<ボカロット特別編 ミクとアペンド刑事の聖夜のアキバ24時>

“(未来の)警察・刑事課特殊車両(ボカロット)班・パイロット兼メカニック担当“のミクは、上司であり師匠であるアペンド刑事から、よりにもよって”12月24日“、つまり、クリスマスイブの日に、『指令』、を受けたのだった。

アペンド:ミク巡査、実はね、クリスマスイブの夜、つまり時間外勤務の時間なんだけど、ちょっと“特殊な指令”を受けたんだが、私と一緒に行動できるかい?
ミク:ク、クリスマスイブの日ですか。あ、いえ、仕事ですから、ちゃんと従います! ( ゜Д゜)ゞ

 色々指導を受けている見習いに近い立場のミク巡査にとって、例え時間外の勤務でもアペンドの命令が絶対である。しかし、そういう立場なのに、アペンド刑事の言葉は随分柔らかかった。

アペンド:あ、いや、その、なんだ、“ある特殊な場所”の警備を兼ねて、少しはクリスマスも楽しんできていいよ、との、公私混同しているような指令なんだが、それでもいい?
ミク:勿論です!
アペンド:よし。では、これより、ミク巡査、及び、私は、2011年12月24日の東京秋葉原の警備の任に付く。いいね?
ミク:え!? 随分過去の東京の警備なんですね
アペンド:うむ。実は、この時期、この“アキバ”、あ、アキバってのは知ってのとおり“秋葉原”の通り名だけど、ボカロットレースの連中が、タイムマシンで買い物をするので有名でね、元レース関係者のミク君の事もあるから、警備してきて、って、お上の命令なんだよ。全く、よりにもよってイブの日の警備なんて…まぁ、私に夫も子供もいないし、変装しているから、関係ないけどさ…
ミク:あれ? アペンド刑事の方が、あんまり乗り気でないんですか?
アペンド:ミク君に抜けられない用事があったら、断ろうと思っていたくらいだ。まぁミク君の承諾ありだから、行くとするか

ミク:それでは、ボカロット班所有のタイムマシンで行きましょう
アペンド:うん、そのつもりだ

 ミクとアペンド刑事は、装備品の他に、当時のお金や備品と携帯食料を所持して、ミク巡査の班が所有しているボカロットのうち、“時間跳躍”の能力を装備しているボカロットに乗り込み、タイムマシン用のカプセルにドッキングしてもらってから、

2011/12/24 18:00 秋葉原裏道

にセットし、ハッチを閉じて、時間跳躍の準備を開始した。

アペンド:さて、ボカロットレースの連中、あんまり派手なことやってなければいいが…

スタッフ:3…2…1…0、タイムリープ開始!

 ボカロットをセットしたカプセルの中のボカロットが金色に輝くと、全体が歪み、そして、消えていった。

 ギューーーーーーーーン

***

(2011/12/24 18:00 秋葉原裏道)

 バシュ!

 無事、ボカロットは人気のない裏道にタイムリープ出来たのだった。アペンドとミクはすぐに降りて、マシンを小型化して小さなカプセルに収納し、ミクとアペンド刑事の姿を、私服警官の姿に変身させ、裏道から出て、サブストリートまで躍り出た。

アペンド:この姿でいいだろう。さて、到着そうそう申し訳ないが、警備を開始する。ちなみに我々はここでは一般人に紛れている。警官の制服姿では色々まずいので、何か事件が起こった場合、この“偽の警察手帳”を出して対象を確保し、目立たない所に連れてきて注意する事にする。対象はこの時代に買い出しに来ている、我々の時代の人間だけだ。他は、まぁ、見物でもしていてくr

ミク:わぁ~、これ、おみくじっていうんですか?
(巫女(?)の)レン:そうですよ。クリスマススペシャルって事で、神社から出張しているんです。
ミク:ところで、その“服”、可愛いですね。女の子らしくて、とっても素敵です!
レン:あ、いや、その…、実は俺、男なんです。一度は断ったのに、“神社の経営の為だ。もう一度頼む!”って全員に言われて押し切られて…
ミク:そうなんですか…、でも、可愛いですよ。すごく似合ってます
レン:ははは…やっぱり、俺、巫女服、似合うんだ…
リン:私もそう思っているんですよ~。レン、諦めなさいな。あ、私、レンの姉のリンと申します
ミク:お姉さんですか。リンさんも巫女服、似合いますね
リン:有り難うございます。そうそう。お客さん、今回はサービスしますから、おみくじ、1回引いていきませんか?

