ガタガタと音を立てて馬車は揺れる。
その形は、南瓜などではない。
目の前にいるのも無論、魔法使いなのではない。
これは、現実なのだから。
「あなたは、誰?」
その人の顔は無機質で、無感情。
常に薄ら笑いを浮かべる、ゾっとするような人。
「私のことはどうでも良い、用があるのは君なのだから」
明るみに出てみると、その顔は仮面だった。
「君は孤児だ。探しにくる人など、いない」
仮面の男(?)は懐に手を入れ、黒光りするものを取り出した。
銃。銃口はいやに大きく、ミクを圧倒した。
「これを飲め」
「いやよ」
飲み物は遠くからでもクスリの臭いがした。
睡眠薬か、それとももっと危険なクスリか。
……………パン!
乾いた発砲音。
其れはミクの頭すれすれを通り、後ろの壁に直撃した。
「殺されたいか?」
ミクはふるふると頭を振るのみ。
「殺されたいか?」
また、頭を振る。
「コロサレタイカ?」
「コロサレタイカ?」
―――コロサレタイカ?
「っ…ぁ」
震える手で杯を取り、一気に飲み干した。
ミクの頭を理性が支配したのは、此処までのことであった。
「お前は王子を刺し殺す、十二時の鐘と同時に…出来なければお前が死ぬ」
みじめな古着はいつの間にか煌びやかなドレスへと変わっていた。
そして、硝子の靴と黒い仮面。
ドレスと共に纏ったのは、硝煙と邪悪な命令…
*
「…しました、どうしました?」
「…あっ?」
優しそうな男の人。
仮面をつけていても、高貴な血だということはすぐに分かった。
かっこいい、と言うよりは綺麗、と言った方が良いかもしれない。
間違いない、この人が王子だ…!
「あなたは…」
「仮面舞踏会でそれを聞くのはどうかと思いますが」
ミクは我に返って自分の姿を見た。
白いドレスと、白に対して不釣合いな黒い仮面。
「舞踏会に連れて行ってください」
彼はカイトと名乗った。
王子の名前は知らないから、本名か偽名かは分からない。
曖昧に指が階段に誘っている。
段差の低い豪華な階段を、三段飛ばしに跳ねた。
「随分とおてんばだね」
舞踏会は、仮面を付けた人で溢れ返っていた。
「踊りますか?」
「はい!………!?」
黒装束の、仮面の男。
3人ほどに居て、こちらを見ている。
あの囁きが耳に蘇る。
『お前は王子を刺し殺す、12時の鐘と共に』
「どうしました?」
「あっ…いえ…」
隠された刃の柄が腰に当たった。
ミクはそれを握り締めた。
駄目、駄目、駄目、駄目…!
「なんでもありません」
仕組まれた出会い、偽りの慈しみ。
偽りだらけのこの城で、二人は踊った。
朝まで踊れぬ運命だと知りながら。
「疲れましたか?」
「いっ…いえっ…だい、じょうぶ、です」
「こちらへどうぞ」
王子が案内したのは、誰も居ない、しかし豪華な部屋だった。
彼は仮面をゆっくり外した。
端正で、美しい。
「貴女の顔も見せて欲しい」
ミクもゆっくりと仮面を外した。
「私は…ミクです」
そして思い出したように聞いた。
「あの、今…何時ですか…?」
王子は懐中時計を優雅に出し、
「11時55分…そろそろ12時ですね」
「そうですか…では私は…帰ります」
鐘が鳴れば、貴方を殺さなければならない…
全てを壊してしまう前に、去ってしまおう。
貴方を愛しているが為に。
「何故!?」
ミクは階段を駆け下りた。
駆け下りた瞬間、硝子の靴が脱げ、躓いてしまった。
「大丈夫ですか?」
「鐘は…鳴らさないで」
震える声で懇願するミクに、王子はかける言葉が見つからなかった。
「それは…」
ゴ――ン…ゴ――ン…ゴ――ン…ゴ――ン…
「まだ、まだ駄目!」
ゴ――ン…ゴ――ン…ゴ――ン…ゴ――ン…
殺セ、殺セ、殺セ、殺セ、殺セ…
ゴ――ン…ゴ――ン…ゴ――ン…
「嫌…駄目…駄目ぇっ」
ゴ――ン…
12回目の鐘がなると同時に、ミクの右手は本人の意思に逆らって刃をつき立てた。
王子の驚愕の表情、倒れていく王子、噴出す鮮血。
全てがミクの網膜に焼きついた。
「王子…様…」
王子は倒れたまま顔を歪め、笑った。
「何故私が王子だと分かったのです?」
「全てで」
「…そうですか…泣かないで。傷はそう深くありません。大丈夫です」
黒い仮面の男たちの誤算。
それはミクが王子に感情を持つということを考えなかったことだ。
「嗚呼…!」
ミクは王子の胸で泣き、王子もそれを受け止めた。
二人は邪悪な命令は消えたのに、時を止めてほしいと感じた。
鼓動のひとつひとつを貴方と刻み付けたい…
打ち付ける昴まりは、もう誰にも止められない。
「ミク…」
熱く濡れる二人は、少しずつ激しさを増してゆく。
全ての物事を覆すほどに。
【ミク誕、遅刻。】12時の鐘と偽りのシンデレラ【サンドリヨン】
フェアリーゴットマザー涙目ww
はい、ここ失敗。↑
ミク誕二日遅刻(つД`)・゜・。
はい、ここも失敗。↑
ごめんよミクちゃん…昨日はテスト勉強だったし、一昨日は上げれなかったよ…m(_ _)m
12時の鐘と~でピンときた方は大分侑子を分かっておいでですネ∑d(゜∀゜d)
アドレサンスは12時の針と~でしたけど。
シグナルP様が大好きです。
鳥肌がたつような素敵な本家様↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4410647
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いついつまでも ソウ オキレイデ
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ご意見・ご感想
シベリア
ご意見・ご感想
カイトおおおおおおぉ!!!死なないでええええ!!
よし、今からでもカイトとうちを入れ替えよう!そうすればカイトは死なずにすむよ!
カイトは何もしなくても王子様なんだぜ!!ww
アドレサンスの歌詞よく覚えてるねwすごいww最近聴いてないから忘れてきた…((
中学生にとってテストは最大の敵だ!!(((勉強しろ
2011/09/03 10:47:20
楪 侑子@復活!
シベリア カイトは死ぬのか死なんのかぼかして書いたから…分からんな(おま
シベリアは兄さんガチで好きですな(*゜ー゜)
いやいや何もしなくても王子様はレンだ(ぇ
うんアドレサンスとサンドリヨンの違いは全ていえるよ!
分かりにくいのはね、「これ以上は動?か?ないよ」がサンドリヨンで、「これ以上は動?け?ないよ」がアドレサンスだよぅ!
テスト作ったの誰だろうね?ブチ殺してやりたいww
れっちぃ うん!全然おk!
おおじゃあれっちぃは侑子検定三級だな(ぇ
いやいやこんな駄作を読んでくれてありがとうだぜまじで
お!見に行く見に行くヾ(≧∪≦*)ノ〃
うん!こちらこそよろしくね!
2011/09/05 23:31:24