-学園祭準備-
スクールバックを持って、弁当を押し込むと、靴に無理やり足をねじ込んで一旦振り返ると、リンはメイコに言う。
「それじゃあ、行ってきます!」
「ええ、いってらっしゃい」
ドアを開けるなりレンの手を引いて家を飛び出す。家の前ではミクとプリマが並んで立っていて、リンとレンが出てくるのを待っているところだった。
すぐにミクのほうへ走りよって行き、毎朝恒例の『抱きつき』のあと、飛び跳ねるように歩き出す。頭の上の真っ白いリボンが兎の耳のようで愛らしい。その光景を楽しむようにミクが微笑みながら歩いていく後ろから、プリマとレンの『使い魔組』が歩いていく。
「…言ったのか?自分の名前のこと」
「ええ、まあ。…いろいろ言われましたが、最後には許してくださいました。ミク様に忠誠を誓うことに違いはありませんもの」
あのレオンの一件から、既に半年。プリマとアンの事も、プリマが自分からミクに言うから口を出さないように、とレンたちに口止めをしていて、それから何となくプリマとミクの関係がぎこちなくなっているように見えたのだ。
「プリマ、今日の一時間目って何の授業だった?」
「国語ですわ」
「え、数学じゃなかった?」
「数学は三時間目です」
「そう?私、国語の先生嫌いなのよねぇ」
今までのように『アン』ではなく『プリマ』といったあたり、ちゃんと話をつけているらしいが、やはり話し方がいつものように自然ではなく、見ず知らずの相手に話しかけるようだ。まるで茶番劇。
少し歩いたあたりで、レンは体中に悪寒を感じ、勢いよく振り向いた。…しかし、そこには誰もいない。
「あれ、あのクソヤローの気配がした気が…」
「こっちでした♪」
耳元で声がしたかと思うと、そこにはやはりにこにこと笑った顔の、レオンが立っていた。やはりレンよりも背が高い所為で、少し腰を曲げている。そこまでしてわざわざレンを驚かせようとするのが、レオンのおかしなところである。普通ならそこまでしないだろうに。
「…おい」
「んー?」
「気安く近寄んなって毎回、毎回、言ってんだろ――がッ」
素早く回し蹴りをするが、その兆候を察知したレオンがさっと後ろへ下がり、得意げに笑う。そうしてレンにもう一度近づこうとして、ミクの足に引っかかって転びそうになる。
「ざまぁ」
一言言ってやろうとでも思ったのか、レオンが振り返るとそこにいたのはミクではなく、怖い顔をしたプリマだった。コレまでにないような酷い目つきでレオンを睨みつけ、
「ミク様に指一本でも触れたら、お前の肺を斧でぶち破ってやるよ。…それと、ヤローとヤローの絡みは誰も期待してねぇんだよ。…それじゃあ、そのあたり、気をつけてくださいね♪」
最後のほうは優しげな笑顔であったが、始めのほうは随分と悪意のこめられた口調と表情で、有無を言わせぬ迫力があった。
「…はい。」
小さな声で言ったからレオンとプリマ以外には聞こえなかったらしいが、レオンには大きな恐怖間が植え付けられたらしい。大人しく返事をして、ゆっくりと歩き出すレオンを見て、レンも何があったのかを大体理解し、あえて触れないようにしながら歩き出した。
とぼとぼと歩くレオンは心なし寂しそうに見え、仕方なくレンはそっとレオンに話しかけた。スクールバックからチ○ルチョコを一つ取り出してレオンに差し出すと、自分も一つ口に頬張って、美味しそうに笑う。
「…お前さあ、そういうこと(嫌味)をしなきゃ、顔はまあいいんだから、女子にももてるんでない?」
少しきょとんとしていたレオンも、しばらくして笑うと、チョコレートを食べ、それから
「何、それ、密かに告白?」
「それ、プリマに聞こえたら間違いなく消されるぞ」
「…そうだね。」
またしょんぼりとしたレオンを気にとめる様子もなく、レンはスタスタと歩き出し、リンたちのほうに追いついた。
先ほどのレンとレオンの会話にプリマは気づいていないらしく、ミクの後から少し早足で歩いていく。
学校に着けば生活指導の先生が無駄に大きな声でスカートが短いだの、ネクタイがちゃんとしまってないだの、メイクしているんじゃないのか、といっているのを、生徒たちが無視しながら通り過ぎていく。そんな中、ミクがその先生のほうへ近寄っていき、微笑んで挨拶をする。
「おはようございます♪」
それだけ言うことで、しばらくは指導されにくくなるのだというが、少し信憑性にはかける。
そのまま教室へと向かうと、今度はチビカップルと呼ばれることになる。と、言うのも、リンもレンも平均から言って明らかに背が低く、しかも童顔だからなのだが、本人たちは決してそれを認めようとしない。それどころか、それを言われるたびにどんぐりの背比べでいがみ合うのである。
しかし、今日は違った。
