午後は光の速さで過ぎ去っていった。まるで授業なんてなかったかのように、気が付けば放課後。
僕は何かから逃げるようにバスに乗り、家路を急ぐ道中も「どうしようどうしよう」という言葉だけがずっと頭の中を駆け巡っていた。

 ピンポーンと家のチャイムが鳴ると、僕の心臓は破裂してしまいそうだった。
急いで階段を降り、玄関へと向かう。
「こんばんわ」
彼女は礼儀正しく挨拶をする。それは僕にだけでなく、後ろにいる母にも向けられたものだった。
「あらあら、香織ちゃん?久しぶりね~。でも突然どうしたの?」
「一彦くんに呼ばれて、その、用事があるって」
香織は僕を一瞥する。
「へー」
母からの視線も突き刺さるように感じた。
「さあ、あがってあがって」
僕の意志も聞かずに、母は遠慮する香織を半ば強引に家にあげ、勝手に僕の部屋に案内した。

 「あんまり変わってないね」
「そ、そうかな」
僕の部屋に香織が来るのは何年振りだろう。幼馴染に部屋を見られるというは気恥ずかしく、落ち着かない。
「あっ!なんか飲み物でも持ってくるよ」
「ううん」
気を落ち着かせるために部屋から離れたかったが、拒否されてしまった。
「それよりも、用事って?」
後戻りも先延ばしも出来ない。今日、何度目か分からない覚悟を決めた。
※小さなテーブルを挟んで、正座をする香織と対面に僕も正座をする。
「実は、好きな人が出来たんだけど」
綿密なシミュレーション練習は無駄になり、頭の中は真っ白で、ただただ思いついた事を口にする。
「そう、なんだ。でも私、誰とも付き合ったことないから、恋愛相談のアテにはならないかも」
香織はふふっと冗談ぽく笑う。
「そうじゃなくて、その。。。香織の事が、好き。なんだ」
心臓は破裂せんばかりに跳ね、部屋中にドクンドクンという音が鳴り響いているような気さえする。喉の奥からかは酸っぱい胃液が少しだけ逆流し、渇いた口腔を潤し、思考とは裏腹に口だけが動く。
「だから、僕とお付き合いしてください」
少しだけ腰を折り、頭を下げる。お願いをしているのだから、頭を下げるのは当たり前なんだろう。しかし今は、香織の顔を見続ける事ができなくて俯いてしまっただけだった。
沈黙は長く感じた。もしかしたら本当に何十分も続いていたのかもしれない。
「明日まで、考えさせて」
香織はそれだけ呟くと、僕の部屋を出て行った。
部屋に1人になっても、しばらく同じ体勢で動けずにいた。

次へ
行間の間で返事シーンは割愛する。



部屋で告白して、携帯アドレスとかを交換する。→毎日メールをするし、四六時中携帯を持っている。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

2.高校生編2

高校生編の入りきらなかった分です。

閲覧数:137

投稿日:2016/05/21 17:59:43

文字数:1,093文字

カテゴリ:小説

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