<クロスリンク・プロブレム ミクの試練! 第8話 憤怒の機動兵器・後編>

(最前線の機動兵器戦周辺・時間停止空間)

 ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

ミクとアビゴルは、特にミクだが、まず相手の出方を見るため、とりあえずミクは刀を、アビゴルは多脚部をアイドリングさせて、にらみ合っていた。

 その刹那、ミクが最初に動いた。“刀”で斬れる相手なのか、やはり確認したかったのだ。

ミク:脚部関節を斬る!!

 ギュン!

 兵器を積んでおり、多脚兵器の鈍重なアビゴルより、神威の力を得ているミクの方が素早かった。ミクはまず相手の移動力を奪うため、前面右側の脚部1機の第2関節に向かって、刀を構えて突進していった!

 ミクはその場所の目の前に到達し、刀を振り下ろした!

ミク:貰った!

 ブン! ズバッ!

 ミクの刀は、関節カバーのラバーカバーを斬り破ることができた。しかし・・・

 ギギギギ・・・

ミク:あ、あれ!? 刀が抜けない!

バキッ!!!!!

アビゴルは無言で関節を動かし、刀をギアに噛ませて、折ってしまった!

アビゴル:あほか。刀で鋼鉄の歯車を斬れると思ったのか? 砂漠戦でないから、ラバーカバーなど斬れても何ともないわ!

 ウィーーーーン

 アビゴルは砲塔をミクに向け、主砲を発射する準備をした。刀を折られたミクは狼狽していて、逃げる姿勢になっていなかった。

アビゴル:軍事違反兵器その2 『劣化ウラン弾』でも喰らえ!
ネル:ミク! その弾はヤバイ! とにかく逃げろ!!!!
ミク:わ、わかった!
アビゴル:死ね!

 ドンッ!!

 ミクはすんでの所で劣化ウラン弾の軌道上から回避し、アビゴルと距離を取った。劣化ウラン弾は当然、軌道上を飛んでいき、地面に着弾した。

 ドゴンッ! バシュン!!!!!!

ミク:ヒィ!
ネル:あの弾の怖いところは、着弾し爆散した破片を吸い込んだ周囲の敵兵に、重金属中毒、放射線による被爆、など、人道からはずれた効果をもたらす所だ。大量破壊兵器ではないけど、『史上最低の兵器』と言わしめた、最低の砲弾だよ
ミク:た、確かに軍事違反兵器を大量に積んでいる兵器なのね

アビゴル:さーて、次は何を出すかな
ミク:神威じゃだめだ・・・とにかくあの着弾した周囲に移動できないから、めぐみに変身して浄化する!

 ギューーーン!!

 ミクはめぐみに変身し、サクリファイスの力で先ほど着弾して汚染されたエリアを浄化して通行可能にした。

アビゴル:うーん、やはり劣化ウラン弾では、直接殺傷能力は低いか。エリアも浄化されちゃうしな。じゃあ、人間を吹き飛ばす兵器に変えるか

 バシュバシュバシュ!!!!!

 アビゴルの後方のパネルのフタが開き、ミクやネル達の上空に向かって“小型の円盤”が多数射出され、ランダムに落下して地面に落ちると、回転して地面に潜っていった。

アビゴル:これがなんだか、わかるよな、軍事にも詳しいネルとやら
ネル:工作が好きなだけだ。それにまた“最低の武器”を使ってきたね
ミク:ネル、これなんなの?
ネル:動かないで!!!!
ミク:え!?

ネル:アビゴルが射出した兵器は、最低の対人兵器『対人地雷』だよ。それも自動潜伏機能付きの。今、ミクの周りの地面には、たんまりと踏むだけで吹き飛ぶ爆弾が埋められているんだ
ミク:え!? じゃあ、動けないの? それじゃ、あいつの主砲の餌食だよ!?
ネル:・・・ミキに変身して、バリアーを張ってから、その場から動かずに魔法で地雷を全部処理して!
ミク:わ、わかった!

 ギューーーン!

ミク:フィジカルバリアー!

 ミクはミキに変身し、その場から動かずに魔法で自分の周りに、物理物質に対するバリアーを張った。

ミク:えっと・・・踏むと爆発だから・・・えーい! 「槍でも降っちゃえ」!

 バシュバシュバシュバシュ!!!!

まさに、“槍が降る”事態になった。上空から小型の槍を大量に降らせ、地面の地雷に物理接触させた!

 ドゴーーーーン! ドゴーーーーン!

ミク:キャアアアアアア!!!!!

