※警告という名の諸注意、やっちゃったよセルフパロ

・帯人×女性マスター(篠武)
・カイトは出てきません
・妄想による世界観、しかも本家よりダーク。
・オリキャラ満載(オリキャラは名前・設定ともにシャングリラと同じ・若干性格は変わっている場合もあり)
・帯人はアンドロイド・機械的な扱い、表現を含む
・女性マスターの一人称が『オレ』

※ここ大事※
 多分いないとは思いますが…万が一、本家シャングリラを少しでも気に入ってくださっている方がおりましたら、今すぐ全力で引き返してください!本家シャングリラとは一切関係ありません。悪いのは全面的に私ですorz

恐らくツッコミ処満載ですが、エンターテーメントとして軽く流して楽しんで頂けると幸いです

上記が許せる方は、自己責任で本編へどうぞ




☆☆☆☆☆☆☆




※若干のグロ(?)表現アリ

18.

SIED・SINOBU


あの施設で創られただろうこの青年が、どうしてこんな傷だらけになって真夜中の山道を彷徨いうろついていたのか…。

多分、昨夜の事故が何か関係しているんだろうな。


(結局、事故だか事件だかの内容って、どんなものだったんだろう…?)

何にせよ、現場の混乱で外に迷い出てきてしまったのか、まぁいいや。

(オレがデータ取り返して、…こいつも誘拐する流れになっていたと思うし、)

結果オーライってやつか?



「えーと、…お前の名前は?…KAITO、でいいのか?」

ベッドの脇に腰かけ、求められるまま彼の髪を撫でつけていたオレは、ふと思いついて聞いてみる。
施設内では何て呼ばれていたのか、オレは彼を何て呼べばいいのか…。

「…名前…、特には…何も、」

「…そか、」



吾輩はVOCALOIDである。名前はまだない。



…嘘だろ?


プロトタイプだから、とか?でも、名前くらいは付けないか?普通は。
じゃあ、KAITOでいいかな…いや、ダメだ。彼をKAITOと呼んでいるところをうっかり正隆さんに目撃されたら、また発狂しちゃうんじゃないかな(汗)。



「ねぇ、…あなたは、誰?あと、ここは…?ぼく、連れ戻されたの?」

あ、しまった。人(?)に尋ねる前に、自分が名乗るのが礼儀だった。

「ごめんごめん、オレの名前は木崎篠武。ここは病院で………ん?」

あれ、今、こいつ『連れ戻された』とか言わなかったか?
ということは、ただの迷子じゃない、自分の意志で施設を出てきたってことか?

「お前…、」

一体何があったのか、彼に問い質そうとした瞬間。



「篠武さんッ!!!!!」

背後のドアが勢いよく開き、加奈さんが部屋に飛び込んできた。




19.

SIED・KANA


ドアを開けて目に飛び込んできたものは、既に目を覚ましてしまった黒髪の青年と、彼に寄り添う篠武さんの姿だった。

(まずいわね、…とりあえず篠武さんを彼から離さないと…、)

何も知らない彼女は、彼がどんなに暴力的で危険な存在か、思いもよらないに違いない。

一見大人しそうな外見とは裏腹に、内に秘めた攻撃性と残忍な本性を知ったら、篠武さん…あなたはどんな顔をするのかしら?


「ちょっといいかしら、お話があるの、」

「…ああ、うん、…わかった、」

私は彼女を連れ出すと、少し離れた部屋へと移動する。

途中で部下の一人にアンドロイドの監視を指示し、北澤君を呼び寄せると、早速エージェントからの報告メールを二人に見せた。


さぁて、今後のことを話し合いましょうか。じっくりとね。




20.

SIED・TAITO


ぼくがここで目覚めてから、三日が経った。

脳内時計でも時間の経過はわかるけど、ここには大きな窓があるから、一日の流れは太陽の動きで見ることができる。
以前いたところは壁しかなかったから、初めて見た日の光の差す外界は、なんだか不思議な景色だった。


「あ、起きてたか?おはよー、」

「…おはよ、篠武、」

あの日初めて会ってから、彼女は頻繁にこの部屋に来てくれる。

特に何をするわけでもなく、少し話をして出ていく時もあれば、タブレットを持ってきていろんな動画を一緒に見たり、部屋から出て二人で建物内を散歩したりすることもあった。
あと、ぼくの傷の治療をするときも大概は傍にいて、時には手伝ってくれることさえある。

白い壁、薬品の匂い、よくわからない様々な器具、冷たい目でぼくを見る人たち…本当はここも、以前いた場所とあまり変わらないから居心地はよくないけど。
でも彼女が、篠武がいるから。あの暖かい手で、撫でて貰うのはとても気持ちがいいから。


だからぼくは、今日もなんとなくここにいる。



「どうだ?…怪我、治りが悪いな、」

何度換えても血の滲んでくる包帯を見て、彼女が眉をひそめた。

「…気持ち悪い?」

瘡蓋にもならないそこは、常にじくじくと濡れていて、見ていて気分のいいものではない。

「こっちは心配してんだよ。…痛むか?」

近くなった篠武の髪から、ほんのり甘い香りがする。
真剣にぼくの身体の具合を見る彼女の、琥珀色した瞳が揺れているのがとっても綺麗だ。


(心配…して、くれてるんだ、)

なんだかくすぐったいような、でも身体の中心からふわふわと暖かくなるような。

もしかして、これが『嬉しい』って気持ちなのかな。



「今朝はまだ包帯換えてないだろ?オレが換えてやろうか?」

「うん…、」

そう言って立ち上がった彼女は、部屋の備え付けの薬品棚を無造作に漁る。
ねぇ篠武。
どうしてあなたは、そんなにぼくに優しくしてくれるの?




「あ、そうそう、いつまでも名前ないのって困るだろ。昨日見た動画でさ、KAITOの亜種の帯人ってあったじゃん?あれ、どうかな、ちょっと似てない?」

「篠武が好きなら、それでいいよ、」

あなたがぼくを個として識別してくれるなら、ぼくは何だって構わない。


続く

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

※亜種注意※Lost.Eden//叶わなかったシャングリラ【帯マス】第六話

不便も限界なので、漸く名前のターン;

閲覧数:51

投稿日:2016/09/22 01:04:58

文字数:2,483文字

カテゴリ:小説

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