アペンド:こらこら、ミク君、まずはお仕事が先だy
リン:あ、この方の知り合いさんですか? ならお客さんもサービスします。おみくじどうですか?
アペンド:ま、これも警備のうちか…。うん、わかった、ミク君と私、1回ずつ引かせて貰うよ

 レンが持ってきたのは、パラフィン紙に包まれている小さい丸いチョコだった。

アペンド:? これがおみくじですか?
レン:うちのクリスマスのおみくじは、毎回お菓子にしているんです。今年はチョコです。包んであるパラフィン紙を取っていただき、書いてある文字を僕たちに教えて下さい。おみくじを持ってきます
ミク:へぇ~、面白そうです! じゃあ、ミクはこれ!
アペンド:では、私はこれにしよう

 ミクとアペンド刑事はそれぞれ1個ずつ、パラフィン紙に包んであるチョコをつまんで、包み紙を広げた。

ミク:えっと、私は“み-9”です
アペンド:私は“あ-9”だな
レン:わかりました。リン姉さん、お願いします
リン:了解~

 そう言いながら、リンはおみくじを持ってきてレンに渡し、レンがミクとアペンド刑事におみくじを渡した。

ミク:えっと、“大吉”
アペンド:私も“大吉”だ
レン:良かったですね。最高に良い運勢ですよ
ミク:えっと、“仕事運:二足の草鞋(わらじ)でも、両方巧くいくでしょう”。やった! ラッキー!
アペンド:私は“仕事運:いい部下に恵まれるでしょう”っか。うん、今でも恵まれているよ

 そして二人は中のチョコを口に頬張った。

ミク:美味しい!
アペンド:旨いな

リン:はい。“アストラル”って有名なお店で作ってもらった特注品なんです

 食べ終わった二人は、リンとレンにお礼を言って、お店を後にしたのだった。

***

(アキバ、某鉄道隣接の家電量販店前)

アペンド:ここは機械のパーツも売っているお店だ。彼らが来そうな場所だから、寄って行こう
ミク:はい!

(アキバ、某鉄道隣接の家電量販店・おもちゃ売場)

ミク:私たちの時代では骨董品ランクの物がゴロゴロしてますね
アペンド:そうだな。しかし、ボカロットレースの連中、来てないな…

メイコ母さん:さて、うちの“ルカちゃん”のクリスマスプレゼントは、何がいいですかね、カイト父さn
カイト父さん:うわ~! アイスクリーム製造マシーン! 母さん、これがいいよ、これ

 メイコ母さんはカイト父さんの耳を引っ張って遠ざけた。

メイコ母さん:あ・な・た! 今はうちの子供達のプレゼントを探しているの! あなたのじゃないの!
カイト父さん:いや、でも、アイス、作れるんだよ、これ
メイコ母さん:はぁ~。はいはい、じゃあ、これは私から父さんへのプレゼントとして、買ってあげます。だから子供のを探してね
カイト父さん:やった! よーし、子供のプレゼントを探すぞ!

 その光景を見ていたミクとアペンド刑事は、なんか微笑んでいた。

ミク:なんか、妙に懐かしい光景だと思いませんか?
アペンド:懐かしいなぁ。夫と小さい娘がいたときは、夫も趣味の玩具売場で足が止まってね…。あ、げふんげふん
ミク:アペンド刑事、本体の“咲子さん”が入ってましたね
アペンド:わ、私だって、夫の姿に変身しているとはいえ、元は女性やってたからね
ミク:でも、なんかいいなぁ。こういうの
アペンド:悪くないな

 しかし、なにやら“プラモデルコーナー”付近で、騒がしい声が聞こえてきたので、ミクとアペンド刑事は顔つきを変えて急行したのだった。

***

(アキバ、某鉄道隣接の家電量販店・おもちゃ売場・プラモデルコーナー)

リュウト:僕、これがいいなぁ。この緑と赤の恐竜のプラモデル
学歩:いやいや、ダメでござる! 拙者の選んだ“日本の刀プラモデルシリーズ・虎徹(こてつ)“がいいでござる!
リリィ:だめよ! この“Lilyフィギュア”が最高よ!
めぐみ:だめだめ! この“歌姫シール付き可変戦闘機プラモデル”がベストチョイス!

 ガヤガヤ

 そこへ、呆れた顔をしながらミクとアペンド刑事がやってきた。

ミク:インタネ不動産チームの人、こんな所で何をやっているんですか?
アペンド:内容に寄っては、私の時代まで戻って貰って、職質するけど?

リュウト:あ、ミクさんだ
学歩:職質されるような事はやっていないでござるよ
アペンド:でも、ここでガヤガヤとおもちゃを選んでいたではないか。おもちゃ位、元の時代でもあるではないか?
リリィ:『リュウト』のクリスマスプレゼントを選んでいたのよ
めぐみ:そ。でも本人が選んだ物が、あまりにナンセンスだから、チームのメンバーで素敵な物を選んであげているの。やっぱ可変飛行機でしょ!
学歩:刀でござる!
リリィ:フィギュアよ!

