※注意
この作品は自分が勝手にチョイスしたVOCALOID和風曲をモチーフに妄想を膨らませた際の副産物でございます。カップリングや独自設定がざらに出てまいりますので、そういったものが苦手な方はブラウザバックを推奨いたします。なんでもいけるぜって方、カイメイ好きな方はそのままスクロールをしていただければ。ていうかカイメイ好きに怒られそうな作品でちょっとひやひやs(今更何を言う





 涼しげな風が足元を掠めていく。紅く色づいた木の葉が巻き上がって、風と共に広大な空へと駆け上がってゆく。あの風はまるで貴方みたいね。どこからともなくやってきては、その刹那に何かを攫っていなくなってしまう。今度貴方が来たとき、きっと私は―――


【勝手に繋げて】風の音のその先に―番凩編―【勝手に妄想】第一話


 草茂る夏もようやく過ぎ去り、この村も実りの秋を迎えた。今年は天候に恵まれたためか昨年や一昨年の比ではないほど米も野菜も豊作で、村の者は今にも踊りだしそうなほど皆浮かれていた。それは芽衣子の家も例外ではなく―といっても農家ではないのだが、豊作の年は皆の機嫌も良くて楽しいし、なによりいろんな作物を頂戴する機会がうんと増えるので―やはり村の一員として大いに喜んでいた。

「今年の収穫祭は今までになく盛り上がるぞ。お前にも今年は特別なものにしたいだろう?なあ、芽衣子」

「ええ、お父様」

 収穫祭を間近に控えたある日、夕餉の席に着いた芽衣子はお隣さんから頂いた里芋の煮っ転がしに嘆息しつつ、父の話し相手になっていた。神主である父はこの時期何かと忙しく、家族団欒を楽しむのはずいぶんと久しくなるように思える。

「芽衣子も今年で十五だもの。豊穣の舞を舞うのも、もう今年で最後になるわね」

 この村の古くからのしきたりとして、村唯一の神社の神主である家―つまり咲音の家のことだ―の娘が、毎年秋に行われる収穫祭で豊穣の舞を務めることになっている。しかしながらそれは十四以下の娘に限られていて、芽衣子は収穫祭の翌日に十五の誕生日を迎えるのだった。つまり今年が、芽衣子にとって豊穣の舞を舞う最後の年なのである。
 父の横で同じように話を聞いていた母が、月日がたつのは早いものね、と芽衣子をまじまじと見て微笑んだ。今では頬に添える手は荒れて赤く、骨張っていてごつくも見え、目尻には幾筋もの皺が入っていているが、年頃のころはこの母もやはり豊穣の舞を務めていたのだろう。魚の骨を取る箸の動きすらも滑らかで、優雅とも言える。

「そういえば芽衣子、そろそろあなたの身の振り方を決めなければならないのだけれど」

 茶碗を置いて、急に真面目な面持ちになって話し始めた母に、父も、おお、そうだ、と、こちらは母の言葉にようやく思い出したといった感じで静かに箸を置いた。

「芽衣子、お前はもう十五になろうとしている。十五になれば立派な成人。そろそろ婿を迎えなければならないのは、この家の者として十分わかっているな」

「・・・はい、わかっております」

「婿となる者はそれ相応の家柄であり、かつこの神社を守ることのできる人物でなくてはならないことも」

「・・・ええ」

 父の言いたいことはわかる。例えそれが望まないことでも、家を守り、神を護る立場の人間として、どうしても避けられないことを私は知っている。それでも優しい父は申し訳なさそうに瞳を伏せた。

「相手が誰になるかはまだわからんが、近いうちに見合いをすることになるだろうから、心の準備はしておきなさい」

「はい、お父様」

 それ以上この場にいるのが耐えられなくなって、ごちそうさま、と一言だけいうと自分の茶碗をちゃっちゃと片付け、舞の稽古に戻ることにした。母が、今日はもう休みなさい、と心配そうな声を上げたが私はそれを聞こえなかったことにして練習部屋へと下がった。



 稽古着に着替えながら芽衣子はやるせない思いを何とか押さえつけようとしていた。父も母も、すべてわかった上でああ言っているのだ。どうしようもないことなのだと。それでも。
 瞼の裏に焼け付いた、少年の後姿。光の加減で蒼く煌めく黒髪に、海を思わせるような深い色をした瞳。最後に会ったのはもう二年も前の話になるのかしら。

「海人・・・」

 いっそこの想いは風が攫っていってしまえばいいのに。そうしたら、きっともっと楽なのに。

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【勝手に繋げて】風の音のその先に―番凩編―【勝手に妄想】第一話

なぜだ、自分の中のめーちゃんはこんなに従順だっただろうか…!?あ、そうか15歳=ロリメイコだからか納っとk(殴

暗い森の~のほうを待っていて下さってた方には申し訳ないのですが先にこちらを投稿させていただきます。和風曲への愛が止まらなくていつかやろうと思っていたのですが、どうせならこの曲がうpされた日に…!!と思いまして。番凩一周年記念!おめでとう仕事してP!おめでとうめーちゃんかいと!てゆーか間に合ってよかったー!!^^;


そんなわけで暗い森の~と同時進行でこちらも進めていきたいと思います。どちらもスローペースでやっていくことになりそうなのですが、どうか見捨てないでやってくださいm(__)m

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投稿日:2009/10/02 18:46:26

文字数:1,821文字

カテゴリ:小説

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