音が、


はじまったその瞬間、その音は、僕を、泣かせた。

こんな気分になるなんて、思わなかった。

初めて、感動した瞬間だった

その体から、溢れだす音の波、それは、僕の体を包みこんでいく

ココロに刺さってくる挑発的な和音、惹かれていく僕

"彼女"の歌は、まだ続く

その、ひとつひとつが、今までの僕を、思い出させる

…なにが、僕の人生に残ったのだろうか

こんなこと、あっただろうか

今までの僕は、ただの自分の意思をもたない、親の操り人形だったのではないか

それに比べてステージ上の彼女は…

まばゆいほど、自ら輝いて、今僕たち、聴衆の全てを魅力し、虜にしている

同じ、人間なのに、何故、こんなにも違うのだろうか

ー今からでも、間に合うのか、

そんな感情が、胸の中から出てきた

もっと、もっと、外のことを知りたい

汚れてても、こんな幸せがある。


今日、僕の世界観は、ぐるりと変わった。



「あら、あなた見かけない人ね。私の歌を聴いて泣いてくれるなんて」

気がつくと、目の前に"彼女"がいた

show time は 終わったようだ

「え、いや、あの、歌を聴いたのは初めてで…」

「あら、生で歌をきいたのは初めてなのね」

「あ、いえ…お恥ずかしいんですが、本当に、音楽というものを、きくのが初めてで…」

「…え?歌を聞いたことがなかったの?違うわよね?」

「いえ…その通りです」

僕は、彼女に今までのこと、社会に出てからのこと、今歌を聞いてなどを話した

驚きながらも、親身に聞いてくれた

「…ふーん、なんか、凄いわね、育ちが良すぎってこういうことをいうのね…」

「あ、はい」

「じゃあ、歌を歌ったことも…」

「無いです」

「…凄いわね、本当に。逆に初めてだわ」

そういうと、彼女は少し考えて、微笑みながら驚きの言葉を口にした

「…私と、歌を歌わない?」

「え…いいんですか?」

「面白いわね。ついていらっしゃい」

なんだかよくわからないが、彼女は、僕を楽屋?につれていった

「ここ、すわって。お時間あれば、いろいろできるんだけど…大丈夫かしら?」

「あ、明日は休みなんで大丈夫です」

「…そう。じゃあ、やらせてもらうわね。」

「あの…なんか、初対面なのに悪いですね…」

「いえ、大丈夫よ。貴方みたいな人は、初めてみたし、いじりがいがありそうだし。」

そういうと、彼女は僕の髪をアレンジ?し始めた。

「もう仕事場じゃ無いんだし、その退屈なスーツも脱いでいいと思うけど。今すぐ脱いでほしいなぁ。」

「いや、着替えがないんで」

「真面目ね…」


「…よし、これぐらいでいっか!」

終わったようだ。鏡を見る。

…僕が、別人のようだ

「鏡の中の自分に感想は?」

感想…

これなら、変われる気がしてきた。

いつもの、これまでの僕じゃない、"僕"

僕の中で、何かがうごめきだす音を感じた

"さあ、音楽を、始めよう…!"



気がつくと、僕は歌い出していた。
やり方も知らないはずなのに。

だけど、その場の衝動で、音が湧いてきた

思いついたメロディをすらすらと歌いあげる

何故だろう。これだけは初めてじゃない気がする。

感覚が覚えているのに、この体では、まるでわからなくて、不思議な、何か

波が、押し寄せてくる。



「…?!」

ふいに、我に戻った。

ちょうど、終わった。

彼女は唖然としていた。

「え?!え?!どういうこと?」

「わからないんですけど、鏡を見たら、自分が今までの自分とは違う感じがして…衝動的に、」

「あ、あの、まさか下手でした?」

「よし、ステージに出なさい。ピアノ弾くから」

「あの、何があったんですか?!
僕なにか悪いことしましたか!?」

すると、彼女はニヤリと笑って、

「貴方、明日暇って言ったわよね?」

「?」

「名前を教えて頂戴。これからここで、歌わない?」

「あの、何故僕?が?」

「わかったわね?これが楽譜。本番は1ヶ月後よ。来れる日はならべく来てちょうだい。」

「私の名前は"MEIKO" 覚えていて頂戴。あなたのような人は初めてよ。

明日、来て頂戴。」

半分押し付け感もあるが、悪くはないかも。

「…わかりました。僕は、カイトといいます。よろしくお願いします。」

「あら、受け入れてくれたのね。よかったぁ…ところで、"カイト"、ひとつ警告してあげる。そのいかにもおぼっちゃま感丸出しの
髪型は、やめたほうがいいと思うわよ。」

あ、だから会社の人にあまり話し掛けられなかったのか…

って、そんなことじゃなくて、何故僕?!

「あの、何故僕が?」

「なんとなく察して貰えないかしら?」

そういうと、彼女はフッと笑った

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【カイメイ】 story one ≪ふと迷い込んだ路地裏での出来事≫ 下

こんばんわ!

計画性というものに欠けているayuminです←

何故こうなった…?

下だけ量が…

まあそんなことはさておき←←

カイメイ大好きだぁぁ!

カイト大好きだぁぁあぁあッ!

閲覧数:467

投稿日:2013/10/09 22:49:28

文字数:2,002文字

カテゴリ:小説

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