それは、今から七百年前の物語
白い僕は、転生した色達に出会った
とある武家の姫に仕える、忍びの兄妹
それが海理と海玖理だった
その家はここ最近で力をつけ、周りからは常に狙われていた
姫もまた美しく、求婚が絶えなかった
刺客は多く、姫は常に危険に晒されていた
そんな姫の護衛の任務を与えられた二人は強く、敵を華麗に倒していた
その姿は美しく、いつしか二人は人々に碧い蝶と呼ばれるようになっていた
そして二人はとても仲が良かった
海玖理はその家の姫、瑠近とも仲が良く、彼らはよく一緒に過ごしていた――
「ねえ、ミクリ……わたくしも、忍びの者になりたいわ」
「姫様……」
「わたくしは、結婚したくないの。でも、父上は喜んでいたわ」
姫は数々の求婚を断ってきた
しかし今度ばかりはわがままも通らないだろう
ここら一帯で一番の有力者の貴族が自ら屋敷を訪れたのだ
彼との婚姻が成立すれば、この家ももっと大きくなる
海玖理もそれがわかっているから、何も言えなかった
「兄様、姫様が可哀想……」
「仕方ないよ。姫様は従うしかないんだ」
「わかってるけど……」
二人は屋敷の屋根にいた
今日の月は雲に隠れている
刺客を見落とさぬよう注意しなければならない
「あ……」
「また、奏でていらっしゃる……」
聞こえてきたのは、夜闇に響く弦の音
「さあ、仕事だ」
姫が奏でる音が合図になって
武器のぶつかる音が、旋律を紡ぐ
そして舞うように、踊るように敵を倒していく
大好きな友人でもある姫を護るため
今宵もいつものように海玖理は空を舞った
大好きな兄と共にいられるこの時間も大切だった
海玖理は、叶うならば今の関係がずっと続けば良いのにと思っていた
そんなある春の日
「桜が綺麗ね」
「姫様、外は冷えます」
「少しだけ、良いでしょ?桜を近くで見たいの」
「少しだけですよ」
はらりと舞い散る桜を眺めながら、瑠近がぽつりと呟いた
「次の桜は、ここでは見られないのでしょうね」
「姫様……」
「きっと彼と結婚することになるわ。毎日、欠かさず文をくださるの。この前は扇の上に花を添えてくださったわ」
「愛して、くださいますよ……その方なら」
「そうね……少し冷えて来たわね。部屋に戻るわ」
屋敷内へ戻る姫の後ろ姿を見送り、海玖理は溜息を吐いた
「ミクリ?」
「カイリ……私達、姫様を護ろうね」
「もちろんだ。けど、無理はしてほしくない。僕はミクリも大事だからね」
「カイリ……うん、ありがとう。ずっと姫様を護っていこう、二人で。私達、ずっと一緒が良い」
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「ずっと一緒にいよう」
「ずっと、一緒だ」
海理の手が重ねられた
鼓動が跳ねる
「カイリ……?」
視線がぶつかる
顔が近づいてきて、額に熱を感じた
「ミクリー」
「姫様が呼んでるよ」
「い、行ってくる」
顔を赤くしながら、少女は屋敷内へと駆けて行った
二人は互いに惹かれ合っていたのだ
白い僕が彼らを見つけたのはそんな頃だった
二人は兄妹。結ばれることはない
それでも諦められない強い想い
しかも結ばれない運命を辿るように仕向けているのは、黒の彼
どの色達も彼のせいで、悲劇の運命を辿ってきていた
そのことも知り、僕は色達を助けたいと思った
そして白い僕はこの時初めて、色達の運命に直接関わったんだ
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