episode2 信じられないということ

カイアールと名乗った蒼い青年の後について歩く。
少し歩いた後、無駄に馬鹿でかい扉が現れた。

「ね、ねぇ……カイアール……さん? これはどこに通じてるんですか?」
「ああ。僕のことはカイアールでいいよ、エルカ。ここはこの城の――玄関、とでもいうのかな。まあ、そんなところさ。≪第一門≫っていうんだけどね」
「へぇ……なんだかクイズみたいですね」
「ははは、クイズか……。なるほど、あながちそれは間違ってないかもね」

カイアールは唐突に歩みを止めた。
そしてまた帽子を外して言った。


「やあ、調子はどうだい?」


声をかけたほうに目を向け、瞬きをした瞬間現れたのは一人の金髪碧眼の少年だった。
所謂門番なのか、廃墟にはどう見たって不似合のきらびやかな鎧を身に着けている。
誰を攻撃するのか、手には大きな槍を。腰には拳銃を持っていた。


「お久しぶりです。どうもこうもありませんよ、カイアールさん。聞いてくださいよ、あなたどこに行ってたか知りませんけど、いろいろあったんですよ。またグリシアさんが逃げ出そうとするし、ミクリリムさんは新しい最高級の花を用意しろとか、リンネさんは僕を見るたび怒鳴ってくるし……もう挙句の果」
「ちょっとまて、レン。あとで聞いてやるから。この子通してあげてよ。エルカっていうんだ」
「……ど、どうも」

急な振りで動揺してしまった。
カイアールにレンと呼ばれた少年は舐めまわすように私を睨みつけた。
そしてぶつぶつと何かを呟き始めた。

「どうも怪しいなぁ、あ、まあ、外見のことじゃないですけどね、ピンクの髪とか別にもう珍しいもんじゃないし、というかカイアールさんに連れられてこんなところに来る自体可笑しいのに、カイアールさん何を考えてるんだ……怪しい、怪しい、どうも怪しい……」

気味の悪いほどぶつぶつぶつぶつ、えんえん呟く。
それを遮ったのはカイアールさんだった。

「レン。それいいから早く通してくれないかな? 大丈夫だよ、この子は何もしない」



「そうです……か……」


もう一度レンさんは私を睨みつけて、扉を開けてくれた。
鈍い音を立てて、軋む扉が開く。







『じゃあ、気を付けて』

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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-Lost Maze-

閲覧数:99

投稿日:2013/12/30 13:40:29

文字数:944文字

カテゴリ:小説

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  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    あれ?これにコメントしてなかったのか……年始くらいに見たのにw

    そして、このレン君が何してくれるのか、まったく覚えてないww←

    2014/01/12 00:38:34

    • イズミ草

      イズミ草

      レンくんはいろいろ考えてますよーwww
      ええ、色々と……(ニヤリ)

      2014/01/12 10:16:55

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