 当然、周囲に埋まっていた地雷が一斉に爆発したのだ、その“衝撃”は相当のモノだった。バリアーを張っていなかったら、とっくに全身の骨がバラバラになっていたところだった。そして槍が降ってきても爆発が起こらなくなった。

ミク:はぁ・・・はぁ・・・な、なんとか全部処理できたみたいね・・・
アビゴル:うぬぬ・・・なかなかやるな・・・フィジカルバリアーか・・・ならばこれだ! 焼夷弾(しょういだん)!

 ドゴン! ボカン!!!!

 焼夷弾。爆発した場所に火炎を巻き起こし、対象を焼き払う非人道兵器。それを“何の躊躇もなく1作戦として発射する”アビゴルはやはり悪魔そのものだった。弾はミクの“フィジカルバリアー”に接触して爆発したが、それだけではなかった!

 ゴォォォオオオォオオオ!!!!

ミク:きゃあああああ!!!!熱いぃぃぃいいいいい!!!!
ネル:ミク! “瞬間移動”魔法でとにかく逃げて!!!
ミク:瞬間移動!!!!

 ビュン!!!

 ミクは咄嗟に瞬間移動魔法を唱えたので、焼き払われたエリアから脱出できた。が、熱気を両腕でかばったときに、腕にやけどを負ってしまった。

ミク:う・・・・めぐみに変身・・・

 ギュン!

ミク:サクリファイス・・・

 パァァァ・・・

 ミクはとにかく回復する事が大事と判断し、めぐみの回復能力を使って、回復することにした。

ミク:ミキに変身して、移動力アップとエナジーバリアー

 ギュン!ギュン!

 ミクは弾丸は回避して、先ほどの熱気だけに気を付けることにした。

ミク:はぁ・・・はぁ・・・
ネル:ミク、大丈夫!?
ミク:回復できるとはいえ、メンタル的に追い込まれるわ・・・

アビゴル:うぬぬ・・・これだけ非人道兵器を使っても、回復して立ち向かってくるとは・・・ならばこちらも本気を出すか・・・騎士(ナイト)モードに変形!

 ガキン!ガキン!ガキン!

ミク:え!? 虫みたいのが・・・人間型に・・・

 そう、あの多脚兵器は、どういう構造になっているか不明だが、体中のギアを回転させて、ミクの3倍くらいの高さの人間型・・・意匠的には“騎士”の姿に変形したのだった。

アビゴル:ふぅ~、アビゴルとは、エリゴールとも言われていてな、ソロモン72柱神の一人で、地獄の公爵とも言われている。私の本来の形態はこちらなのだが、あまり人間タイプは好きではないのでな

 ジャキン!

 アビゴルは何か“猛毒”が塗られているような、塗れた“剣”をかざし、円形の盾をしっかと持って、ミクに対峙した。

アビゴル:もう好き嫌いの問題ではない。私の悪魔としてのプライドの問題だ。『化学兵器』を使ってでも、お前を殺す!

 アビゴルは大きなその体躯を使って剣を振りかぶると、ミクに対して、剣を振り下ろした!

アビゴル:死ね!!!!!
ミク:しゅ、瞬間移動!!!!

 ドカン!!!! ビュン!

 ミクの移動の方が早かった! しかし、アビゴルの毒の剣の攻撃はそれだけではなかった。

 ビュ!ビュ!

ミク:え!?

 アビゴルの剣は、地面をえぐった時の衝撃を使って、周囲の広い範囲に、化学兵器である“猛毒”をまき散らしたのだった! 当然“移動先”にいたミクもそれを軽く被ることになった!

ミク:きゃあああ!!!!!

 ミクは毒の痛みのために、移動先でかがみ込んでしまった。

ミク:め・・・めぐみに変身・・・サクリファイス・・・

 ギュン! パァァァ

ミク:はぁ・・・はぁ・・・ミキに変身・・・フィジカルバリアー・・・

 ギュン!

ミクは次は絶対に被りたくないので、物理バリアーを張ることにした。しかし、アビゴルの方が上手だった。

アビゴル:黄リンの剣に変更

 ボォオオオオ!!!!!

 アビゴルの剣が、真っ赤に燃えさかり、垂れた液体もマグマのように着火していた。

アビゴル:猛毒であり、火炎として自然発火する化学兵器・・・さぁ、エネルギーとフィジカル、どっちのバリアーを優先するかね? どうやらその2つは同時に唱えられないようだしな

ミク:うぅ・・・・
ネル:困ったなぁ・・・・あ! そうだ! そういえば、まだ手駒はあった! ミク! メイコさんの時に貰った力を使うんだ! 何の力か解らないけど・・・
ミク:あ・・・そうか・・・、確か、魔王リリスの力を宿した“リリィ”だったよね・・・。このままじゃ、ジリジリなぶり殺されるだけだし・・・

 ミクは右手のひらを空にかざして、変身対象を叫んだ!

