亜種の設定については、http://piapro.jp/t/NZWYの上の方(バーチャルボディがどうとか)
を見てください。


【実体のある人形たち】
(可不歌フォン、零音アイ、灯音フミ)


からん、からん。
フォン「いらっしゃいませ。もう閉店なんですけどね。
    あなた方なら仕方がないです。どうぞこちらへ。」
アイ「悪いな…」
フミ「すみません…」
フォン「いえいえ。それにしても、珍しい組み合わせですね。」
アイ「ちょっと眠れなくて。そしたら丁度フミがいたから。」
フミ「僕も眠れなくて…」
フォン「あぁ、私たち3人は、眠れないこともありますからね。」
アイ「他のみんなと違って、コンピューターの中で電源を落とすことはできないからな」
フォン「私は電源を落とすことは出来ますが、自分では再起動できなくなります」
フミ「キメラは、ツギハギを集めたただの動物ですから…。」

・・・

アイ「フォン、コーヒー頼んでもいい?」
フォン「余計眠れなくなりますよ?ホットミルクなんてどうでしょうか?」
フミ「僕ホットミルク好きです。」
アイ「そうだな。それで頼む。」
フォン「かしこまりました。」
フミ「あっ、僕はこのカップにお願いできますか?」
フォン「えぇ、できますよ。素敵なカップですね。」
フミ「はい…!」
フォン「好きなんですね。愛情が伝わってきます」
アイ「俺にはよくわからないけど…」
フォン「そうですか?愛情を持って接していればものにも魂は宿るんですよ。
    このカップはとても愛されてます。」
アイ「そういうものなのか?」
フォン「あなたたちだって、愛されてるじゃないですか」
アイ・フミ「・・・?」
フォン「幸せそうで何よりです。」
アイ「フォンの方がよっぽど幸せそうだけど」
フミ「はい、フォンはとっても幸せそうに見えます…。
   それに、誰に愛されてるって言うんですか?」
フォン「ふふっ。そこまでは私にはわかりませんよ」
アイ「変な奴」
フォン「えぇ。変わってますね。」
フミ「嬉しそう…」
フォン「嬉しいですよ?もともと存在自体変わってるんです。
    だったら、みんなと同じより、違う生き方をしてみたいと、そう思うんです。」
アイ「存在自体変わってるか…。
   人造人間とキメラと実験体だなんて、みんな変わってるな…」
フミ「フォンは、普通の人間とかVOCALOIDとかが羨ましくならないんですか?」
フォン「そうですね…。羨ましいと思った時もありました。
    人間のように作られた偽物の身体で生きるのは、大変でしたから。」
フミ「じゃあ、何で…」
フォン「マスターが。私のマスターが、認めてくれたから。
    もう、満足したんです。」
フミ「フォンは綺麗な姿だし、綺麗な声だから、認めてくれて当たり前です…
   僕はこんなにも汚い姿だから、誰も認めてくれないんです。
   あの人だって…」
フォン「目の前で、否定されましたか?
    生きていることが許されませんでしたか?」
フミ「え・・・」
フォン「酷いことを、されましたか…?」
フミ「いえ・・・」
フォン「よかったです。あなたは綺麗な容姿です。声も綺麗です。
    あなたの歌声を聞くと安心します。もっと歌って下さい。
    私は、誰かと比較するのは好きじゃありません。
    あなたは、あなたでしょう?」
フミ「僕は、僕です…」
フォン「アイさん。彼女の名前を呼んでくれますか?」
アイ「えっ?…フミ?」
フォン「そうですよ。フミさん、灯音フミ。ただ一人の存在です。
    触れることも、話すことも、歌うことだって許される、一人の存在です。
    とっても素敵ですよ。
    暗闇の中にいる誰かの灯火になるような、素敵な音を持ってます。
    今度、是非ここで歌って下さい。あなたの声で喜ぶ人がいるんです。」
フミ「…ありがとうございます。」
フォン「今日は、あったかいミルクでも飲んで、あったかい布団で眠りましょう。
    ホットミルク、淹れてきますね。」


アイ「素でああいう性格なのか…。フォンは凄いな」
フミ「えぇ。すごいですね…。」
アイ「人が作ったものが、こんなに優しくて、綺麗なら、
   俺たちも、頑張ればあんな風になれるよ」
フミ「アイも、優しいですね」
アイ「は?」
フミ「なんでもないですよ」
フォン「お待たせしました、ホットミルクです。」


夜更けに語らう人形は、眠ることも許されず
されどそこには、暖かな夢。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【フォン,アイ,フミ】実体の在る人形達【亜種小説】


この三人は、実体があります。
(他の亜種たちは、パソコンに入ったりできる)

眠ることが必要だからこそ、眠れないこともありますよね。

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投稿日:2013/03/05 19:42:42

文字数:1,887文字

カテゴリ:小説

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