「メイコ、おはよ!あ、ついでにカイトもおはよ」
　「ルカ、おはよー」
　「僕はついでなの!?」

　棒読み気味で挨拶をしたのが咲音メイコ。
　ルカの一言で傷ついているのは始音カイト。
　共に俺、神威がくぽとルカ（巡音ルカ）の　幼馴染である。
　ちなみに、こいつらは『Krアパート』の101号室と102号室に住むお隣どうし、ついでに『リア充』だ。
　なぜ昨日の朝いなかったかと言うと、この二人は生活委員で、週1で朝早く学校に行き「あいさつ運動」をしなければいけないからである。多分このときにいちゃいちゃしてんじゃないのでしょーか。

　今日もしょーもないバカ話をしながら、いつも通り学校へ行く。
　だけど放課後は、もしかしたら俺の人生が変わるかもしれないことがある、多分。
　それが何かは、まだ分からない。















　放課後、約束通りルカと話をしている。
　ちなみに場所は俺の部屋のロフト。
　うちは両親が外出気味だから、だいたい俺は一人でいる。
　誰かがうちに居るのに慣れていないのだが、さらに片想いの相手、しかも大事な話、緊張が倍率ドン。
　「で、昨日話した私が魔法使いになったいきさつはおぼえてるよね」
　「ああ。だがどうして魔法書だけでルカが魔法を使えるようになったのかが理解できない。」
　昨日俺が布団の中で考えていたことである。
「それなんだけどね、人間ってのはね、生まれつき身体に魔力を持ってるの」
　「え」
　「で、その魔力を呪文によって覚醒させたのが『魔法使い』なの」
　「はあ」
　「それでね、魔法使いが魔法書を手渡したときに呪文を唱えると、渡した相手の魔力が覚醒するの」
　「へえ」
　俺は適当に相槌を打っているが、いまいち理解できていない。
　「でね、魔法使いが魔力の覚醒をする条件は２つ。１つは相手にとても親切にしてもらった場合」
　ルカのパターンか。
　「もう１つは、相手に魔法使いだと知られてしまった場合」
　「え」
　ということは、
　「というわけで、がっくんにも魔法使いになってもらいます☆」
　「☆じゃねぇよ！てかそれ本気!?」
　「Yes.というわけで、がっくん手ぇかして？」
　「ちょ」
【Awakening!】
　俺の周りに魔法陣的なものが現れた！
　「なんじゃこりゃあぁぁぁぁぁぁ!!」
　やっべ、近所ｍ(ry
　「じゃ、とりあえずがっくんの得意な魔法の種類を知ろうか」
　そう言って、ルカは何やらパラパラと魔法書を見ている。
　もちろん俺に渡したものとは違うやつ。
　「えーと、あ、あった！がっくん、ちょっとじっとしててね」
　ええもちろん（怖いので）じっとしてますよ
【speciality】
とたんに、俺の周りに【wind】という文字が浮かんだ。
「wind…風かぁ」
ルカが呟いたので、俺の得意な魔法は『風』だということと、
「もしかして、呪文って英語？」
「うん」
ということが分かった。
「って、英語の授業のときどうすんだよ！」
重要。それものすごく重要。
「あ、それはねぇ、【pause】って唱えればダイジョブだよ☆」
よかった。これで安心して英語の授業が受けられる。
そして、気になっていることが１つ。
「ルカの得意な魔法って何？」
「浮遊だよ！がっくんも見たじゃん！」
ああ、確かに見たな、２回ほど。
「あ、ちなみに明後日から二日間、魔界に練習にいくからね！時間は人間界と同じだから大丈夫！」
唐突。めっちゃ唐突にルカは言った。