目の前には、学園祭の準備に追われる同級生たちがいた。そういえば、学園祭などもうすぐだったな、などと考えながら、リンとレンはふと思い出した。
しかも、それを強調するように黒板には、メイド役と執事役の名簿が張られていた。
「あ、リン、そこにリンの執事服があるから、サイズが合うか、確かめてね」
同級生が言う。
「勿論、レンも」
付け足した。
「…ち、ちょっと、気分が悪いから、保健室に行って…」
そう言って逃げようとするリンとレンの肩を、レオンががっちりとつかみ、にっこりと微笑んだ。二人の顔から血の気が引いていった。
「ルカ、リンたちの忘れ物、届けてきてくれない?」
「あ、はい。わかりました。では、行ってきます」
「ほら、メイトも」
「えっ、なんで俺?」
「いいから!」
「それじゃあ、皆様お待ちかね、リン&レンの衣装チェンジターイム!!」
準備に追われていたはずの教室内の視線が、一点に集まる。準備の手もぴたりと止まった。
教室のドアが開き、二人がやってくる。
いつものリボンで髪を結び、黒いスーツに真っ赤な棒タイをリボンに結びながら、少し恥ずかしそうに、黒板近くのドアを開いてリンが入ってくると、教室中が沸く。
そして、もう一方のドアからは髪を下ろして黒いメイド服に白いレースのカチューシャをつけて、レンがはいってきた。こちらも、教室にどよめきが走る。
「わー!やっぱり、無理無理無理!絶対、無理!これで接客するとか、マジ死ぬ!」
そういってレンが着替えに戻ろうと振り返ると、そこにいたのは、きょとんとした顔のルカとメイトだった。
――終わった。一瞬、レンはそう思った。会ってから二日もたっていないほぼ見ず知らずの人間にこんな格好を見られて、もう人生が終わってしまうんじゃないかと思えた。
しかし、そんなレンの考えをよそに、教室はさらに沸き立っていた。問答無用でルカとメイトをそれぞれ更衣室に押し込め、衣装を放り込むと、鍵を閉めてしまった。
「えっ、え、何、この学校、そういう趣味の奴らが集まる学校なの?」
「どういうことですか!説明しなさい!」
がたがたと戸を叩いても開かないことに気がつき、ルカは投げ込まれた衣装をしばらく見つめていたが、あきらめたらしく、薄い壁一枚挟んだ先にいるはずのメイトに呼びかける。
「その衣装、着ないと出してくれませんよ、きっと」
「…だろうな。あきらめてきるしかなさそうだ」
「…腹をくくりましょう」
そういって、二人はさっさと着替えだした。
「着替えましたよ!コレでいいでしょう?出してください!そろそろ出さないと、本気で怒りますよ!」
仕方なく着替え終わった後にそういうと、ドアがいきなり開き、教室内はため息に包まれた。それより少し遅れてメイトもやってくると、こちらもまた静寂に包まれた。
似合っていないのではなく、似合っているからこそ、息が詰まるようなほどなのだ。
「…ルカ、俺、学祭やすむから、かわりに出て。結構似合ってるから」
「…メイトさん…(以下略)」
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ご意見・ご感想
リオン
ご意見・ご感想
こんばんは、みずさんもЖ周Жさんも。
Ж周Жさん、もう土下座、土下座、土下座ぁぁぁあああ!!!
ああ、もう、リンもレンも今からベッドINしようか(超自重しないフラグ)
妄想の塊のわたしが書いた小説は結局妄想の産物ですから、それを見ている時点で
洗脳されているのですよ♪
あ、リンもレンも、ルカもメイトもわたしが全員テイク★アウトしましたんで!(ウザ★)
次回はまともなのを投稿すると思います(←あやふや)
みずさん、そ、そんなに変なこと書いたかな…(あわあわ)
同じの何回も見てるんですか?…え、そんなに内容詰まってないはずなんですけど?あれ…?
常連さんってよくないですか、響きが。それに、いくら常連さんって言ったって、
毎日来るとは限らないですし、問題ありませんよ!
…え、私も貰われるんですか?……これ、どう反応したらいいんですか!?(汗)
喜ばないでぇぇええええ!!!!
…いいですね、私も一応(←ここ重要)女ですけど、メイドいたらいいなぁなんて思うときありますもんね。
レンがその役を買って出てくれたということでしょう!
プリマさんは怒ると凄く怖そうです(汗)
レオ「…ねっ★」
プ「…なんです?(ギロリ」
レオ「なんでもないです(泣」
その学校に入るのには、メイコさんあたりに頼めば、どうにかなると思います。賢者だし。
レンはこのシリーズではレンは愛されキャラなんですよ。…いろんな相手から愛されてるんです。
それじゃあ、私も狂ったように投稿するた(以下略)
2009/11/04 18:57:20