ある日の午後。
カイくんと一緒にお店の売場に出ていた、アルバイトのミクちゃんは、
さっきからお店の中を歩いている女の子が、ちょっと気になっていた。
「可愛い子。でも、何を見ているんだろう?」
紫色のベレー帽をかぶったその女の子は、ミクちゃんが書いた商品の説明文の紙をじっと見たり、
ときおり、ミクちゃん自体を見つめたりしている。
そのうち、ふと2人の目が合った。
ベレー帽の女の子は一瞬とまどい、ニコッと笑って会釈した。
ミクちゃんも「いらっしゃいませ!」と、ニッコリ笑って挨拶する。
女の子はスケッチブックと、色鉛筆を売り場に持ってきた。
「これ、ください」
「はい、かしこまりました」
ミクちゃんはそれを袋につめている時も、何となくその子に見つめられている気がして、顔が赤くなった。
「どうも、ありがとう」
またニッコリ笑って、彼女は帰っていく。
ミクちゃんは思った。
「さっきはあの人、何を見ていたんだろう。でも、可愛い人だったな」
●ぬいぐるみ化計画!
その日の夕方。
雑貨店「つんでれ」の、売場の奥の小さなアトリエで、ウタちゃんは一人で机に向かっていた。
机の上の紙に彼女が描いているのは、さっき玩具店「キディディ・ランド」の売場に貼ってあったイラストの絵だ。
彼女は、それをよく観て頭に焼きつけ、いま、思い出して描いてみた。
「これは、売り場にいたあの子が、自分をデフォルメして作った女の子の絵なのね」
ウタちゃんは、そう思った。
数日後、土曜日の夜。お店が閉まった後の「つんでれ」の店内。
店長のテトさんと、店員のウタちゃん、そしてテトさんの友人のルカさんが、みんなで何枚かの絵をのぞきこんでいる。
「どう?ぬいぐるみに出来そう?」
ウタちゃんが、テトさんに尋ねた。
「オッケイ!」テトさんはうなずいた。
「イラストを立体にデザインさせたら、ウタちゃんの右に出る人はいないわね!」
「ホント。さすが、デザイナー・デフォ子!」ルカさんもほめる。
デフォ子とは、ウタちゃんのペンネームだ。
●色に迷う...
じつは、テトさんと、ウタちゃんは「キディディ・ランド」から、特製のぬいぐるみを一つ作ってほしいという注文を受けていた。
おもちゃ屋のキディディ・ランドは、8月の終わりに誕生2周年を迎える。
店長のカイくんが、お店に飾るためのぬいぐるみを、お店の常連客のルカさんを通して2人に頼んだのだった。
「ねぇ、ぬいぐるみの、色はどうするの?」
ルカさんが口をはさむ。
「この絵の、本人...てヘンか。ミクちゃんだっけ?彼女、とても髪がキレイだったわ」
「そうね、ツヤツヤして」
ウタちゃんの言葉に、ルカさんも同意する。
「だから、“みどりの黒髪”で、みどり色。服の色は、お店の制服の水色でいいわ。髪どめは赤ね。でもね...」
ウタちゃんは、深刻に考え込んだ。
「どうしたの?」
「この子の、おパンツの色よ」
「は?」
「はぁ?」
2人は、思わずウタちゃんの顔を見た。
彼女は、絵の女の子の腰のあたりを指さして、言う。
「やっぱり、あるていどのリアリズムは必要だと思うの。でも、お店で彼女のを見るワケにもいかなかったから...。ほんとに、何色にしようかしら...」
テトさん「......」
ルカさん「......(;^_^A 」
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