episode1-5
学校から帰った信介が、部屋のベッドに寝転ぶ…。『はぁ~っ…。何だかんだで、いろんな事があった1日だったなぁ…。しかし…沖田信崇って奴、気色悪いほど俺に似てたなぁ…。甲斐南の3年って言ってたなぁ。一体、何者なんだろう…?』「お~い、信介!飯だぞ~!」咲来の呼ぶ声…。「分かった~!」『何はともあれ、飯だ。』…人を殺めた事をひと時…忘れる事が出来た信介だった…。

一方、その頃…信崇はある決断をする。『そろそろ、行動に移す時かな…。私は…私自身の出生を明らかにしたい。その上で…義父が何故、私を養子に選んだ理由を知りたい…。私の胸の内にある…沖田家の謎を解き明かしたい、という願望が抑えられない…。だが、何から始めていいか…解からない。まともに役所に行った処で、ただの孤児扱いだろうし…。んっ?待てよ…孤児を扱っていると言ったら、沖田化学のSBCS(サバス)施設か…!そうかそうか!私もそこで育った経歴もある…。先ずはSBCSの会社に忍び込むか…?いやいや余りにも古典的だろ…。よくスパイ映画で見る「パソコンに侵入はする。」はどうだろ?…データー管理の世の中だ。必ず手掛りがあるはずだ。パソコンの詳しい奴が必要だが…取り敢えず、方々あたってみるしかないか…?』ハッキングの手段を自分なりに調べる信崇…。

次の日の朝…学校の教室で、後ろの席の女子生徒に尋ねる信崇。「…あの、酒井さん。この学校で、パソコン関係に詳しい人を知らないかな…?」「沖田君が人探しって、珍しいね。パソコンが調子悪いの?…そんな事じゃ~ないよね?まぁ、沖田財閥なら…パソコンの1台や2台ぐらい調子悪くなったって、買い換えれば、どうって事ないよね~。で…何を出来る人を探してるの?例えば…ハッカーとか?」『中々…鋭いな。図星だよ…。』信崇の眉がピクッと動く。「ふぅ~ん…図星って顔に書いてあるよ。…それなら、あそこの浅井春之助(あざいはるのすけ)がいいと思うよ。彼はロボット同士で戦うコンテストによく応募してるから、プログラミングが得意そうだし、色々とパソコンにも詳しいと思うよ。」この…嫌味なのか、友好的なのか、判らない女子生徒は…酒井美羽(さかいみわ)。ショートカットの弓道女子で性格は男勝り…。弓道の成績は全国大会に行くほどの腕前らしい。「…詳しいんだね、浅井君の事…。」「…まぁな。幼馴染みだし…。あいつは…ちっとも、こっちの気持ちに気付かない鈍感な奴だけど…眼が離せないんだよ。…ったく。」『酒井さんは、浅井君が好きなのか!』…信崇がこっそりとほくそ笑む。「わかった。ありがとう…次の休み時間にでも、話して見るよ。」「へ~い。」「…ごめん。1つ聞いていいかな?…眼鏡掛けてる人は、弓道する時は…どうしてるのかな~って思ってね。」「普通はコンタクトにするかな…。気にしない人は掛けたままだけど…。おや~っ?沖田君にもそんな人がいるとはねぇ~。」「ち…違うよ!…たまたま、バスで話しただけの人だよ。…近所の岡田先生の所に行った帰りだと、言ってたよ。」「ウソ~っ!私も通う時があるよ!…どんな子なの?」「…確か、輝響高校の及川さん…だったと思う…」「えぇぇ~っ!あ…あの及川…さん。…神が来た~っ!凄い、凄過ぎる~っ!」「…えっ?何が…?…どういう事?」困惑している信崇に…「及川濃巳と言ったら、弓道界のプリンセスと呼ばれるくらいのカリスマ的存在の人だよ~っ!…もはや…「神」と呼ぶに相応しい…とさえ思う訳なのよねぇ。なんで、アンタなんかが知り合いになるわけ!…ったく、信じられないわ!」「…あっ、いや…なんか、済みませんでした…。」取り敢えず、頭をペコリと下げておいた信崇であった。『なんか…無茶苦茶(むちゃくちゃ)な人だな…。でも…濃巳さんはそんなに凄い人だなんて、思ってもみなかったな。』それから…しばらくの間、酒井さんの追及は納まらなかった…。
次の休み時間に、浅井君に話しかけてみた…。「あの、酒井さんに聞いたんだけど…パソコン関係が詳しい人だと…。」視線を酒井さんに向ける春之助…。嬉しそうに手を振る美羽の姿が春之助の眼に写る…。やれやれ…といった表情の春之助が話し出す。「…まぁ、その辺の電気屋よりは詳しいかな。それで…何をご用命かな?」浅井春之助(あざいはるのすけ)…常に校内では成績を5番以内で保ち、難関大学を推薦で決めたほどの秀才である。髪はサラサラ、肩までと言えないほどの長さで、スラっとした長身を兼ね揃え、銀縁の眼鏡を掛けた…その下の素顔は、稀(まれ)にみるイケメンだと噂されている…。「…実は、大きな声で言えない話なんだが…ある会社のデータを見たいと思って相談してる訳なんだが…。」話し終わった途端、透かさず信崇の首を腕で掴んで小声で話し掛ける…。「お前は何を頼んでるのか、解って言ってるのか!法に触れる事を頼んでいるんだぜ!ったく~!」チラッと、信崇の真剣な眼差しを見て…また驚く春之助。「…お前、まさか、それを解った上で頼んでるのか?」「はい。出来なければ…この件については、忘れて頂きたいです…。」信崇は毅然とした態度で頭を下げる…。「そこまで真剣なら…その訳を話して欲しいな…。役に立てるか、どうかは、話を聞いてからだ…。」「…わかった。話が長くなりそうだし、話す内容が内容だし…場所を改めないか?」「…そうだな。じゃ~放課後、屋上でどうだ?」「わかった。恩に着るよ、浅井君。」「…まだ、協力するとは言ってないけどな。訳を聞いてやるだけだからな…。」「わかったよ。それじゃ~後で…。」席に戻る信崇…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

歴史を変える、平和への戦い

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投稿日:2024/03/17 17:20:52

文字数:2,314文字

カテゴリ:小説

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