その目で味わう音　耳で観る形
光を転がす舌　色に触れる身体
少しだけ良く解る　少しだけずれている
少しだけ明るくない　皆少しだけ

鼻に香る想い　灰色の優しさ
指先触れる甘み　黄金色の痛み
歌うんだこれからも　歌ってるんだ小さく
歌うんだいつだって　複眼の上で

解けるかな

乗れないバス　遠い子供の声
水溜り
乾いた雲　逃げてゆく透明

気づくかな

虹色の翅　膨らんでく木洩れ日
青い夜道　瞼の上の赤

本当が大きすぎた　だから口を閉ざした
絵空事　夢物語　誰も信じてくれない
どれくらいの言葉なら　幾つの歌なら
何かに気づくかな　何かを思い出すかな

歌うんだ僅かでも　歌ってるんだ今でも
歌うんだ明日を見て　未だ出会わないだれかへ
あなたもこのわたしも　あの木々もみんな
すべては震えてるんだ　大きく揺れているんだ

ほどける謎　整いだす水滴
柔らかな星　あふれ出す偶然

罅割れた艶　根を伸ばす夕焼け
逆さまの道　歩き出す閃き

涙の理由　ぬくもりの仕組みを
思い出すまで　何度でも歌おう

静かなる赤　いのちある限り
そこにあるのは　僕らだけの香り