コンサート襲撃の事は、ホールの被害も含めて大きな騒ぎになっていた。
「うわ…下にもマスコミ来てるみたい…。」
「大きな事故だったからな、余り窓際に寄るな、木徒。誰彼構わず写真撮ってるみたいだし。」
「ねぇ詩羽さん…この記事…どう言う事?」
『【TABOO】によるテロ行為?!コンサートが大惨事に!!』
『BSの人権を謳いながらあまりにも非常な行いに社会的制裁を望む声も』
『【MEM】研究所の迅速な対応により、奇跡的に死傷者はゼロ』
『まるで生物兵器?!会場に現れたテロリストの衝撃写真公開』
「【MEM】の工作だろうな、何もかも【TABOO】に押し付けて自分達は新薬で怪我人をいち早く
救ったヒーロー気取りだ。」
「そんな…!」
2人の話し声を、私はどこか遠くの事の様に聞いていた。おかしいな…私…どうしたんだろう?頭がぼんやりとして何も考えられない…。
「幸い【Yggdrasil】に関しては殆どノータッチだな、あっても救助に貢献、程度だ。」
「皆は大丈夫なの?羽鉦さんは?」
「【Yggdrasil】側にも大した被害は出てないよ、捕獲班も伊達に鍛えてないからな。救護班
でも大きな怪我をした奴は居ない。羽鉦は…まぁ、あいつ自身暴走した自覚はあるみたい
だから…今は少しそっとして置いてくれ。」
「そっか…。」
耳鳴りがする…頭が割れそうに痛い…私どうしたの?怖い…怖いよ…助けて…!
「ナイ…ト…。」
「スズミさん?!」
「…っ!!…木徒!!騎士を呼んで来い!!早く!!」
「う、うん!!」
「おい!しっかりしろ!今騎士が来るから!それまでもう少し…もう少しだけ頑張れ!!」
痛い…痛い…痛いよ…!助けて…助けて…助けて…!
「スズミ…スズミ!」
「…イト…騎士…!」
「大丈夫だ。此処に居る」
「痛い…痛いよ…私どうなるの…?怖い…怖いよ…。」
「大丈夫だよ…ずっと側にいる。俺は…ずっとスズミの側に居るよ。」
「騎士…。」
「何があっても、どんなに苦しくても…ずっと側にいてスズミを守るから…。」
「…ありがとう…騎士…。」
「ん…。」
「…大好き…。」
そのまま、私の意識は真っ暗な闇へ堕ちた。遠くで騎士の声が聞こえた気がした。
「愛してるよ…スズミが俺を忘れても…ずっと…。」
BeastSyndrome -46.カナリア-
どうしてカナリアは忘れるの?
それはカナリアが歌をうたうから
それはカナリアが生きているから
それはカナリアが愛しているから
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