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

クロスリンク・プロブレム ミクの試練! 第8話 憤怒の機動兵器・後編

☆オリジナル作品第13弾である、「クロスリンク・プロブレム ミクの試練!」の第8話です。

☆今回はカイト編の後編です。戦闘編~最終コンタクト編です。

☆意外にあっさりとやられてしまった機動兵器でした。

☆使用禁止兵器については、ネットを調べました。

*****

hata_hata様が、第1作目のきのこ研究所のイメージイラストを描いて下さいました!。まことに有り難う御座います!。
『「却下します!」』:http://piapro.jp/content/oqe6g94mutfez8ct

☆hata_hata様が、第2作目のきのこ商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
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☆nonta様も、同じく商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『ようこそ!、きのこ駅前商店街へ!』:http://piapro.jp/content/dmwg3okh7vq1j8i1

☆あず×ゆず様が、第8作目の部室棟の死神案内娘“テト”を描いて下さいました!。本当に有り難うございます!。
『おいでませ!木之子大学・部室棟へ♪』:http://piapro.jp/content/rsmdr1c3rflgw7hf

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投稿日:2011/01/11 16:02:26

文字数:3,592文字

カテゴリ:小説

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  • tamaonion

    tamaonion

    ご意見・ご感想

    こんにちは。続きを読ませれいただきました。

    会話による妙と、戦いの技・兵器のアイディアが楽しめて、楽しかったです。

    ゲームに夢中になることは少なかったのですが、こういう作品を読むと、その楽しさが理解できます。
    このenarinさんの作品は、RPGとシューティングの両方の楽しさがあるみたいですね!

    ちょっと思いましたが、戦う時に「名乗る」または「技の名前を言う」って、日本の武士道精神に近いですよね(笑)
    伝統的に、善玉の方が、名前を叫んで戦いますよね。それにたいして悪玉さんは、黙って技を繰り出すとか。
    モンゴル襲来の時も、そうだったらしいですね。

    ただ、少し気になったのは、戦いの技の最中に、会話が説明調になると、ごくたまに読み疲れする、ってかんじかな。
    そんなときは、会話のあいだに、敵の「あいづち」や「あざけり」を、ちょこっと絡めると良いのでは?

    これからの展開も楽しみにしています。

    それでは、また。

    2012/11/25 12:28:51

    • enarin

      enarin

      tamaonion様、こんにちは!

      > 戦いの技・兵器のアイディアが楽しめて、楽しかったです

      有り難うございます! この話をかく前に、兵器関係の事をかなりググりました。知らないことがかなりあったので、調べて良かったです。

      > こういう作品を読むと、その楽しさが理解できます

      そうですね、この作品のバトル部分は、見事にゲームですよね。というか頭に思い浮かべる時、ボカロキャラvs悪魔(今回はメカ)を思い浮かべてました。

      > RPGとシューティングの両方の楽しさ

      まさにそうです。シューティングアクションでいろいろな武器を交換しながら戦っていく、そんなRPG要素のあるシューティングゲームです。

      > 日本の武士道精神に近いですよね(笑)

      いやー、なんというか、”ヒーロー物やアニメのお約束”みたいな感じで作っているので、どうしても律儀に武器名、技名を名乗ってから発射しちゃうのですよね?。

      > それにたいして悪玉さんは、黙って技を繰り出すとか

      ”こいつ許せない”な悪玉はそうですが、なんか最近の悪玉は”憎めない悪役”が多いのか、名乗ってしまうんですよ。だから負ける(笑)。

      > モンゴル襲来

      なるほど?、あ! そういえば学生の頃の歴史の授業で教わった記憶が甦りました!

      > 少し気になったのは、戦いの技の最中に、会話が説明調になると、ごくたまに読み疲れする、ってかんじかな

      なるほど、これは1つ勉強になりました。なんかいつも”ノリ”で書いてしまっているので、少し気を付けますね。特に”説明しないといけない戦い”の時ですね。

      > 会話のあいだに、敵の「あいづち」や「あざけり」を、ちょこっと絡めると良いのでは?

      なるほど?、これも勉強になりました。早速、これから書く作品の中に取り込んでいきますね。

      > これからの展開も楽しみにしています

      有り難うございます! ミクの戦いももう少しで終わりです。いつもの”長セリフ”が多くなる終盤ですが、おつきあいいただけたら幸いと思っております。

      この度のご閲読、コメント、有り難うございます!

