※警告という名の諸注意、やっちゃったよセルフパロ
・帯人×女性マスター(篠武)
・カイトは出てきません
・妄想による世界観、しかも本家よりダーク。
・オリキャラ満載(オリキャラは名前・設定ともにシャングリラと同じ・若干性格は変わっている場合もあり)
・帯人はアンドロイド・機械的な扱い、表現を含む
・女性マスターの一人称が『オレ』
※ここ大事※
多分いないとは思いますが…万が一、本家シャングリラを少しでも気に入ってくださっている方がおりましたら、今すぐ全力で引き返してください!本家シャングリラとは一切関係ありません。悪いのは全面的に私ですorz
恐らくツッコミ処満載ですが、エンターテーメントとして軽く流して楽しんで頂けると幸いです
上記が許せる方は、自己責任で本編へどうぞ
※流血&若干のグロ(?)表現アリ
☆☆☆☆☆☆☆
47.
SIED・HANAZONO
「奪われたものは全て返して貰ったわ。篠武さんにも、今後一切手出ししないで、」
五十嵐所長に肩を抱かれ、キョトンとした表情で榊を見ている木崎篠武。
「あれ?何で主がここにいるの?…あ、また加奈さん何かした?」
「あなたが動きやすいように、裏からいろいろお膳立てしただけよ、」
「あー…、だからあんなスムーズに…、」
…またなの?
この女は、また私から全てを取り上げるの?
折角新天地で築き上げつつあるものが、足元から形を失い崩れていく。
地位も、名誉も、キャリアも、未来も、居場所も。
全部全部、奪われたのは私のほうよ。
なのに、被害者はいつだってあなたなのね。
「だが、今、総帥に連絡を入れて、篠武様の存在を明るみに出せば、」
「あのクソ爺が、あなたの言うことを何の確証もなく信じるかしら?…有栖を殺した、かも知れないあなたの話なんか、」
「………、」
「私が知らないとでも?あの日以来、あなたはクソ爺からほぼ絶縁されているのよね。今回、篠武さんをダシにして許しを請おうって魂胆なんでしょ、」
そんなの、どうだっていい。私には関係ない。
この女の正体も、立場も、利用価値も、何の意味もないの。
私にとって、この女はただの『厄災』。
「篠武、ここ嫌だ。早く帰ろう、」
「ん、もう少し我慢しようか、…オレも本当はもう帰りたいんだよ、」
「あのさ、二人とも当事者って自覚ある?」
私が手塩にかけて創ったアンドロイドも、何年も想いを寄せた愛しい男性も、木崎篠武に寄り添っている。
奥底から溢れ出る憎しみ、痛いほど焼け付く嫉妬心、私の中に潜んでいた醜いものたちに、出来れば一生気付きたくはなかったけど。
(もう、遅いのよね、)
この女がいる限り、私は囚われて生きて行かなくてはならない。
「面倒臭い…。ねぇ篠武、いっそあの男殺しちゃおうよ、」
「………、」
吐き捨てるように呟かれた、アンドロイドの言葉に。
天啓を受けたと思った。
(そうよ、…いっそ殺してしまえば…、)
「ダメダメ、帯人。オレ、暴力はいけないと思うんだ、」
「そそそそそうだよ!!簡単に殺すとか言っちゃダメだよ!!」
今なら、誰もが私に注意を払っていない。
私は素早く周囲を伺うと、テーブルに置かれていたナイフに手を伸ばした。
48.
SIED・SINOBU
始めは、抱き着かれたのかと思った。
よく手入れされた彼女の綺麗な髪から香る、花にも似たコンディショナーの匂い。
あっと思った次の瞬間、鋭い痛みが腰の辺りに走った。
(え…、何、…これ、)
一体自分の身に何が起こったのか、訳も分からず近くなった彼女の顔を見上げると、ゾッとするほどの穏やかな笑顔がそこにある。
「……、あ…、」
震える手で恐る恐る痛みの元を探ると、ぬるりとした感触と突き刺さったままの硬い何かに触れた。
(花園さんが、…オレを、刺した?)
え、どうして?オレ、彼女に…殺されそうになってんの?
理由がわからず混乱する頭で考えてみても、痛みと衝撃で思考回路が機能しない。
「…篠武?」
オレの異変に気付いたのか、帯人がオレの腕を取る。
「な、…んで、」
その先にある赤い色に、彼の眼が見開かれた。
ああ、ダメだ…立ってられない。
全身から力が抜けていく、流れ出る命と体温が少しずつ床を染め上げていった。
「篠武さん!?」
「篠ちゃん!!!!」
声が遠い、誰かが呼んでいるけど…ゴメン、返事できないや…。
倒れ込む瞬間、オレの身体から引き抜かれた何かを振り上げ、花園さんが笑っているのが見えた。
49.
SIED・TAITO
逢魔が時。
深紅に染まる空を見上げ、黒いコートに身を包んだぼくは、一人で湖畔に佇んでいた。
空を映した水面もまた、あの日の彼女と同じ色に彩られている。
時折吹く風に煽られ、ざわざわと小刻みに立てる波の音を聞きながら、ただ…静かにその時を待っていた。
やがて、荘厳な鐘の音が響き渡り、教会の扉が開け放たれると、疎らに散る黒い集団に囲まれて、一つの棺が運び出されてくる。
寄り添う女が涙を流し、傍らの男が棺に縋りつく。他の人間たちも、皆一様に泣いていた。
それを遠目に確認したぼくは、目を瞑り僅かな時間祈りを捧げる。
創り物のぼくが祈ったところで、振り向いてくれる神はいないだろうけど、例え形だけでも彼女を悼む気持ちを表したかった。
今でも思い出すのは。
温もりを失いつつある手で、最後までぼくの髪を撫でてくれていた、彼女の笑顔。
泣き叫び、力のない身体を抱き締めるしか出来なかったぼくに、『大丈夫だよ、』と、掠れた声で囁いてくれた。
(もう、行かなきゃ…、)
ぼくはもう一度だけ棺に視線を走らせると、踵を返して歩き出した。
続く
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