ある街の物語




人里離れた薔薇の街
ついにぞ 皆が眠りゆく
一輪の薔薇(はな)の香りに惑わされ
果てぬ夢を見続ける

孤独な風の旅人は 
夢見る町へと舞い降りた

彼が見つけたのは
町の中央に咲く大輪の薔薇
眠りの町を覆うようにルージュの華が咲き誇る

薔薇の香りに誘われるように
四対の翼を羽ばたかせ
薔薇の傍へと飛び立つ

彼が見つけたのは女の子
薔薇のような真っ赤な唇
透き通るような肌を持ち
花弁のベッドで死んだ様に眠る
幼い少女だった

暖かな少女の身体からは
ほのかに香るあの香り
彼は彼女の身体を強く抱いた
壊れそうな儚い鼓動
それが彼女の生きる証

少女の瞼がゆらりと揺れる
覗く瞳は空を映した青色
彼のはしる空の色
笑みを浮かべる彼女の唇から零れた言葉



『おはよう』


少女の身体を胸に引き寄せ
彼は大空へと舞い上がる
つむじ風が彼らを包み 空高く飛び立った
流れる雲と共に 何処か知らない遠くへ

彼女の去った眠る町は目覚めの時を迎える
真っ赤な薔薇は朽ちるようにその身を枯らし
茶けたその身を曝す
花は風に攫われ
砂のように壊れゆく

あとに残ったのは純白の羽根
少女と旅人の行方を知るものは
誰もいない

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

ある街の物語

オリジナルで書いていたものですが、中々自分的に気に入ったので。
詩的に書きました。
でも、歌になったらおもしろいかなぁと思います。。
っていうか、なったらいいな!!

閲覧数:41

投稿日:2009/11/06 15:31:54

文字数:523文字

カテゴリ:歌詞

オススメ作品

クリップボードにコピーしました