      2012/11/26 13:28:32

  • nai☆

    nai☆

    ご意見・ご感想

    アビゴルの繰り出す兵器の数々は、元々は人間が作り出したもの…。
    はっ、そうか! 本当の悪魔は人間自身なんですね!
    そして、作品において、そのような哲学的問題提起をなさってるんですね!←

    そして最後は…、て、天使のミクさん!?
    なるほど、『ただでさえ天使のミクさんほにゃらら~』ってヤツですねっ!
    胸熱ってヤツなんですねっ!!!(←nai☆は覚えたばかりの流行語を使ってみたかっただけらしいよ!w)

    2011/02/06 21:00:16

    • enarin

      enarin

      nai☆様、今晩は!

      > 元々は人間が作り出したもの…

      はい。今回は戦争で一番罪悪のは? って皮肉ってみました。今回の場合、アビゴルの非人道兵器やアビゴルそのものは、軍トップ連中が作り出した物です。なので、悪魔だけでなく、関係している一部の人間も悪いんだよ、って提起してみました。

      > 本当の悪魔は人間自身なんですね!

      こっちの世界でも人間も”悪魔化”するわけなので、責任の一端はおっていると思います。

      > そのような哲学的問題提起をなさってるんですね!

      某ゲームの影響か、どうもこういう味を入れたくなってしまいます。全然入れない勧善懲悪もあるんですけどね。

      > そして最後は…、て、天使のミクさん!?

      この天使ミク。果たして何者なのでしょうか? さてさて・・・

      > なるほど、『ただでさえ天使のミクさんほにゃらら?』ってヤツですねっ!

      あの名言通りだと良いのですが、どうもソレばかりではないようです。

      > 胸熱ってヤツなんですねっ

      熱いとは思います。なにせ・・・

      このたびのご閲読、コメント、有り難うございます!

      2011/02/07 19:04:41

  • nonta

    nonta

    ご意見・ご感想

    このミクさんは賢明でしたね。
    アビゴルは人間が悪魔化すると語ってましたが、弱さとなる心の痛みすら感じなくさせてしまうこの魔王の力、浸っていたら悪魔化されてしまっていたかも。
    何にも負けないほどに強い力を持ち、自分が正しいと信じているだろう時にこの事に気付くのは意外と難しいかもと思いました。
    悪魔に勝つ事が試練として計画されたなら、あるいはその事自体も試練の一部として仕組まれていたのでしょうか。
    そして次は予想通り(?)こちらのミクに似た存在ということですが、あきらかに今までとは違う状況ですね。
    一体何が起こっているのか。
    続きをお待ちしております。

    2011/01/12 20:22:50

    • enarin

      enarin

      nonta様、今晩は!

      > 浸っていたら悪魔化されてしまっていたかも

      そうですね、魔王の力、強大ですが、人間そのものにも影響を与えてしまうので、このミクさんは早期にその危険性を感じ取れて、出来るだけ自重する事が出来ました。ここで暴走してしまったら、アビゴルに取り込まれた”リーク”と同じ目に遭いますから。

      > この事に気付くのは意外と難しいかもと思いました

      難しいと思います。特に”高校生の勢いに任せた行動”では、止める事が出来ずにこの世界で暴走を…。あり得ることですね。

      > あるいはその事自体も試練の一部として仕組まれていたのでしょうか

      最後のミク天使が、全てを語ることになると思いますが、ミクが受けてきた”試練”は悪魔を倒す「戦闘で勝つ」事だけではなかったですね。知恵を絞ることや力をセーブして使う事、使い分けること、力に飲み込まれないこと、相手の話術に引っかからないこと等。全てが試練。そして最後に待ちかまえているミク天使の試練とは? どうも”戦うこと”だけではないようですね。

      > 次は予想通り(?)こちらのミクに似た存在ということですが、あきらかに今までとは違う状況ですね

      最後だけあって、どうも様子が違いますし、”敵が悪魔ではない”ような可能性もあるようです。それにエリアは”宇宙庭園”。どうなるのでしょうか?

      > 一体何が起こっているのか。続きをお待ちしております

      はい! 最後の部分の展開を思案中です。色々候補がある関係で、一方に偏らず、でも今まで張ってきた伏線を壊さずに、最後に挑む事にします。

      あ、ベルゼブブの伏線も入れないと行けませんね。

      このたびのご閲読、コメント、有り難うございます!

      2011/01/12 22:27:13

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