ミク:あの~、これは助言に過ぎないけど、やっぱ、本人が選んだ物が、一番良いんじゃない? あなた達の物を買うんじゃないんだっから
アペンド:そうだぞ。本人の意志が第一だ

学歩、リリィ、めぐみ:すみません…

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

ボカロット特別編 ミクとアペンド刑事の聖夜のアキバ24時

☆今回も恒例の特別編ということで、1話読み切りのクリスマススペシャル編です。

☆今年は好評だった“ボカロット猛レース”のその後の1シーンと、現在連載中の“ルカの受難”の序盤のステージである“アキバ”をミックスした感じにしてみました。

☆聖夜のアキバがどんな感じになっているか、未来の警察関係者のアペンド刑事とミクの視点で書きました。

☆これまでの色々なシリーズのキャラ、及び、今回のみのオリジナル設定キャラを色々詰め込んでみました。

*****

hata_hata様が、第1作目のきのこ研究所のイメージイラストを描いて下さいました!。まことに有り難う御座います!。
『「却下します!」』:http://piapro.jp/content/oqe6g94mutfez8ct

☆hata_hata様が、第2作目のきのこ商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『causality』:http://piapro.jp/content/c0ylmw2ir06mbhc5

☆nonta様も、同じく商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『ようこそ!、きのこ駅前商店街へ!』:http://piapro.jp/content/dmwg3okh7vq1j8i1

☆あず×ゆず様が、第8作目の部室棟の死神案内娘“テト”を描いて下さいました!。本当に有り難うございます!。
『おいでませ!木之子大学・部室棟へ♪』:http://piapro.jp/content/rsmdr1c3rflgw7hf

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投稿日:2011/12/23 19:30:03

文字数:3,912文字

カテゴリ:小説

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  • オレアリア

    オレアリア

    ご意見・ご感想

    enarinさんお久しぶりです!今回の読み切りを拝読させて頂くのが遅れてしまってすみません(汗)

    ボカロットのアペンド刑事にディアフレ初期の舞台になったアキバから、小道具なんかに要所要所細かいパロディが入ってて思わずニヤリとしてしまいましたw

    お2人さんはいつもこうやって時空を越えてあらゆる年代の治安を守っているんですね。

    そして後半は話題のAHSボカロ達が出てきましたね!ゆかりん大好きなので嬉しかったです!
    聖夜祭だけあってキャストが豪華でしたね。

    クリスマスが終わったらもう来年になるから早いものですね…
    enarinさん、よいお年を!

    2011/12/29 21:40:51

    • enarin

      enarin

      オセロット様、こんにちは!

      > ボカロットのアペンド刑事にディアフレ初期の舞台になったアキバ

      今回は”クリスマスは最近書いた作品で人気があった物の番外編”ということで、ボカロットレースの二人のその後、そして今書いている作品の初期舞台として書きました。アキバという所はネタ満載なので書きやすいのです?。

      > 小道具なんかに要所要所細かいパロディが入ってて思わずニヤリとしてしまいましたw

      ありがとうございます! 小道具ネタは個人的に好きなので、覚えている限りですが、入れることにしました。可変飛行機ネタは、勿論アレですね。赤と緑の怪獣ネタは、子供向け番組のあの二人です。

      > お2人さんはいつもこうやって時空を越えてあらゆる年代の治安を守っているんですね

      今回は”特例”だったようですが、自分の世界の住人が起こしそうな事件に関係している世界には、責任を持って派遣しているようですね。まぁ今回はクリスマスプレゼントだけだったようですが。

      > そして後半は話題のAHSボカロ達が出てきましたね!ゆかりん大好きなので嬉しかったです!

      一応、全員バラバラなんですが、ゆかりさんはAHSさんですね。ボカロもボイロもリリースされた方です。今回、最後のキャラはどうしよう、と考えた結果、今をときめくアイドル=ボカロ3、と思いついて、この3人にしました。キャラ色が強い3人ですが、これからも使っていきたいと思ってます。あ、ゆかりさんはこの中ではかなり使いやすい方だと思います。

      > 聖夜祭だけあってキャストが豪華でしたね。

      どうせ1話完結だから、もう豪華に! って事で、随分とゴージャスな使い方をしました。それでも海外勢は出し切れなかったです。

      > クリスマスが終わったらもう来年になるから早いものですね… enarinさん、よいお年を!

      有り難うございます! 今年もあと2日。早いものですね。風邪引いてますが、とっとと治して創作活動したいと思います。

      それでは、良いお年を!

      2011/12/30 15:06:38

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