第二十話 雪の降る場所
「レン遅い!! 早くしないと怒られるんだから!!」
「ま、待ってよ……グミ……速い……」
僕は幼馴染のグミと一緒に近くの森に探検に来ていた。
言いだしたのは僕だけど、グミは運動神経もいいし体力もあるから、いつも僕が置いていかれる。
逞しく根を張った木の幹が邪魔をしてうまく歩けない。
「もう、先に行くからね。道はわかるでしょ」
「待って、待って、グミ……」
やっぱり待ってくれない。
そりゃ、僕が遅いのに探検に行こうなんて言ったからだ。
グミは怒ってるんだ。
僕はヴァンパイア族の、グミは悪魔族のトップ争いする立場。
勉強だってお稽古だってある。
もう勉強もお稽古もうんざりだった。
小さい頃の様に、グミと遊びたかった。
「まって、ま……」
―――ズリッ
という音がした。
僕の体は重力に従って、下へ沈んでいく。
仰向けのまま。
さっき僕が立っていたはずの地面には僕の足はない。
沈んでいく、止まれない。
―――ドサッ
その音とともに、僕の視界は真っ暗になった。
*
「―――か―――だいじ……」
誰かが僕を呼んでいる。
―――グミかな。
僕がいなくなったのに気づいて、助けに来てくれたのかもしれない。
「グ、ミ―――?」
少し目をあける。
グミではない。
綺麗な髪の、水色―――だろうか。
透き通るような柔らかい髪を二つに結わえた女性が、僕の視界を支配していた。
「まあ、大丈夫だったんですね! よかったです!」
手の平を顔の前で合わせて、満面の笑みを見せた。
「私、ミクと申します。ここへはもう誰も来ないと思っていたのですが……雪の上で無防備に寝るなんて趣味をお持ちの方は初めて見ました。名前は何と言うのですか?」
「え、レンです。ヴァンパイア族で、えっと―――あなたは――何族ですか?」
さっきから目がちかちかすると思ったら、辺り一面真っ白で、銀世界だった。
それにこの人の髪の色、服の色。
「私はあまりそういう“何族”というもので自分を縛りたくないんですの。同じ魔界人、それでいいじゃありません?」
「でも――ここは、あなたは《雪女》ですよね―――?」
「ええ、森の奥の《白に染まりし地》です」
禁忌の《雪女》――《白の染まりし地》―――。
――――何て事だ。
急いで帰らないと。
母さんにも父さんにも、これは確実に怒られる。
夕食抜きだ。
しかも寒いし。
「失礼します!! 帰らなければいけないので!!」
「無駄ですわ、あなただと迷いますわよ」
そんなのわからないじゃないか!!
とにかく、ここへは来てはいけないんだ。
こんなことになるなんて、それなら家で勉強してたほうがましだった。
グミに勉強一緒にやろうって言えばよかった。
嗚呼何たる失策。
僕は足早に家路を探した。
しかしどこへ行っても同じような景色で、今いったい自分はどこにいるのかが全く分からない。
「ぅうう……」
結局巡り巡ってさっきのところへ帰ってきてしまった。
「あら、本当に迷ったんですの?」
「道を教えてください―――」
「さっきの問いに答えてあげましょう、確かに私は《雪女》です。この《白に染まりし地》で最後の」
会話が噛み合っていない。
「道を教えてください―――」
「――ふぅ、わかったわ。でもその代わりと言ってはあれだけども―――」
僕は、死ぬんだろうか?
あの雪女からの要求、心臓とかだったら―――目玉をくれとか―――?
「明日もここへきてちょうだい?」
その人は寂しげに笑っていた。
はいとしか言えなかった。
それが僕と――――あのひとの出会いだった――――。
コメント4
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踊ればちんちん揺れる キラハピ キラハピわっしょい!
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■イントロ
フッ!ハッ!フッ!ハッ!ハッ! フッ!ハッ!フッ!ハッ!ハッ!
フッ!ハッ!フッ!ハッ!ハッ!イエエエエイ!!
■1A_1
今宵クラブイベント
アゲアゲ...キラハピ鼻毛ぼぼぼぼーん!
むっちゃん(Muufe名義で活動中)
眠い夢見のホロスコープ
君の星座が覗いているよ
天を仰ぎながら眠りに消える
ゆっくり進む星々とこれから
占いながら見据えて外宇宙
眠りの先のカレイドスコープ
君が姿見 覗いてみれば
光の向こうの億年 見据えて
限りなく進む夢々とこれから
廻りながら感じて内宇宙...天体スコープ
Re:sui
A1
幼馴染みの彼女が最近綺麗になってきたから
恋してるのと聞いたら
恥ずかしそうに笑いながら
うんと答えた
その時
胸がズキンと痛んだ
心では聞きたくないと思いながらも
どんな人なのと聞いていた
その人は僕とは真反対のタイプだった...幼なじみ
けんはる
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ご意見・ご感想
しるる
ご意見・ご感想
ミクだった~!
これが本当の雪ミク!
いやしかし、ここもリンちゃんだとおもったんだけどなぁ~
はずれてしもたww←
……あれ?最後の雪女?……こ、これは……謎が深まる
2012/12/22 09:40:35
イズミ草
ああ!!
本当だ!!
雪ミクwww
それだと色々ややこしそうなんでw
2012/12/22 17:00:16
Seagle0402
ご意見・ご感想
しばらく来てないうちに、過去編スタートしてる…!
ミクさん、雪女なんですね。何故か妙に納得できてしまいます…
レンは、次の日もミクのところに行くのかな?
2012/11/18 11:20:13
イズミ草
そうなんんですのwww
でもまだ過去編は序盤の序盤ですよ!!
まだまだ書きたいことは山程……
そう、雪女なんです。
迷いに迷ってそうしましたww
2012/11/18 16:37:18
つーにゃん
ご意見・ご感想
いやいや、イズミ草さんの素晴らしい小説を読まないわけにはいかないでしょう…
実はずっと読んでました★((←
頑張ってください!
2012/11/11 17:25:41
イズミ草
そっそうだったんですか!!!
いやはや、最早有難うとしか言いようが……><
重ね重ね、有難う御座います
2012/11/11 17:49:36
つーにゃん
ご意見・ご感想
おひさしぶりです!
やはり、すごいですね
その文才を私にくださいな☆
2012/11/10 11:48:42
イズミ草
お久しぶりです!!
大分進んでますが、読んでくれたんですね><
うれしいですっ!!
いやいや……私これでも、脳フル回転なので★
2012/11/10 21:45:17