長距離走がイヤだよ　とてもすごく


冷気うずまく一月の朝　更衣室へと向かう足取りは重い

年末年始 こたつで過ごした　文化部の僕にこの試練は無理なんだ


寒いのに手のひら滲む汗　そうさ憂鬱なのは僕が遅いから

「なあ、一緒に走ろうぜ」囁く佐藤

（普段なら言えない言葉 スッと出てきたんだ）


「黙れ」


長距離走がイヤだよ とてもすごく　今すぐおうちに帰りたい （だから）

長距離走がイヤだよ イヤでしょうがないよ

たくさんの背中 見送りながら 目を閉じた



あっという間に消えるまわりの人　気づけば迫ってくる小気味いい足音

まだ一周目だよ　なのに 体力はもうピーク　あと九周どうやって走ればいいの？（How to run?）


女子に追い抜かれる（悔しい？） 気にもならないさ

よう佐藤また会ったな　これで三度目か（二周遅れ☆）

目を閉じると見えてくるのは 天国　（天に羽ばたけそう だけど体は重いよ）


神よ


長距離走がイヤだよ 泣きたいくらい　今すぐ幽体離脱したい （だから）

長距離走がイヤだよ イヤでたまらないよ　

澄んだ青空見上げ呟いた 「もうダメだ」


もうやめたいよ　どうでもいいよ　何度もそう思った

でも　ここで諦めたら男じゃない

（限界の先へと全速力で走れ）


行くぜ


長距離走がイヤだよ とてもすごく　今すぐおうちに帰りたい （だけど）

長距離走、その先にぼくの目指すものが待ってる

そんな気がして　目を閉じた