「…何じゃこの高級マンション!!」
「普通だろ…デカイ声出すな使土、俺の部屋はこっち。」

階数が2桁行ってたら俺に取っては充分高級マンションです。バットに言われるままクマ女を担いで部屋にあがる。室内なのに天井高い!玄関が既に広い!家具少ないけどテレビデカい!これでワインセラーとかあったらぶん殴る!

「何部屋睨んでんだ?客間…はダメか、俺の寝室運んじゃって、そっちの奥。」
「客間誰か居るのか?」
「翡翠が女連れで寝てる。」
「ブッコロス!あの馬鹿ガラス!!」
「…取り敢えず運べ。」

色んな意味で殺意とか殺意とか殺意が浮かんだが、取り敢えずクマ女を部屋に運んだ。何だか高そうなベッドが血と泥で汚れるけどバットは気にしてない様だ。俺が神経質過ぎるだけか?

「これは…酷いな…急所を的確に、しかも容赦無く痛め付けられてる。お前がやったのか?」
「まさか、【Yggdrasil】の闇月だよ、ほら、あの白くて長い髪の。」
「あいつが?…そんな凶暴な奴には見えなかったけど…。」
「何か自分の兄貴が怪我したの見て豹変して、その後滅多打ちって感じだったな。」
「成程ね…。…と、骨は大丈夫みたいだな。そっちから身体拭いてって。」

ぬるま湯に漬けて絞ったタオルで丁寧に拭いているが、どうも自分には触るのに抵抗があって出来なかった。

「女慣れしてんのな、お前。手当てとか。」
「…昔最低だったんで罪滅ぼし。」
「え?」
「ガーゼ取って、それとそっちのサージカルテープ、ここ押さえてて。」

テキパキと手当てをして行く脇で結局言われた物を持って来るだけの手伝いしか出来なかった。さっきのバットの言葉が気にはなったけど、何だか聞ける雰囲気では無かった。クマ女の手当てを終えて服を着せながらバットはポツリと呟いた。

「こんなに華奢な女の子に戦わせてたんだな…。」
「バット…。」

改めて見直すと確かにクマ女は華奢で、透ける様な白い肌で、とても戦ってたなんて信じられない。バットは悔しそうに拳を握ると、クマ女をソファに置き、シーツを剥ぎ取り部屋を出て行った。クマ女を見遣るが、包帯と湿布だらけが何とも痛々しくて目を逸らした。

「悪い、シーツ換えといて…これ。」
「ん、ああ…その位やるから休んでろよ。」

青い顔で戻って来たバットはソファに座ると辛そうな顔でクマ女を見ていた。『処刑派』からBSを解放したいと言うバットに取って彼女の様な存在は色んな意味で許せないんだろう…。【MEM】も、バット自身も。

「シーツ換え終わったぞ。」
「悪い、ありがとう。」
「え?その子寝かせるのか?お前は?」
「俺は良いソファ使う。てかまだ寝ないし…。」
「危なっかしいな、大丈夫か?」
「電車無いし使土も泊まってく?客間埋まってるから布団になるけど。」
「そう言えば菖蒲さんが女連れって…誰?」
「冰音リヌ。」
「あぁ…って、えええええ?!」

どうしてそうなった!!

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

BeastSyndrome -43.目を逸らす-

傷を見たがらないのは優しいか臆病者だそうだ。

※次ページに純情少年が…。

閲覧数:280

投稿日:2010/06/14 17:36:27

文字数:1,227文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

  • 関連動画0

  • 門音

    門音

    ご意見・ご感想

    41話からもう2828が止まらなくて仕方がないんですか、どうしてくれるんですか??(知らんわ
    ま、もしも使土が翡翠君をブッコロスなんてことがあったら、その時はこちらで処刑させていただきますのでw★(データ抹消という名の←(そして本来工音兄妹より先に創り上げていたウチのもう二人の創作ボカロたちを代わりに上げます。(え?!

    2010/06/14 20:40:09

クリップボードにコピーしました