4-4.

 翌朝。
 まだ寝ぼけている愛をベッドに残してリビングに入ると、むせ返るような甘いにおいがした。
 ……また、ママかな。
 キッチンをのぞくと案の定、ママがフライパンでなにかを作っていた。フライパンの中には透明な液体みたいなものが入っていて、それをずっとかき混ぜてるみたいだった。何を作ってるのか、さっぱり分からない。
「おはよう。今度はなにを作ってるの?」
 こっちを振り向くママは、ちょっと慌てたように時計を見る。
「未来、おはよう……もうそんな時間なの? 間に合わなくなっちゃうかしら」
 ママに気付かれないように、こっそりとため息をつく。また、後始末を任されるのかもしれない。そう思ったからだ。
「なに、作ってるの?」
 そう私は改めて聞いたけれど、ママは聞こえているのかいないのか、フライパンに牛乳を入れてまたかき混ぜ始める。
「今日は生キャラメル。……牛乳、入れ過ぎたかしら。あ、未来。そっちのボウルに氷水用意してくれない?」
「……はーい」
 正直に言えば、お菓子を作る余裕があるならお弁当を作ってくれたらいいのにと思う。ママがそうやってお菓子を作る日は、パパとママのお弁当はない。当たり前だ。だって、私がキッチンを使えないんだもの。
 今日もギリギリの時間に起きてきたパパは、ママがキッチンにいるのを見て、お弁当を諦めて仕事に出かけた。
 ママは、フライパンで煮詰めたそれを氷水に浸して、冷蔵庫に入れたところで時間切れだった。あとは固まったら切り分けるだけらしいけど、やっぱり後片付けは私の仕事になった。
 唯一良かったのは、一番最後に起きてきた愛が片付けを手伝ってくれたことだった。
 もし愛がいなかったら、私は独りで朝から泣き出していたかもしれない。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

ロミオとシンデレラ 20 ※2次創作

第二十話。


ようやくキャラメルの話をすることができました。なんだか歌詞の順番通りに設定を消化できていないという事実に、自分でも地味に落ち込んでます。
おもしろい小説を読むたびに、その才能に嫉妬してしまうみにくい男になってしまっている自分が、すごくイヤ(笑)

あと、キャラメルって、煮詰めた砂糖と牛乳で作れるんですね。
この話を書くまで知りませんでした。
そういう知識がほぼ皆無な自分も、すごくイヤ(笑)

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投稿日:2013/12/07 12:57:57

文字数:743文字

カテゴリ:小説

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