するりと滑り堕ちていく
ひらひらと舞う桜の花びら

巡り繰る　時の中で　取り残される悲しみ
過ぎ往く　刻の外で　置き去りにされた寂しさ

暗闇の中　あなたの背を追いかける様に
転びながらも　躓きながらも
いくら走っても　近づかないこの距離

「待ってー…」

幾ら手を伸ばしたところで

誰も気付かない　誰も見向きもしない

心の中で叫んでも

誰も聞いてくれない　誰も気にも止めない


声に出せない　　　怖さを知っていますか？
目を閉じたくなる　畏さを知っていますか？
耳を塞ぎたくなる　恐さを知っていますか？

　　　　　　　心をー…　　　


　　　　　「知ってますか？」


するりと滑り堕ちていく
ひゅるりと謳う麗かな春風

巡り繰る　時の中で　掴み取りたい喜び
過ぎ往く　刻の外で　歩き出そう煌めき

光明差し込み　一筋の道が開かれる
漸くあなたの隣に進むことが出来た
もう　この繋いだ手を離したくない

「行こう。」


大きな桜の樹　　不思議な力を貰い
伸ばした手を掴んで走り出す

沈んでいた気持ちを吹き飛ばすほど
明るい未来―ひかり―が流れ込み

勇気と希望を翳す　エネルギーへと還っていく


するりと滑り堕ちていく
きらりと輝く潤しの佐保姫