6月2日

 頭の中がぐちゃぐちゃしてる。楽しいデートだったのに。楽しいデートのはずだったのに。どうしてこんなことになってるの? どうしておじいちゃんはあのことをカイトさんに話したの?

 僕の曲を歌ってほしいと言われた。どうしてそんなに優しい目でそんなことが言えるの? 私は嬉しいの? 悲しいの? 分からない。自分の気持ちが分からない。とにかくショックで、でも何がショックなのかも分からない。どうしたらいいんだろう?





6月7日

 あの日から、おじいちゃんとは気まずい雰囲気が続いてる。何も話せてないけど、落ち込んでる私のことを見て、何があったか薄々気付いてるのかもしれない。冷静に考えてみればおじいちゃんが無闇に私の秘密を話すわけがないし、なにか話そうと思った理由があったんだろうけど、やっぱり納得いかなくて許しきれてない、のかな?

 ルカにも相談してみたけど「あなたの心に従いなさい。自分の気持ちに素直になるのよ」なんてらしくない真面目な答えが返ってきて。ちょっと残念。やっぱり他人に決めてもらおうと思っちゃダメなんだよね。

 私の心かぁ……。私、どうしたいんだろう?? 全然分かんないや。





6月10日

 留守電にカイトさんからのメッセージが入っていた。パーティーの演奏者の顔合わせがあるから、私にも参加して欲しいって。場所と時間、それから渡された曲についても言っていた。あの曲はできれば私に歌ってほしいって。そのために作ったものだからって。

 これは、私のために用意されたもの。もしも私が歌わなかったら、この曲は誰が歌うんだろう?私じゃない誰かだろうか?カイトさんはそれを聴いてどう思うんだろう。悲しむかな。うん、そうだよね。きっと悲しい顔をするんだろうな。それは、やっぱりイヤだな……。

 お父さん、お母さん。一度だけ、一度だけでいいの。ごめんなさい。許してね。

ライセンス

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【小説化】火葬曲29 ミクの日記2

No.D様の火葬曲からイメージを膨らませて小説化しました。

原曲様→https://www.nicovideo.jp/watch/sm6074567

閲覧数:127

投稿日:2023/10/19 20:00:46

文字数:805文字

カテゴリ:小説

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