「どういうことですか!!? ちゃんと僕はネズミをすべて退治したじゃありませんか!!」

男は焦っていた。

「だから、何度言ったらわかる。お前に賞金は与えられない、と言ってるのよ」
「金じゃない!! アイス一年分だ!!」
「どっちだっていいでしょ!!」
「アイスは金じゃ買えないんだよ!!」
「あほか! アイスはむしろ金がないと買えないわよ!!? バカイトがっ!!」

メイコとカイトの口論は彼是もう3時間以上続いていた。
――まあ、内容はさして濃くはないが。

「とにかく、どうやったらあなたがこのネズミすべてを退治したという証明ができるの? できないでしょう? それが証明できたら、私たちは約束通りアイス一年分を贈呈するわ」

「……くそっ」

男はメイコの部屋を飛び出した。

男は焦っていた。

自分の手柄だと証明する手立てがない。
だってあの日は誰もネズミを退治する男の姿を見ていないから。


男は焦っていた


「……あいつら……何が何でも、僕にアイスをくれない気だ……!」

――こうなったら―――。





それから数日、街の人々は誰一人、男の姿を見かけてはいなかった。
きっと報酬をくれないから諦めて去って行ったのね。
大人たちはみんながそう思っていた。





また、月の綺麗な夜のことだった。

何処からか聴こえてくる、澄んだ音色。
ぞろぞろと、集まってくるのは、ネズミではない。

――子供たちだ。

子供たちが集まってゆくのは、音色の方向。
そこには姿を消していた、男がいた。
青い髪に、青い瞳、青を基調とした縞々の服。


「さぁ、子供たち。この世界は、うそつきな大人たちによって汚されてしまっている。君たちはあんなふうになってはいけない。僕が、素敵な世界へ連れて行ってあげよう」

そういってまた笛を吹き始める。
物悲しい、でもどこか楽しげなそのメロディー。

子供たちは洞窟へ次々と入っていく。

その中には、あのリボンをした少女と、髪を後ろで束ねた少年もいた。
その二人は「新手の誘拐かよ」とか「ロリコンめ」とか言っていたが。
男は子供を洞窟へ入れたのを確認すると、大きな大きな岩で蓋をした。


それがどこにつながっていたのかは、わからない。




朝目を覚ました大人たちは、背筋を凍らせた。


子供たちがどこにもいない。


みなわかった。
あの男だと。


けれどももう、どうすることもできない。


子供たちがいない。男もいない。




男がいない。









数日後、街外れで発見された、息絶え絶えのあの双子。
うわごとで一命を取り留めるまで何かを延々言っていたという。





「あンの、ロリコンめ」




                  完

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

ボカロと愉快なボカロたち。

最後のほうなんかシリアスになっちゃいましたねwww
ごめんなさい

閲覧数:162

投稿日:2013/12/08 10:36:44

文字数:1,158文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

  • 関連動画0

  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    リンちゃん誘拐とか、うらやまああ……消音
    ま、原作をしらないんですけどねぇw

    レン君も一緒に誘拐すると……吊り橋効果でリンちゃんが、私でなくレン君に惚れてしまうので、別々に監禁しよう!(真面目な提案

    2013/12/08 22:26:24

    • イズミ草

      イズミ草

      私も原作は幼少期にNHK番組で一回見たきりですwwww
      いろいろネットで調べて……www

      鏡音を一緒に誘拐すれば、二人で慰めあうかわいい二人が見れまs

      2013/12/09 18:05:55

  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    最後の一言が素晴らしいシリアスブレイクwww
    カイトォ……w
    ちびっこなら総受けかよこの野郎←

    2013/12/08 20:56:10

    • イズミ草

      イズミ草

      最後までシリアスにするのはちょっと私の捻じ曲がった根性が許さないといいますかwwww
      ま、まぁ、ロリコンだったわけですねwww
      最後までバカイトでしたよww

      2013/12/09 18:01:55

オススメ作品

クリップボードにコピーしました