握手をする手を差し出したのに
君はとても寂しそうな目で払いのけた
分からないのかいと言ったような目で
そのままどこかへ居なくなってしまった

笑えることもない泣けるほどでもない
ただわからなくなって消したかった
汚い点が散りばめられて見たくもなくて
でも上書きも消し込みもできなかった

どれだけ時間が過ぎてもそれは在って
黒い歴史になんかさせてはくれなかった
まだ正解がわからないのにあの時の
寂しそうな瞳が忘れられないんだ今も


拍手をする手を上げてみたのに
君はとても悲しそうな目で叩き落とす
どうしてなのかいと言ったような目で
そのまま歩いて消え去ってしまった

怒れることもない愚痴るほどでもない
ただ渡せなくなって会いたかった
汚く濁り染み込まされて聞きたくなくて
でも取り替えも閉じ込めもできなかった

こんなに季節が過ぎてもそれは残って
封印の書になんかさせてはくれなかった
まだ回答が出せてないのにその時の
悲しそうな視線が刺さったままなんだ今も


逃げ帰って俯いて蹲って空っぽになって
頭を抱えて吐き出せるものを何もかも
何が自分を構成しているかすらわからず
誰のマネをすればいいかしか考えてない

剥がし続けていけば自分は消えるからって
都合の良いステッカーでいっぱいになった
ボロボロに着飾った笑顔を見たくなくて君は
あんな顔をしていたんだねって今になって


敬遠をする手を下げていたのに
君が急に涼しそうな目で触れている
わかったんだねと言ったような目で
すぐさま温度が繋がってしまった

驚くこともないビビるほどでもない
ただ見つめなくなって澄み渡った
汚い物と知り告げられてそれがわかって
この言い訳もこじつけもすぐ笑った

そんなに時計が回ればいずれ腐って
生ゴミの日になんか出してもあげなかった
この問答も意味がないのにおかしくて
消えてそうな僕らを盗んだままなんだ二人


「そばに居たいだけなのに握手はいらない」
「ここに居たいだけなのに拍手もいらない」
「自己紹介なんか大嫌いだから歌ってよ」
「君を見ない代わりに笑ったりしない約束だ」

最後の一枚を剥がしとって現れた
本当にどうしようもない薄っぺらな
何者にもなれないまま吹けば飛びそう
「それでいい」って隣で呟いてくれた


僕はもう僕の顔を見ることができない
僕はもう君の顔を見ることもできない
それがなにより一番の
安らぎになったんだ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

不必要安楽

震えた手より、悔いる背を。

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投稿日:2024/03/16 22:00:57

文字数:1,020文字

カテゴリ:歌詞

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