僕が幼い頃の夢は“宇宙飛行士”
まだ見ぬ世界に囚われた
祖父が遺してくれた 「宇宙への道」が
あの頃の僕の宝物だった

望遠鏡をさかさに覗いて
宇宙を一点に閉じ込めた
掌の上で転がせそうなサイズに
いつかきっと自分もそこへ届くのだと信じてた

夢の終わりは唐突に 誰にでもやってくるものさ

憧れの未来に迫るたび
世界は精彩を失って
奇妙に矮小化して つぶれた景色だけが残る

グッバイ、ユーリイ さようなら 
僕はいつの間に大人になった
君のように青い夢を抱いたまま 
大きくなれたならよかったのに


無数の星を降らすアンドロメダの階(きざはし)
見上げた先には リゲル
幼い翼が広げた 罪のない空想は
やがて宇宙の泡の一つに消える

馬鹿になるなと絆(ほだ)され 現実と限界に囚われた

“未来の僕”の目で見るのは
呆れるほど醒めた“地球”
夢は夢だったんだって、そんな月並みな言葉

グッバイ、ユーリイ さようなら
あの夏には二度と戻れない
見飽きた青色の空に引かれた
飛行機雲の線を辿るだけ


計算ばかり上手くなったね、言い訳だけは一流
笑顔も忘れてさ、ああ 僕はもう宇宙(そら)へは飛べないね。


辿り着いた未来は呆れるほど
単調で過去の人と 同じ
綺麗だと思ってた青も そこかしこが色褪せて

今なら分かる、君だって
華やかなだけではなかった
宇宙(そら)から見下ろしたこの惑星(ほし)には
影も多く見えただろう

人波に揉まれながら見上げて
滲む機影を辿り
ようやくあの夏が終わり 僕は夢を捨てた

グッバイ、ユーリイ さようなら
僕はもう大人になった
これからは飛べない鳥らしく
地を這い誰かの夢を作ろう

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

サヨナラプレシャスブルー

――――夢を諦めた人。

いつもの宇宙系とは一味違う、その憧れが叶わなかった人の姿を書いてみました。ガガーリンに憧れながらも、結局は自分で限界を決めて諦めてしまった人。ロマンも何もない展開ですが、こっちの方がむしろ自分含め多くの人に当てはまるのではないかと思います。

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投稿日:2013/07/28 22:19:13

文字数:713文字

カテゴリ:歌詞

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