが笑ってる。
私に、向かって。

　グミさんも、カイトさんも、メイコさんも、レンも。

　「あ…、ありがと…ございます……」

　そういうと、またみんなが笑って、私を見た。

　「さてと。今度は僕の番かな?」

　そういえば、みんなの能力ってなんだろう。
私の能力もよくはわからないけど。

　レンは、リボルバーだったな…。

　「あの…、皆さんの、能力って何なんですか?」

　私がそう訊くと、「あれ、まだ言ってなかったっけ…?」という顔でみんなが私から目を逸らした。
　聞いてません。

　「まあ、丁度いいから、バカイトからな」

　「バカイトって酷い!!」と言いながらカイトさんは、派手に破壊された壁の近づいた。
そして、一番損傷の激しいところに跪き、そこの床に内ポケットから出したナイフを突き刺した。

　突き刺すといっても、少し刃先を立てるくらいだ。

　「甦」

　と呟くと、瞬く間に家は元通りになった。

　「ふぉー…、すご……」

　本当にすごいと思う。
なんだか変な声をあげてしまった私を見て、カイトさんは得意げな顔をした。

　「カイトの能力は、修復・再生・治癒能力だ。大体、戦ったときに壊したものは、カイトが直してくれる。リンの家もたぶん直したと思う」

　「僕がいなかったら、ディフェクトはとっくの昔に、訴えられてるよ」

　「そんな軟弱な能力だから、いつまでたっても、馬鹿なんだろ」

　やっぱり、グミさんは毒舌だ。

　「で、あたしは、この刀に魔術をかけて戦う。魔術はそれぞれだから、決まった能力はないかな」

　そう言って、刀を見せてくれる。
本物か、偽物かは、教えてくれなかった。

　「私はこのレイピアね。私あんまり好戦的じゃないの。だから、使ったことがあるのは１・２回よ」

　きれいなレイピアが、光る。
曲線がきれいだ。

　「俺のはさっき見たかもしれないけど、このリボルバーだ。弾に魔術をかけて撃つ」

　なるほど、なるほど。
みんなの能力はわかった。

　「じゃあ、敵も帰ったし、家も治ったし、あたしは寝る」

　無駄のそっけなく帰って行った、グミさん。

　「うーん、私たちも帰りましょうか。リンちゃん?」

　「え…。カイトさんたちは…」

　ちらりと、２人をみる。
どうして私しか誘われなかったのか、疑問だ。

　「いいのよ、男どもは。男二人で話したいこともあるでしょうし、なにより、レンの治癒をしなきゃいけないから」

　そうか…。

　じゃあ、仕方ないな…。

　ちょっと、レンにお礼を言いたかった。

　

　私の能力を開花させてくれたのは、レンだし。
それから、最初に言葉をかけて…、それもやさしい言葉をかけてくれたのは、レンだったから。




　また明日言おうかな……。





　そう思いながら、とぼとぼ、自分の部屋に帰って行った。