寂れた映画館の奥
始まるよ、影絵のショータイム
今日は 電線に引っかかり帰れない月のお話

『静かに朝がやって来て 横顔を見せた太陽
 密かに恋してた月は、細く細く消えていったのさ』

フィルムの欠けた空の映写機 腹を回しカタカタ笑う
彼女が口に入れた飴玉 ほんの少し苦いカラメルの味

いつからか体と別れて 一人歩きの影
壁にへばりついて1・2・ワルツ
彼女だけが気付いていた


寂れた映画館の隅
ご覧あれ、影絵のショータイム
今日は どこかの図書館に横たわる本のお話

『積もりに積もってく埃 思わず本はくしゃみして
 頁に乗った文字たちは、バラバラに飛び散っちゃったのさ』

煤にまみれた丸いランタン 首を揺らしカラカラ笑う
彼女の足を撫でた溜め息 ほんの少し甘いオリーブの色

持ち主はとうに息絶えて 一人歩きの影
視線から隠れて1・2・ワルツ
彼女だけが見つめていた


「貴方もそこで踊ればいかが?」
「だけどあそこは、眩しすぎる」
彼女の指をぽつり濡らした涙すらも 淡く染み込む黒で

それなら照明を落として ひとり幕の上へ
「誰かの手を取れなくても、踊れ! 私だけは見ているわ!」

闇の中 くるくるり影が回る 観客は一人
彼女のためにある まっくろキネマ
鳴り止まないアンコール

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

シャドウ・シアター 【コラボしました】

暗闇の映画館にひとり舞う影。

↓動画も影絵でお送りしております↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm17711664

閲覧数:352

投稿日:2012/05/03 18:48:48

文字数:549文字

カテゴリ:歌詞

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